アジアの躍進を実感〜SIGGRAPH ASIA 2011(香港)
イギリス文化と中国文化が混在する近代都市、香港で開催された SIGGRAPH ASIA 2011 は、地元周辺はもとより、アジア、ヨーロッパの各地から参加者を集めた。毎年北米で開催される本家 SIGGRAPH に比べて約半分の規模ながらも、充実したセッションと工夫を凝らした展示内容で来場者の期待に応えるものであった。
SIGGRAPH ASIA 2011 会場の Hong Kong Convention & Exhibition Centre(実際の会場はこの奥の建物)
進化と発展、応用に向かう「CG」の世界
2011 年 12 月 12 日(月)から 15 日(木)の4日間、コンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する世界最大の学会・展示会 SIGGRAPH のアジア版、SIGGRAPH ASIA 2011 が初の香港で開催された。第4回目となる今回は、世界 53 ヶ国から約 7,500 人の参加者が集まる大盛況であった。
SIGGRAPH ASIA 2011 レジストレーション会場(左)、アートギャラリー入り口風景(右)
昨年の SIGGRAPH ASIA 2010 は様々な理由からいくつかの主要展示が無く寂しいものであったが、今年の SIGGRAPH ASIA 2011 は規模こそ小さいながらも、ほぼ米国の SIGGRAPH と同内容のセッション、展示、イベントが繰り広げられた。
新たに増えた Symposium on Apps と呼ばれる携帯端末向けの CG や AR(拡張現実)の研究/実例を扱うセッショントラックでは、試行錯誤ながらも参加者を集めていたし、展示会場やギャラリー会場では、地元の中高生が団体で訪れる様子も見られた。若いうちに SIGGRPAH のような最先端の研究/製品/作品に触れることによって、CG やインタラクティブ技術の認知度の向上や、彼らの今後の活躍が期待される。また、SIGGRAPH ASIA は小規模なりのメリットもあり、シアター会場、セッション会場、ポスター会場、展示会場などの会場構成がコンパクトで人が集まりやすく、行き来が大変楽であった。さらに Pixar Animation Studios の超人気のセッションでは同内容を1日に何回も実施するなど、参加者のニーズに応え、配慮されたセッション構成も好印象といえる。
今年のキーノート1日目は、中国文化や中国現地の風景を詳しく調査して製作された映画『カンフー・パンダ 2』より、多くの取材写真とスケッチ、完成映像を用いてメイキングが紹介された。2日目はユーザーインターフェイス界の重鎮、マイクロソフトリサーチの Bill Buxton 氏の講演。現在、最先端と呼ばれる技術(例えばマルチタッチ)などは、実は 20 年くらい前に初めて出てきた技術であり「古きを温ねて新しきを知る」といった内容であった。3日目は、多岐に渡った CG 研究の大御所であり Perlin ノイズで知られる、Ken Perlin 氏が、パワーポイントなどは使わず、全て自身の開発した最新デモツールによるコミュニケーション手法で講演した。『スター・ウォーズ』のレイア姫のホログラムに似せた Kinect センサとビデオを活用したデモ、講演発表はもちろんのこと、その後の Q&A も含め、大変示唆に富み充実した内容であった。
キーノートスピーチ1日目、『カンフー・パンダ 2』の発表。
Raymond Zibach 氏と Phil Craven 氏
2日目の Bill Buxton 氏(左)と、3日目の Ken Perlin 氏(右)
セッションの中でも特に評判が良かったのが、「How to write a SIGGRAPH paper:シーグラフ論文を書く方法」であった。内容は、的確な問題を見つけ出し、それが自分の得意事項であり、的確に実行すること。とにかく頑張って、諦めないこと。経験のある人と一緒に研究すること。研究の世界に閉じこもらないで、製品や映像作品を作っている人とコラボレーションすると良いアイデアが生み出されること。沢山論文を読むこと。論文の最後のまとめは要約ではなく、メッセージを込めること。心と体の健康は大切であることなど。多くの研究者に役立つ内容で、かつ元気づけられるものであった。
SIGGRAPH に行き着くまでの長い道のりを描いた画像


