ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2011〜特別対談:別所哲也×杉山知之
ショートショート フィルムフェスティバル(企画運営:株式会社パシフィックボイス)とデジタルハリウッド株式会社が業務提携を結んだ。その主眼となるのは、"ショートフィルム(短編映画)"という、デジタルデバイスを通した表現に適したエンターテインメントコンテンツを通じて、今後の映像文化を担う若手クリエイターの発掘と育成を目指すというものだ。別所哲也氏(株式会社パシフィックボイス代表取締役)と、杉山知之氏(デジタルハリウッド大学学長)に、その経緯と展望を伺った。
別所哲也(べっしょてつや)
慶應義塾大学法学部卒。俳優として幅広く活躍する一方、1999年より、日本発の短篇映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル」を主宰。これまでの映画祭への取り組みから、観光庁「VISIT JAPAN 大使」に任命され、文化庁からは文化発信部門の長官表彰を受けた。第21・22・23回東京国際映画祭審査員・内閣官房知的財産戦略本部コンテンツ強化専門調査会委員。
杉山知之(すぎやまともゆき)
デジタルハリウッド大学 学長/工学博士。1987年よりMITメディア・ラボ客員研究員として3年間活動。国際メディア研究財団・主任研究員、日本大学短期大学部専任講師を経て、1994年10月 デジタルハリウッド設立。2004年日本初の株式会社立「デジタルハリウッド大学院」を開学。翌年、「デジタルハリウッド大学」を開学し、現在、同大学の学長を務めている。
世界基準のCGクリエイターの養成と輩出の実現を目指す
ーー別所さんが本映画祭を始めたきっかけは何だったのですか?
別所哲也氏(以下、別所)ーーショートショート フィルムフェスティバル & アジアは来年度の開催で13年目を迎えますが、ロサンゼルスに旅行に行った際に、友人に誘われてショートフィルムを観にいったことがきっかけでした。それまで、映画とはこういうもの、ミュージックビデオはこういうものっていう規定概念がありました。僕も実際に俳優として映画と接してきた中で、エンターテインメントとして映像作品は2時間ぐらいで、ストーリーがあってという刷り込み、思い込みみたいなものがあったんです。でもショートフィルムに触れた際に、こういう形態の映像作品があっても良いんだって素直に感じられました。もっと自由で良いんだって。映像ってもっと垣根のないものであって良いはずと、俳優としても、映画好きとしても思えたんです。
杉山知之(以下、杉山)ーーなるほど。僕もそう思います。ショートフィルムは尺にも囚われないし、実写だったりコマ撮りだったりと手法としても様々で、多様な作品が多く見られますよね。
別所ーーそうですね。ただし当時ショートフィルムというと実験的なものでしかないように捉えられていた部分がありました。自主制作作品っぽいというか。でも、実際はもっと野心的なものが集まっていました。その点では実験的ではありますが、自由な枠組みの中で生まれる自由な表現は見逃せないですね。そこには技術的な挑戦もあり、物語としての挑戦もあり、そこから映像の未来が拓けていくだろうという実感もありました。そういう可能性に触れて、自らの手でショートフィルムを世界から集めて上映するという新しい映画祭を企画し、現在に至っています。
杉山ーーそうした中でデジタルの貢献は大きなものですね。当時からハリウッドでもより革新的な映像制作が取り組まれていました。
別所ーーまさにその通りで、当時、ネット社会の中で音声配信の後に映像配信が必ずやってくるだろうっていう変革期でした。配信技術もゆくゆくついて来て、アウトプットとインプットの形が、それまで僕が知っている映画とか演劇とかの枠組みとはまったく異なるものになっていく。その中で、コンテンツに関わるクリエイターをはじめ、どんな分野の人もそのことに直面せざるを得ないという状況をハリウッドの人は分かっていて、すでに動いていたんですよね。その状況で改めてショートフィルムの魅力が感じられた部分があります。そもそも映画の始まりはワンコインムービーでショートフィルムでしたし、その点で原点回帰した上で、さらに未来を進むという価値のあるものだと思いました。
ーー業務提携に当たって、どのような経緯があったのですか?
杉山ーー実は以前より親交がありました。たしか、別所さんがショートショート フィルムフェスティバルを始めて、3回目が催された2001年に、デジタルハリウッド生の作品が上映作品に選ばれたのがきっかけでしたね。
別所ーーそうですね。もちろん、その前からデジタルハリウッドさんのことは良く存じ上げていました。日本のデジタルコンテンツに関わる優秀なクリエイターを生み出す専門スクールとして強烈なインパクトを持っていましたし。
杉山ーー僕はその時に選ばれた作品を高く評価していただいたことを今でも覚えていますよ。やはり俳優として生の映画に関わってきた方にデジタル作品が認められるということはこの上なく光栄でした。そうして、実際にお会いしてお話しした際に、この映画祭のコンセプトに強く共感を覚えました。作り方も変われば、見る形態も変わる。映画館に行って席に座って2時間じっくり観るというのが一般的でしたが、それだけではなく、ネットを介して、パソコンで観るのは当然のこと、携帯デバイスを用いて外でも視聴するなど、もっと気軽に楽しめるものであって良いと思いました。そこを支えるのはデジタルデバイスであり、作品のクオリティを高める手法としてもデジタルツールが支えている面もあります。
別所ーーその点もとても強いですね。挑戦的な作品であっても予算的な制約にかなり苦しめられる部分があります。例えば、良いキャスティングができなかったり、ロケが行えなかったり。デジタルで制作することでそれらを解消して良質な作品制作に取り組めるわけですから純粋に利点ですね。もちろん、相応に作る負荷がかかりますが(笑)。
杉山ーー当時からこうした共感が強くあった上で、この度業務提携を行うことになったのですが、デジタルコンテンツとその作り手を発掘して、世界に羽ばたかせたいという思いからの相互協力ですね。
別所ーーここ数年はHD、そしてS3D(立体視)というデジタルコンテンツが本映画祭の応募作品の多くを占めてきています。それらを正当に評価して、展開させていく上で、そこの判断はやはり本職であるデジタルハリウッドさんの協力が必須だと思います。技術的な発展にも映画祭として寄与していきたいんです。
杉山ーーそうした意味で、作品が一堂に会する映画祭という形はとても重要だと思っています。作品同士、そして作り手のコミュニケーションが図れる場で建設的ですし。文化として重要な枠組みですね。文化産業として、監督や、アーティストになりたいって願望を持つ人ってすごく多い訳で、その受け皿にもなります。自由な表現、自由な視聴の場が広まる一方で、伝播する力の集合体である映画祭を介して作品と作り手を世界に広めていけると思いますね。
別所ーー世界的にアジアの力って非常に注目されている状況でもありますしね。クオリティ面、価格の面など様々な要素がありますが、世界中から日本の映画祭に作品が集まり、そこで日本のクリエイターも肩を並べる状況は楽しいです。2011年は私たちの映画祭の中に初のCGプログラムをデジタルハリウッドさんと設置しますし、そこからまずはアジアの中で、そして世界でというように、日本の映像作品とその作り手を羽ばたかせる力になりたいですね。
杉山ーーそのためにも、同じコンセプトの下で、異なる視点から作品に接し、世界への橋渡しをしていきたいですね。来年の「ショートショート フェスティバル & アジア 2011」で再び多くの作品と出会えるのを楽しみにしています。
ショートショート フィルムフェスティバル
& アジア 2011
米国アカデミー賞公認、日本発アジア最大級の国際短編映画祭。1999年より原宿を中心にスタートし、有名監督の初期作品や、若手映像作家が産み出した作品など、毎年4,000本以上にも及ぶショートフィルムが、世界50以上の国や地域からよせられ、のべ14万人を動員する。
info.
応募内容:「オフィシャルコンペティション ジャパン部門」「ストップ! 温暖化部門」「旅シヨーット! プロジェクト」「オンラインプロジェクト」の4部門で国内作品募集中。詳細は下記URLにて確認。
応募期間:第一次募集:2010年12月1日(水)(対象:2010年8月1日以降に完成された作品)、第二次募集〜2011年2月1日(火)(対象:2010年8月1日以前に完成された作品)※前年度の映画祭にご応募された作品は再応募いただけません。※二次募集締切 (2月1日)前に上映作品が確定する可能性があることを予めご了承ください。なお、確定以降にご応募いただいた作品は次年度の選考対象とさせていただきます。
問い合わせ先:ショートショート実行委員会/ショートショート アジア実行委員会
SSFF公式サイト



