Report

CG・映像系イベントをピンポイント解説!

SIGGRAPH 2011 〜 映画『ランゴ』向けに開発された ILM のアニメーション・パイプライン

新たなパイプラインの構築

キャラクター制作

キャラクターの制作では、まず ZBrush によるマケット(maquette)の作成から行われた。2D のイメージボードを元に ZB で 3D のモデルを作成し、それを元に評価を行なう。これにより、非常に素早く 3D モデルの確認とブラッシュアップができ、結果としてイメージボードの印象を高い精度で 3D モデル化することができたそうだ。

通常のマケットは、粘土などを使用して実際の立体物として作るが、これを ZB を使い3DCGで作成するという発想は言われてみれば当たり前かつ素直な進化の方向性だと感じるものの、それをいともたやすく制作ラインに取り入れることができるのが ILM の強みの1つであろう。
ZB によってマケットが作成できたら、それを元にアニメーション用のモデルへとブラッシュアップしていく。アニメーションモデルの見た目はマケットと非常に似通っているが、綺麗にクリーンアップされ、アニメーションに最適化された構造に仕上げられる。

『ランゴ』 『ランゴ』

© 2010 PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

Block Party〜新開発のリグ・システム

制作するアニメーションも、これまで ILM がライブアクション・フィルムで要求されてきたものとは全く異なるタイプのものが要求されたという。それに伴い、キャラクターを動かすためのリグも非常に複雑なものが必要となったため、「Block Party」 というリグシステムの開発が行われた。

Block Party はプロシージャルかつモジュールベースのリグ・システムで、全てのキャラクターは共通の「Base Rig」を基にリギングされている。Block Party は非常に強力なシステムで、これを使用することでリギングのシステム化、キャラクター間のアニメーションの転送やライブラリ化、リグのレイヤー化などを可能にするとのこと。

また、筆者が非常に強力だと感じた機能が、リグの 「コンパイル」 と呼ばれていた作業だ。これは、アニメーターからリグに対する要求があった時、キャラクター TD は対応するリグモジュールを更新し、「コンパイル」という作業をするだけでリグの変更が反映されたキャラクターモデルが自動的に生成される機能である。

リギングのためのきちんとしたシステムがない場合、リグの更新やキャラクターへの反映、そのリリースは人手を掛けなければいけない。この作業は頻繁に行われ、流れも複雑になりがちなのでミスが発生しやすい部分でもある。この部分をきちんと整備するだけで、制作体制全体への波及効果は相当なものがあるのではないかと推測される。

『ランゴ』 『ランゴ』

© 2010 PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

ILM が初めて手掛けるフル CG アニメーションのために開発された技術やツールは、最近の業界のトレンドや経験をふんだんに取り入れているだけではなく、それを高いレベルで統合することに成功したという印象を強く受けた。これらの技術は『ランゴ』以外のプロジェクトでも今後重要な役割を担っていくのだろうと強く感じることができた。

Behind the Magic: The Characters of "Rango"

TEXT_痴山紘史(JCGS

SIGGRAPH 2011ロゴ


SIGGRAPH 2011

期 間:2011年8月7日〜11日
開催地:バンクーバー(カナダ)

「SIGGRAPH 2011」公式サイト
「SIGGRAPH 2012」公式サイト

SEARCH
MAIL MAGAZINE
RSS
 
▲ページTOPへ戻る
© WORKS CORPORATIONS INC. ALL RIGHTS RESERVED.