>   >  『スナックワールド』の本放送に向けた試行錯誤とは? CGWORLD 2016 クリエイティブカンファレンスレポート<1>
『スナックワールド』の本放送に向けた試行錯誤とは? CGWORLD 2016 クリエイティブカンファレンスレポート<1>

『スナックワールド』の本放送に向けた試行錯誤とは? CGWORLD 2016 クリエイティブカンファレンスレポート<1>

<2>何を見せるかを重要視して、面白いカットをつくる

フェイシャルにおけるアニメーターの慣れの差にも配慮。「顔にコントローラをたくさん置いてるので自由に動かせるのですが、アニメーターによって個性が出すぎてしまうので、パラメーター化しました。これをアニメーターが動かすことによって、基本的に似たベースの顔をつくれます」。さらに「ベースのコントローラを動かして細かい調節も可能です。それから2Dっぽく表現するために、目や口をカメラの位置へずらしたりもできます」といった工夫も。

基本的にフルコマのボディも、森泉氏は誇張表現のときにはコマを抜いていると言及。「例えば、慌てていてバタバタ手を振っているという動作は、フルコマでやるより少々抜いた方が面白いですし、そもそも本作はコメディーなので面白く見えるような表現を優先してるんです。アニメーターによっては、リアルにやろうとするとリアクションに細かい動きをつけてしまうので、どこまで削るか、どこまで止めるかといったところですね」とポイントを挙げた。

CGWORLD 2016 クリエイティブカンファレンス:OLM

TV版制作のアニメーションルール(現状)

また、キャラクターが1体のときと複数のときでも印象が異なるそうだ。「止めすぎたカットが多くなった場合、他のキャラクターを入れたら意外と気にならないということもあります。視聴者にどこの動きに注目させるか、逆に注目させないときは止まっていてもいいようです」。
アニメーション制作の最後、森泉氏は「レイアウトでもそうなのですが、何を見せるカットなのかを重要視してます。2Dでいうところの原画的な考え方としては、そのカットで重要なコマは守る必要があって、守られると面白いものになると思います」と話を終えた。

テレビシリーズ『スナックワールド』はMayaとNUKEで制作。パイプラインについて、管理は『パックワールド』ではSHOTGUNだったが、『コング 猿の王者』からTACTICで行うようになったという。

CGWORLD 2016 クリエイティブカンファレンス:OLM

現状の管理ツール利用率

森泉氏は『パックワールド』でSHOTGUNを導入した経緯を「OLMのパートナーには、ロサンゼルスにあるスプライトアニメーションスタジオがあります。そことの連携を深く詰めるためでした」と語った。「ただ、それだけでは済まなくて、細かいところはExcelやSmart Sheetを導入し、CSVファイルでMayaやNUKE間のやり取りをしていました。その結果、制作進行などの仕事が激増し、現場にも負荷がかかってクリエイティブな部分に時間を割けなくなってしまったんです」。それが代替としてTACTICを導入してみた理由だった。

ただ、TACTICにしてもSHOTGUNと同様、アセットやカットの管理などを手入力で進めていくことに変わりはない。「それだけだとExcelやGoogle Spread Sheetが最強じゃないかとなるので、ブラウザーツールを用意してサムネイルやファイル名を表示して開いてやれるようにしました。また、ディレクトリを作るツールも用意していて、いったんTACTICに入力してしまえばセーブしたファイルのバージョンも管理されます」。これには各自の担当箇所だけでなく、作品の全体像を把握した上で作業を進めてほしいとの思いも込められている。

CGWORLD 2016 クリエイティブカンファレンス:OLM

アセットの操作

特集