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1996年に公開され、大ヒットを記録した『インデペンデンス・デイ』の続編映画『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』が明日(2016年7月9日)より劇場公開される。

本記事では『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』の公式アート&メイキングブックより貴重なメイキング資料をいくつか紹介します。

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▲映画「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」予告D

シティ・デストロイヤー

昔のSF映画では、なぜ地球にやって来る宇宙船は決まって小さいのだろう? そんな小さい乗り物で宇宙を旅するのは無理があるというものだ。もし私たちが宇宙を旅して回るテクノロジーを持ち、敵意に満ちているとすれば、攻撃を仕掛けてきそうな巨大な宇宙船に乗るに違いない。「とても勝てそうにない」と相手に思わせるために。

これは、映画のストーリーや大気圏に突入してくる来訪者の恐ろしく威圧的な外観を考えていたときに、エメリッヒが投げかけた疑問だ。形状については、1950年代のエイリアン侵略映画に見られる古典的で見覚えのある円盤を継承することにしたものの、そのスケールとディテールには誰も見たことないようなレベルが求められた。そうした宇宙船を実現するために、効果チームはCGではなく実際のモデルを作らなければならなかった。異なるサイズのモデルが3体作られ、たとえばある撮影セットでは、一部分だけで直径26フィートもあるモデルが作られた。

スコールは言う。「巨大ゆえ、遠目ではすごく滑らかに見えるんだ。でも近付くと、すべてのディテールやテクスチャが見えるようになる。さらに近寄ってテクスチャのサイズが異常に大きいことが分かると、円盤全体のあまりの巨大さに気付くんだ。こんな風に段階的にスケールを表現することで、目にしていたものの実態が少しずつ分かるようにしたのさ。一種のトリックだよ。一方で、シティ・デストロイヤーをタワー構造にしようというアイデアもあったんだ。円盤でも前と後ろを区別できるようにすれば、どこを狙って攻撃すればいいかわかるだろう?」

▲シティ・デストロイヤーのモデル。生命感とパワーに満ち、非常に高度であるものの、長年にわたって使われ古びている。どのようにモデルのテクスチャを作り込んだかについて、スコールはこう説明している。「底部のパターンについては、「1つ作ったらコピー機に通し、それをコピーアンドペーストしてパターンを繰り返す」という方法を取ったんだ。本当に手間暇かかってね。整合性をとるのに写真を使ったこともあったし、大部分は手作業で発泡体を彫ってから型取りして、複製したんだから。タトポロスが底部全体のパターンを担当し、シティ・デストロイヤーの底面のルックを作ったんだけど、なかなかよかったよ。シティ・デストロイヤーの中央部分も同じように作った。ここは強力なビームを発射する開口部だったから、僕は発泡樹脂と可動パネルを使って、さまざまな広さに開く小型の模型を作ったんだ」

ホワイトハウスの爆破

この映画の最も重要な攻撃で、最も有名なシーンとなったのは、エイリアンがホワイトハウスを破壊する場面だ。監督のローランド・エメリッヒは語る。「これほど象徴的なシーンになるとは思っていなかった。観客から歓声があがったんだ!」

ミニチュアには30個を超える爆弾が仕掛けられた。モデルは1 体しかなかったため、撮影するチャンスも一度きりだった。1996年、CGはコストが高くついたうえ、2016 年の現在ほど洗練された技術ではなかった。当時、エメリッヒはこう語っていた。「大きいモデルを爆破するなら、フィルムに収めるのがベストだ。たとえば炎なんかは、でたらめで予測不可能なCGIを使ったらひどい出来になってしまう」。このことは、ホワイトハウスのシーンの効果をカメラの前で作り出さなければならなかったことを意味している。さまざまなアングルから撮影できるように、9台のカメラがセットアップされたのだ。

この大胆不敵なショットは非常に大きい爆発のように見えるが、実際はすべてミニチュアで撮影された。爆破技師であり業界のレジェンドでもあるジョー・ヴィスコシル(Joe Viskocil)と効果チームが手を組んだのだ。ジョーとともにこの名シーンを作り上げた(彼とはアカデミー視覚効果賞も分かち合った)フォルカー・エンゲルは言う。「ミニチュアのホワイトハウスの上にシティ・デストロイヤーを配置したんだ。(ハンマーというニックネームで呼んでいた)ビーム以外は一切CG で誇張したりしなかった。ホワイトハウスに落とされたビームだけ、CG で作ったんだ。他はすべて実際に撮影したものさ。ジョーと僕は、正確なタイミングをつかもうと前日にいくつかテストをして、タイミングが合っていないことが分かった。僕たちが撮影したのはごく一部分だ。そうしないとすべてを吹き飛さなくてはならなかっただろうし、タイミングを合わせることもできなかっただろうからね」

完成したシーケンスはこの映画の「決定的瞬間」になった。実にリアルだったことから、映画製作者は本物のホワイトハウスで作品を上映するよう依頼を受けたほどだ。

新たなエイリアン

エイリアンの再来にあたって、制作陣は選択を迫られた。1作目のデザインをどの程度踏襲し、クリーチャーをどの程度新たに考え直すのか。課題は、見覚えのある「インデペンデンス・デイ」のルックを維持しつつ、物語に新たな展開をもたらすことだった。前作でエイリアンのデザインを担当したパトリック・タトポロスが2 カ月かけてアイデアを練り、その後、作業の大部分はクリーチャーデザインを専門とするAaron Sims Companyの創設者、アーロン・シムズ(Aaron Sims)に引き継がれた。

シムズは次のように説明する。「主なエイリアン、つまり入植者は、1作目の映画に出てきた連中だ。まずはそのリデザインから始めた。1990年代にデザインしたものだから、さらに踏み込んだ興味深いものにするためにね。このキャラクターだけをとってみても進化があったので、デザインを変更すべきかどうか考えたんだ。でも結局はオリジナルからほとんど変えていない。ほんの少し手直しして、背を高くした程度だよ」

「(今作の)入植者は歩くので、足と脚を少し変更して歩行可能にしたんだ。1作目から進化したのはその点だろうね。当時の技術では、機械的に動かす方法がなかったんだ。それに、四六時中見えているのではなく、謎に包まれた部分が多い方が不気味だったというのもある。本作ではエイリアンの姿がよく見えるから、弱々しい見た目ではなく、自分より背の高い存在が威嚇するように目の前に立ちはだかる感じを出したかった。ただうごめき回るのではなくね。もっと不穏な存在、ある意味人間のようだと思える存在にする必要があったんだ」

マザーシップ

マザーシップの到来は映画の重要なシーンだ。撃ち落とされたAI機からの警告を受け、レヴィンソン、ジェイク、その仲間たちはムーンタグに避難する。そして巨大なマザーシップは月面のキャノン砲を破壊し、ESDの基地は吸い上げられた月の破片に押し潰されて壊滅する。

「艦」という呼び名は不適切で、「惑星」と言った方がしっくりくる。その姿の前には、これまで目にしたあらゆるものが小さく思える。レヴィンソンはこう表現した。「明らかに前回より巨大だ」

観客と登場人物に、相応の畏怖の念と圧倒的な衝撃を与えなくてはならない。20年間にわたって待ち続け、思いを巡らせてきた後で、夢にも思わなかった光景を目の当たりにするのだ。デザインを成功させるプレッシャーをひしひしと感じ、エメリッヒと緊密に協力して作業にあたったヨハネス・ミュッケは、こう説明する。「マザーシップは地球にやってきて、覆いかぶさる。その脚の先端が地球に着地し、地面をしっかりと掴んで、腰を据えるようなデザインにしたんだ。マザーシップの中央には、ドリルを備えた開口部がある。そこから地球の核に向かってプラズマが発射される。それは地球の核からマグマを吸い上げ、マザーシップ内へと取り込む。そして取り込まれたマグマは脚からその先端へと流れ、大地に根を張るんだ。ローランドにアイデアを提案すると、気に入ってもらえることもあれば、ダメ出しを食らうこともある。でも僕たちはそれを参考にして、溶岩が水中を進む様子を売り込んだ。溶岩は冷たい水の中を進み、急速に冷えながら広がり、止まる。そしてまた中から熱が間を割って流れ出て、どんどん大きくなっていく。信じられないような光景で、大好評だった。これが僕たちが考えた、主にワシントンで地中に根を下ろす仕組みで、そこからどんどん広がっていくんだ」

マザーシップは威圧的で、目的にかなったデザインでなければならない。できるだけ一目で明確なインパクトを与える必要があるのだ。

ミュッケは次のように説明する。「ローランドからは、素晴らしい教訓を学んだよ。彼は、できるだけシンプルにすることを信条としている。「宇宙船は円盤状」ってね。この上なく単刀直入でシンプルなアイデアが好きなんだ。アイデアは自然にとても複雑になってしまうものだ。スタート地点から複雑だったら、ゴルディアスの結び目になってしまうよ。そんなもの、どうあがいても視覚的な解決策なんて見つからないさ」

ミュッケはこう続ける。「デザインはある程度時間をかけて、意見を聞きながら作り上げていく。だから、誰の目にも明白で疑問の余地のないデザインが、作業を進めていくうちに自然と少しずつ複雑になっていくんだ」。マザーシップのデザインはすぐに思いついたが、こんなに大きい宇宙船がどのように機能しているのかという、論理的な疑問や物理的な疑問が間もなく持ち上がった。

「ある時点で、これではマザーシップの底が大気圏をかするだけだと気付いたんだ。つまり、(大気圏はとても薄い層だから)このアイデアでは大気圏内にすっぽりと収めることはできない。僕はローランドに言われて全体のデザインをやり直し、到着後にもっと動く要素を加えた。最初は地球にかぶせた蓋みたいで、そこから脚を伸ばし始めるようにしたんだ。マザーシップの桁違いな巨大さと、その侵入を可能にする仕組みを両立させるために、何度もデザインをやり直した。ローランドは、平らで脚がある様子を見て、「地球に置いたテーブルみたいだね」と言っていたよ」

※『アート&メイキング・オブ・インデペンデンス・デイ:リサージェンス』より一部抜粋

■書籍情報

  • アート&メイキング・オブ・インデペンデンス・デイ:リサージェンス

    著者:サイモン・ワード
    序文:ローランド・エメリッヒ
    定価:本体3,600円 + 税
    ISBN:978-4-86246-345-6
    総ページ数:176 ページ
    サイズ:A4変形判(横長)

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