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リアルタイム表現の限界突破! Unityによる映画クオリティのフルCGショートフィルム『Windup』

リアルタイム表現の限界突破! Unityによる映画クオリティのフルCGショートフィルム『Windup』

キャラクター制作

柔軟に更新を重ねたキャラクター制作

Kikiのデザイン画

モデリング。前髪の形状など、制作中たびたび変更が加えられた

完成。父親も含めて、その後の工程を受けてブラッシュアップや技術的な問題の回避のために細かくデザイン変更が重ねられたという

マニュアルソートによる髪の毛表現

メッシュ形状がある程度決まったところで、髪の毛をつくり込んでいく。この際、重要になるのが半透明オブジェクトのソート方法だ。品質に優れる一方負荷も高いOIT(Order Independent Transparency)、軽快だがノイズなどの問題があるディザと比べ、品質・負荷のバランスがいいマニュアルソートが採用された。欠点は、制作の手間がかさむことだ

髪のメッシュはショットによって10前後に分けられ、見た目に合わせて手動でプライオリティが調整される

ノーマルマップは十分なテクスチャサイズが必要になる一方、効果が実感できるのは髪の毛にカメラがかなり寄ったときに限られる。ラフネスに図のようなノイズパターンを用いることで髪の毛が多いように見せている。また、毛束から逸脱した細かい毛はXGenで表現した

重なり合う髪の毛は、HDRPのLitシェーダのAlpha Clippingを使い、不透明オブジェクトとして描画している

セーターの質感を追求

セーターは、デザイン上はシンプルなため複雑なシワなどをモデリングする必要はなかったが、だからこそ他のディテールでリアルさを引き出す必要があった

ウールの質感を部分的に変えるためにエリア分けされている

イービン氏が作成したディテールテクスチャの例。 MayaZBrushで制作し、法線・AOなどのマップを256×256ピクセルで出力して貼り付ける

けば(Fuzz)は板ポリをルーズに配置して表現している。このポリゴン数がキャラクター自体のポリゴン数を超えてしまわないよう注意し、LOD(0~2)を設定してカリングしている

背景&植生

Houdini Engineを活用したプロシージャルアセット

背景に這う木の根はプロシージャルに作成している。そのしくみはTAのChris Kang/クリス・カン氏がHoudini Engineを用いて制作した

Unity上で這う経路や太さ、捻れ具合などを設定。「モデラーやアニメーターなど、誰でもUnity上で根の方向、変形、UV情報をリアルタイムで調整することができます。シーンを構築する時間を大幅に短縮し、よりイテレーションを回しやすくなりました」(クリス氏)

根だけでなく電線類の作成にも使われている。本数やたわみ具合を調整することが可能だ

アニメ映画相当の植生アニメーション

「ポリゴン数を減らすために相貫させて表現するビデオゲームとは異なり、アニメーション映画では映像表現として植生のクローズアップや葉の動きもあるので、葉の1枚1枚まで緻密にモデリングしています」(イービン氏)。こうした課題に対して、制作中に機能が充実してきたShader Graphの機能を利用し、頂点アニメーションとHDRPのライティングモデルとの互換性をもった新たな植物用シェーダで表現した

木の枝、葉のモデル。アルファマップで抜く等ではなく実際にモデリングされており、頂点数は多い

HDRPによるレンダリング

マテリアルライブラリ

AAA規模のゲーム開発と同じように、準備期間中にマテリアルを事前に大量に作成し、一望できるようにテスト用のマップに配置

適用したアセットの一例

頂点カラーを設定した平面にレイヤードシェーダを割り当て、1つの平面状で同じ素材の異なる劣化度合いを見ることができるようにしてある

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