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SOLA DIGITAL ARTSが描くエヴァンゲリオンの世界

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Another Evaの3Dモデル
完成したAnother Evaの3Dモデル。特徴的なディテールをピックアップしてみたので、ディテールのつくり込みに注目してもらいたい。モデルの制作期間は約2ヶ月半だという。クローズアップで下からカメラがなめていくようなショットもあるため、ディテールもアップに耐えるクオリティで制作されている。「これまで自分が作成したアセットで、ここまでクローズアップで全体を映されてしまうようなことはなかったので、AnotherEVAほど手の抜けないアセット制作はなかったです。3DCGにしてしまうとデザインが小さくまとまってしまいがちなので、そうならないように特に気をつけました。綿密なディテールとシルエットのダイナミックさを意識し、竹内氏の画を活かせるよう制作していきました」(清水氏)


前面


背面


太腿

マーキングデザイン
Another EVAに施されたマーキングのデザイン案。このマーキングのデザインは巨大感とアニメとしてのインパクトを出すために、荒牧監督が自らレンダリングされたAnother Evaの画像にオーバーペイントしたものだ。オレンジとブルーの発光箇所のほかに、ボディの表面にあるハッチやデカール文字などが細かく描かれており、巨大感を強調すると同時にメカとしての存在感が実に見事に表現されている。荒牧監督ならではのデザインだ


テクスチャとマテリアルの設定
Another EVAの質感は前述したとおり、カーペイント風の質感をベースに設定されている。この質感に関しても清水氏が手がけている。質感に関してのデザイン的な指示はほとんどなかったため、清水氏が自分なりに資料を探して参考にしたという。「竹内氏が作成した2Dのペイント資料もあったのですが、リアル感に関してはこちらに委ねられていたので、その検証を含めてモデリング作業の初期の段階でどのようなシェーディングにするか探り始めていました」と清水氏。カーペイント風のシェーディングを得るために特に重要だったのが、いかに表面を綺麗にモデリングするかだったという。スペキュラが入ったときにたわんでしまったり、マーキングが入ったときにまっすぐなラインが引けなかったりと、ベースのポリゴンの状態で見映えがかなり変わってしまうため、非常に気を遣ったとのことだ。巨大感を出すために大きい面に小さい穴が空いているなど、面のたわみの原因となるデザイン要素も多いため、綺麗なシェーディングを施すためのモデリングテクニックが特に必要とされたアセットだったと清水氏は話す。ちなみに、UV展開の作業にはMaya 2015から搭載されたUV展開ツールの3D Unfoldを活用。非常に効率良く作業をすることができたという


  • ディフューズ


  • ノーマル


スペキュラ


マテリアル設定画面

完成3Dモデル
質感を設定して完成させたAnother EVA。シルエットのベースはカラーから提供された初号機のモデルをひな形に作成されているが、「別」の世界で開発されたEVAという設定のため、デザインコンセプトを踏襲しつつもこれまでとはまったくちがうEVAが表現されている。モデル、ルックまで完成したところで、セットアップに作業が移るが、リガーとのやりとりをしながらモデルを調整していくというスケジュールが取れなかったため、ある程度事前に清水氏の方で可動域の検証などが行われている。そのためよくあるTポーズではなく、EVAのデフォルトポーズでのフィニッシュとなった

前面

背面

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