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CGWORLD Live in 札幌「遊技機映像制作のワークフローとプロセス(exsa)」

CGWORLD Live in 札幌「遊技機映像制作のワークフローとプロセス(exsa)」

スピード&クオリティアップのための工夫

コンポジット以外の工程においてもスピードアップとクオリティの向上を目指し、同社独自の工夫がなされている。例えば2Dデザインの工程においては、Illustrator、Eye Candy(Photoshopプラグイン)、Element3D(After Effectsプラグイン)を、目的に応じて使い分けることで効率アップが目指されている。



Illustratorによるロゴの制作過程。画像上左から①ベースを制作、②グラデーションを制作、③光彩をパスで表現、④エフェクトやそのほかの要素を追加。Illustratorで制作するロゴは、多少のグラデーションは用いるものの、フラットなデザインが特徴だ

Eye Candyによって制作されたロゴ。Eye Candyを使用したロゴについては、Photoshopのスタイルで影や光彩、光沢感といったレイヤーを重ねていきベースデザインを決めた後、Eye Candyで質感が調整される。中でもよく使われるのは、奥行きをつける「浮き出し」と金属的な質感を加える「クロム」とのこと

Element 3Dによって制作されたロゴ

拠点をまたいでチームごとに行われる制作体制及び技術力向上の取り組み

exsaではこのように、Illustratorはフラット感をだすために、Eye Candyは質感を、Element 3Dは立体感をスピーディに表現するため、それぞれ使い分けが行われている。
またモデリングについてもベースリグを共通化&改良することにより、プロジェクトが変わってもベースとなるリグを使い回せるようにしたり、エフェクトに関してはチェックムービーの段階で3ds MaxのプラグインFROSTを使って仮エフェクトを作り、最終イメージを早い段階で固めるなど、効率アップのための工夫が各パートで行われている。
こうしたスピード&クオリティアップのための施策は、ツールやデータの効率化だけでなく、作業の進め方やスタッフへの教育についても行われている。今回、紹介された中では「アニメーション制作の作画監督制度」と「パダワン制度」がそれだ。

モーションディレクターの役割(作画監督)
・モーション仕様の決定(制作ルール)
・クオリティ設定/クオリティ統括
・スケジュール設定/管理
・アサイン調整
中堅スタッフの役割(原画担当)
・レイアウト/アニマティクス
・FIX作業(最後の仕上げ作業)
・クオリティコントロール(統一化)
・若手スタッフへの指導
若手スタッフの役割(動画担当)
・補完モーション
・セカンダリモーション(味付け/揺れ物)
・細かな修正対応
・中堅スタッフの技術を盗む

「アニメーション制作の作画監督制度」とは、モーション制作の工程において、2Dアニメーション制作の作画監督制度を導入し上記のように役割を明確化したもの。作画監督をモーションディレクター、原画担当を中堅スタッフ、動画担当を若手スタッフが担当し、作業を分担することで効率化するのが狙いだ。またexsaはここに、独自の「パダワン制度」というものを採り入れている。この「パダワン」とは映画『スター・ウォーズ』の中に登場する弟子を示す言葉で、「パダワン制度」は中堅スタッフと若手スタッフを二人一組とする師弟制度のようなもの。これを先ほどの「作画監督制度」と組み合わせることで、モーションディレクターの作業負荷の軽減、品質の安定、修正の削減など、様々な効果が得られているという。



ちなみに人材教育についてはこの「パダワン制度」以外にも、スキルアップのために技術強化チームが結成され、定期的に勉強会が行われているという。

拠点をまたいだ仕事をサポートする独自のシステム

これまで見てきた制作工程を拠点をまたいだ形で進めているexsaだが、拠点が多いからこその苦労ももちろんある。中でも大きいのはデータの共有化で、よく言う"データの先祖返り"などが問題になってくる。そこでexsaではこの問題を解決するために「ファイルver.管理ツール」を導入しており、例えば札幌で更新されたデータがあれば他3拠点のサーバーにも複製され、それが同じプロジェクトに携わっているメンバーに「通知」されるのだという。このツールにより、各サーバーに常に最新データが存在し、データの先祖返りなどのミスを防ぐことができるという。

「ファイルver.管理ツール」について

この他にもリスクを最小限に抑えるための「自動バックアップツール」やサーバの空き容量を確保するための「旧データ自動移動ツール」など、拠点をまたいだ仕事でもストレスなく作業が進められるようなシステムが多数採用されている。

「自動バックアップツール」について

「旧データ自動移動ツール」について

新拠点、札幌スタジオについて


最後に、札幌スタジオの開設準備室プロジェクトリーダー小林氏が語っていくれた、新スタジオの今後の展望についてのコメントを紹介する。「11年目を迎える今年は4月1に札幌スタジオを開設し、exsaの新たなる飛躍の年と位置づけています。我々の強みである遊技機映像の制作を軸にしながらも、多彩なチャレンジを進めていきたいです。北海道という強力なブランド力を持ちながら道内から日本全国へ、また世界へ発信できるよなコンテンツをクリエイターの皆様と一緒につくりあげていきたいと思っています」(小林氏)。
札幌スタジオでは現在、スタッフを募集中とのことなので、気になる人はぜひチェックしてほしい。

TEXT_山田桃子

■求人情報
exsa 札幌スタジオは現在下記職種を募集中です。

①CGデザイナー
②CGディレクター
③2Dグラフィックディレクター
④映像演出

※東京・福岡・名古屋でも募集中

■待遇
年棒制
経験、スキル、年齢、前給を考慮し、当社規定により優遇
試用期間3ヶ月あり(待遇同)
勤務時間9:30~18:30(実働8h+休憩1h)
昇給・昇格制度あり
交通費支給

■雇用形態
正社員(希望により契約社員/業務委託/アルバイトも相談可)

■休日休暇
週休2日制(土・日)、祝日、有給休暇、慶弔休暇、その他特別休暇制度あり

詳しくは 求人コーナー【JOBS】をご覧ください。

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