The Foundry 独占インタビュー
SIGGRAPH 2011 の開催に合わせ、NUKE の開発&販売元である The Foundry へのインタビューが実現した。この日取材に応じてくれたのは、サイモン・ロビンソン氏(Chief Scientist)とジャック・グリースリー氏(MARI Product Manager)。会期中の忙しいスケジュールの合間を縫ってのインタビューであったが、先に開催されたユーザーイベント「The Foundry GEEKFEST」が盛況に終わったこともあり、当日は2人共リラックスした雰囲気で NUKE、KATANA、そして MARI について語ってくれた。
右:サイモン・ロビンソン氏(Chief Scientist)
左:ジャック・グリースリー氏(MARI Product Manager)
PHOTO_山下奈津子
NUKE と NUKEX 6.3
The Foundry と言えば、最初に思い浮かぶのは「NUKE」だろう。その最新版 NUKE & NUKEX 6.3 について、搭載された機能の詳細を中心にサイモン・ロビンソン氏に話を伺った。(以下、サイモン・ロビンソン氏)
これまで NUKE のリリースを年2回くらいのペースで心掛けてきた我々にとって、このリリースは「Big Release」となります。今回発表された 6.3 には、デノイズ/Denoise をはじめ、3D Particles や、より柔軟なコントロールが可能になったスプラインツール、そして Planar Tracker、MARI とのスムーズな連携を実現した「NUKE <> MARI BRIDGE」、Deep Image Compositing 等の新機能がいくつも盛り込まれているのです。
デノイズ/Denoise
新しいデノイズは、旧来のディグレインとは完全に別物で、全く新しいアルゴリズムで開発しました。8月8日(月)に行われた NUKE ユーザー会「The Foundry GEEKFEST」の冒頭でもご紹介しましたが、クォリティー&スピード共に格段のパワーアップを図りました。CPU から GPU 使用に切り替えたことも、パワーアップやパフォーマンス向上の1つの要因と言えるでしょう。このデノイズは強力で、フィルムのグレインはもちろん、デジタルカメラによる CCD イメージセンサでのデジタルノイズなど、幅広い「ノイズ」の除去に有効です。
NUKEX 6.3 Denoise Tutorial: part 1 from Hieronymus Foundry on Vimeo.
Planar Tracker
今回新しく登場したトラッキング Planar Tracker は、従来の 2D トラッキングのように「ポイント」をトラッキングしていくのではなく「サーフェス」として捉えてトラッキングを行うという、いわゆる「2.5D」トラッキングです。作業のスピードアップはもちろんのこと、ロゴ、看板などの置き換え作業や、CG で作成したエレメントの挿入などで力を発揮することでしょう。
NUKEX 6.3 Planar Tracker Tutorial: Intro from Hieronymus Foundry on Vimeo.
3D Particles
今回のバージョンで初めて 3D Particles が NUKE 内で使用できるようになりました。現在のところ、コリジョン(衝突)については単純なプリミティブ形状のみで、複雑な形状をしたジオメトリには対応しておりませんが、他の 3D パッケージを用いることなく手軽にパーティクルを使用できます。この機能は CM、TV 等のプロジェクトで活用できるでしょう。
NUKEX 6.3 Particles Tutorial: Fundamentals part 1 from Hieronymus Foundry on Vimeo.
Deep Image Compositing
SIGGRAPH 2010 で Weta Digital より発表され、既に映画『アバター』等で使用されている Deep Image Compositing が NUKE でもサポートされました。Deep Image Compositing は、不透明度やカラーサンプル、Depth などの情報をピクセル毎に持つことができ、今までよりも綺麗にエッジを処理できます。「レイヤー毎」の合成と言うより、どちらかと言えば「ピクセル単位」の合成のように、各ピクセル毎の Depth 情報を元にコンポジットを行なえるのです。これによって、従来はレイヤーの前後関係を調整する為に必要だったベジェマスクを作成する頻度が軽減できるなど、作業効率においても利点があります。今後は、Deep Image Compositing が標準で扱える OpenEXR 2.0 へのサポートが予定されており、Deep Image Compositing がより身近な存在になることでしょう。
NUKE の課題はパフォーマンスの向上にあります。特にリアルタイム対応は重要なファクターです。Primatte Keyer 5.0 の搭載や、SIGGRAPH 2011 で発表された Alembic のサポートなど、NUKE は今後、益々プロダクション・ワークフローの中で不可欠なツールとなっていくことでしょう。


