Report

CG・映像系イベントをピンポイント解説!

シーンファイル共有フォーマット「Alembic 1.0」正式リリース(ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス&ルーカスフィルム)

データ転送の面でも有利

I/O 速度も Alembic によって飛躍的に向上するとのこと。SPI では、劇場アニメーション長編 『スマーフ』 制作データの中で読み込みに 65 秒掛かった OBJ ファイルを Alembic のフォーマットに変換して読み込んでみたところ、わずか 0.2 秒で完了したそうだ。このように、Alembic を導入する最大のメリットは、異なるパイプラインを持つ2つ以上の VFX スタジオ間で、アセットをショット レベルのみならずシーケンス レベルで共有する際のファイル変換の手間、そして I/O スピードが大きく軽減できるという点にあると言える。

映画『スマーフ』における実例テスト比較グラフ

映画『スマーフ』の最終データ転送比較。.obj フォーマットでは、1フレーム分の転送に65秒かかったデータが、Alembic フォーマットではわずか0.2秒で転送できてしまったというから驚きだ

Alembic は、オープンソースで広く使用されている BSD ライセンス の新規定を満たしている。C++ や Python で記述し、boostHDF5 の C/C++ libraries、そしてお馴染みの OpenEXR を使用できる。なお、Alembic のコード ベースは米 Google Code のサイトからダウンロードすることが可能だ。

主要ツール・ベンダーもサポートを表明

大きな可能性を持つ Alembic だが、全ての VFX 制作者がその恩恵に預かれるかと言うとそれは時期尚早だろう。私見になるが、ある程度のパイプラインと強力な開発力を持ったハイエンドな VFX スタジオでないと、Alembic のパフォーマンスを 100%引き出すことは難しいようにも感じたからだ。
しかし、VFX ショットが 1,000 を超えるような大作で、3つ以上の VFX ベンダーが作業を分担するプロジェクトでは、強力な武器になることは容易に想像ができる。デジタル・ドメインMPC のように世界各所に数多くのスタジオを持つ VFX スタジオでは、社内のアセット共有で力を発揮するに違いない。ただ各スタジオの既存パイプラインに組み込んでいくには、ある程度の試行期間とパイプライン チームによる強力なサポートが必要になるため、あるプロジェクトでテスト導入して動作を確認しつつ、徐々にファシリティー レベルに広げていく等の段階的な導入が必要になるだろう。

そうした意味で好材料となる発表もあった。Autodesk、Houdini でお馴染みの Side Effects Software、NUKE の開発元 The Foundry といった主要ツール・ベンダーが Alembic のサポートを表明したのである。これによってハリウッドの VFX スタジオへの浸透が加速することが期待される。まずは、SPI と ILM 以外の大手 VFX スタジオの対応が気になるところだ。

各社がAlembic のサポートを表明

主要ツール・ベンダー各社がAlembic のサポートを表明

2011年8月9日に催されたプレスカンファレンス動画(提供:fxguide

TEXT_鍋 潤太郎
PHOTO_山下奈津子

Alembic logo


Alembic プロジェクト

2011年11月11日にバージョン 1.0.3 がリリース。下記のサイトより無償でダウンロードできる。
公式ページ
Google Projectページ

SEARCH
MAIL MAGAZINE
RSS
 
▲ページTOPへ戻る
© WORKS CORPORATIONS INC. ALL RIGHTS RESERVED.