>   >  プレイヤーの視線をビジュアルで間接的に誘導し、ゲームプレイを円滑に進めるためのテクニック ~「GCAP 2016」講演レポート〜
プレイヤーの視線をビジュアルで間接的に誘導し、ゲームプレイを円滑に進めるためのテクニック ~「GCAP 2016」講演レポート〜

プレイヤーの視線をビジュアルで間接的に誘導し、ゲームプレイを円滑に進めるためのテクニック ~「GCAP 2016」講演レポート〜

(7)カラーリング

プレイヤーの視線をビジュアルで間接的に誘導し、ゲームプレイを円滑に進めるためのテクニック 〜GCAP2016講演レポート〜

ライティング同様にコントラストの高いカラーリングはプレイヤーの注意を喚起できる

プレイヤーの視線をビジュアルで間接的に誘導し、ゲームプレイを円滑に進めるためのテクニック 〜GCAP2016講演レポート〜

ドアに緑色の配色をほどこして、手がかりを提示している例

(8)複数のアイテムをつなぐ

プレイヤーの視線をビジュアルで間接的に誘導し、ゲームプレイを円滑に進めるためのテクニック 〜GCAP2016講演レポート〜

あるアイテムを壁の穴に設置するなど、形状でパズルの意味を示している例

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複数のアイテムをケーブルで結んで、お互いがパズルを解く鍵であることを示している例

(9)被写界深度

プレイヤーの視線をビジュアルで間接的に誘導し、ゲームプレイを円滑に進めるためのテクニック 〜GCAP2016講演レポート〜

被写界深度を浅くすることでキーアイテムを印象づけられる

(10)視線移動

プレイヤーの視線をビジュアルで間接的に誘導し、ゲームプレイを円滑に進めるためのテクニック 〜GCAP2016講演レポート〜

アニメーションによってプレイヤーの視線を効果的に誘導できる。スポットライトやパーティクルの移動などが効果的

(11)プレイヤーは画面上半分を見ない?

プレイヤーの視線をビジュアルで間接的に誘導し、ゲームプレイを円滑に進めるためのテクニック 〜GCAP2016講演レポート〜

多くのプレイヤーは画面の上半分より下半分に注意を向けがちなので、重要なアイテムは画面の下半分に配置すべき。もちろんこうした原則を逆手に取ったレベルデザインも本作には多く含まれている。ゲームの序盤は原理原則にのっとったレベルデザインを行い、後半に進むにつれて、こうしたトリッキーなレベルデザインを増やしていくのが定石となる

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「プレイヤーは画面上半分を見ない」を逆手にとり、天井にパズルをしかけた例

(12)ネガティブスペース

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あえて暗く、見つけにくい場所に手がかりを配置する。ただし、これらのアイテムは絶対に「見えて」いなければならない

(13)ミスディレクション

プレイヤーの視線をビジュアルで間接的に誘導し、ゲームプレイを円滑に進めるためのテクニック 〜GCAP2016講演レポート〜

偽の情報を目立たせることで本当の手がかりを隠すことができる。ここでは画面右上のスポットライトを目立たせて、画面左の建造物に隠された手がかりを隠している。ただし、間接光によって微妙に手がかりが暗示されている点にも注意してほしい

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棚の上のアイテムに光を当てることで、その下の手がかりを隠している例。このほか背景アート、エフェクト、サウンドなどを効果的に使用することで、ゲーム全体のストーリーを暗示させることもできる

(14)乱れたままのベッド

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汚れたままの皿、乱れたベッドなどの存在で、古城の住人の人となりを示している例

(15)テキスト対サブテキスト

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『EoA』では壁に多数の絵画が飾られており、いずれもテーマやストーリーに関係した内容になっている

(16)ライティング・音楽・ポストエフェクト

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各々の部屋でライティング・音楽・ポストエフェクトを使い分けて、テーマやストーリーに即した、異なる雰囲気を醸し出すようにする

(17)キャラクター固有の色味

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本作では古城の住人として4名のキャラクターが登場する。それらに固有のキーカラーを設定し、性格づけに利用する

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キャラクターに関連したアイテムはキーカラーと同系色にして繋がりを暗示する

まとめ

最後にドロステ氏は「適切に背景をデザインすることで、ゲームプレイを誘導できる」とまとめた。また、こうした要素はレベルデザイナーがグレイボックス(仮素材によってステージレイアウトをほどこした段階)上でアイディアを盛り込み、背景アーティストが仕上げるのが望ましいとした。そのうえで開発中に何度もフォーカステスト(=テストプレイ)を繰り返し、最後まで両者が協力して修正していくことが肝心だとした。

プレイヤーの視線をビジュアルで間接的に誘導し、ゲームプレイを円滑に進めるためのテクニック 〜GCAP2016講演レポート〜

 

本作では古城内を自由にプレイヤーが移動することはできず、シーン上の特定ポイント(扉など)をクリックすることで別のシーンにワープする移動方式が採用されている。その一方で各シーンは静止画CGではなくリアルタイムCGで制作されており、ある程度周囲の状況も見渡せるつくりになっている。そのため周囲を見渡してはじめて発見できるしかけも多く、それだけに上記のような視線誘導のテクニックが求められる内容になっている。

今後VRゲームが増加するにつれて、こうした「プレイヤーの視線をビジュアルで間接的に誘導するテクニック」は、さらに求められていくと考えられる。それだけに本セッションのような「基本」を、しっかり習得していくことがますます必要になるといえるだろう。

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