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映像制作の現場で、本格的な導入が求められるようになってきた4K環境。実際に導入すると、デジタル・アーティストにはどのような影響があるのだろうか? フィニットでコンポジターとして活躍する大竹崇文氏に、4K対応AMD FirePro搭載のサードウェーブテクノロジーズ製ワークステーション「TW-FP350/D2-W8」の使用感を検証してもらった。

成熟してきた実用レベルの 4K 編集環境

CGWORLD(以下、CGW):今年の InterBee 2013 でも 4Kが大きな話題でした。フィニットさんとしては4Kへの取り組みはいかがでしょうか?

大竹崇文氏(以下、大竹):実際のところ、まだ4K案件はそれほど多くはありません。展示映像やイベント用の映像などに限られます。ただし素材としてはRED、EPICなどで撮影された4Kの素材が当たり前となっており、4Kは業界の中では当然の流れだと考えています。4Kの撮影素材をトリミングしたり、スキャンしたり、ズームを加えたりという編集も多いです。

CGW:機材や体制など4K対応の予定は?

大竹:4Kの時代は確実に来るなと思ってはいるのですが、実のところ面倒くさいなあという思いの方が先行していましたね、SDからHDのときの再来というか(苦笑)。ですが、今回試させてもらった「TW-FPシリーズ」では、4K RAWの素材がAfter Effects CC上で普通に扱えました。

CGW:それはよかったですね。

大竹:4K表示も4K素材の扱いもとても快適だったので、4Kワークフローについて前向きに考えていく良いきっかけになりましたよ。こうしたハイスペックマシンがあれば、わざわざポスプロさんの編集室に入らなくても、編集ソフトである程度までは作業できます。もちろんTVCMなどの場合は、放送規格に合わせるためにもポスプロで完パケする必要がありますが、今までの4K対応編集室や実際の上映設備に入ってみないと見え方がわからないという状況から、3DCGやコンポジットなど実際に画づくりを行う環境で4Kでの見え方を把握できるということのメリットははかりしれません。

編集卓の足下に置かれたサードウェーブテクノロジーズ製ワークステーション「 TW-FP350/D2」。本体前面からハードディスクの交換が可能であり(最大 4台)、ホットスワップにも対応する

CGW:普段の制作環境とのちがいを具体的にどのような部分に感じましたか?

大竹:普段はシングルモニタで作業をしているのですが、今回は「ATI Eyefinity Technology」の恩恵でデュアル環境を試すことができました。常に複数のアプリを同時に起ち上げて作業するという、自分の作業スタイルとしてはとても相性がよかったですね。今回の評価機に搭載されたAMD FirePro W8000は4画面まで同時出力できるそうなので、機会があれば3画面以上の環境も試してみたいです。

CGW:4K表示についてはいかがでしょう?

大竹:さすがは4Kというか、シャープさがちがいましたね。同じ素材を表示させても普段使っているモニタとは解像度だけでなく色の発色がより鮮やかな印象を受けました。FireProだけでなくモニタ(※今回はシャープ「PN-K321」を試用)のスペックも関係してくるとは思いますが。化粧品のCMなど、映像の美しさがより厳密に求められる案件の場合は、マスターモニタだけでなく、作業用モニタ自体も4K表示に対応していた方が作業効率を高められるはずなのですごく魅力を感じました。ただ、これはDCCツール側の問題ですが、32インチ4Kモニタ上では、UIがかなり小さく表示されてしまうようなのでCG・映像制作ソフトウェアのUI表示の改良(4K対応)にも期待したいですね。

EPICのRAWデータ5K解像度の映像をフル解像度でAfter Effectsのタイムライン上でドラッグしてもレスポンスよく(描画がほぼリアルタイム)に作業できる
©株式会社マリモレコーズ

4K編集環境の使い勝手と細かな印象

CGW:パフォーマンス検証については、どのような作業を試されましたか?

大竹:コンポジットについては、「上海モーターショー 2013」向けに制作したイベント展示映像のプロジェクトを使って、3DCGでSphereレンダリングした環境マップをNUKE 8.0上で球状にマッピングしてみるといった作業を試してみました。普段使っているMac Proでは5時間かかったレンダリングが2時間程度で済みました(※NUKE 8.0の一部GPUアクセラレータ機能がFire Pro非対応だったため、それらのノードは外した状態での比較)。また Adobe Premiere Pro ではリアルタイム再生機能「Mercury Playback」を試してみました。4Kの素材でも解像度1/2であればコマ落ちせずに再生できたので感心しました。

EPICのRAWデータ5K解像度の映像をプレミアに読み込み、AMD FirePro W8000のMercury プレイバックエンジンを用いて再生している。さすがにフル画質の再生は難しいが、1/2再生であれば業務に支障がないレベルで作業できる
©株式会社マリモレコーズ

3Dからスフェリカルマップで出力した静止画を、Nuke上で球面に張り、3Dトラックした実写プレートと同期させて、車内の合成映像を作成している
©TOYOTA MOTOR CORPORATION

CGW:静音性やケーブル接続など、マシン自体の仕様についてはいかがでしたか?

大竹:普段から静かな環境で作業しているのですが、作業中ファンの回転数が急に上がるといったことはまったくありませんでしたよ。ケーブル接続についてもFireProがDisplayPortに対応しているのでケーブル1本繋ぐだけで4K表示ができました(※AMD FirePro 3D GraphicsシリーズはDisplayPort 1.2を採用しているため、DisplayPortケーブル1本で4K出力が可能。少し前までは4Kなど趙高解像度表示を行う上では2~4本程度のケーブル複数を用いる必要があった)。

IGZO技術搭載の薄型4K高精細ディスプレイ「PN-K321」背面端子部。最新の DisplayPort 1.2およびHDMI 1.4に対応。「TW-FP350/D2」に搭載されるFirePro 3D GraphicsシリーズもDisplayPort 1.2に対応しているので、双方をケーブル1本で接続するだけで4K(3860×2160@60Hz)表示が実現できる

CGW:今後の4K環境をどのようにお考えでしょうか?

大竹:フィニットでは一緒に組む社内や社外のディレクターさんたちがMacBook Proなど、Mac環境でオフライン編集やリファレンス用の簡易合成作業をされることが多いので、編集/合成作業もMacで行うメリットは相応にあるのですが(特に色合わせなど)、今回試させてもらった「TW-FP」シリーズのようなマシンを使って、Windows環境でPremiere Proでカット編集、After Effectsでコンポジット作業を行えば、3DCGアニメーションを静止画連番で読み込むことが可能ですし、何よりもその気になれば今すぐにでも比較的リーズナブルな価格で4K環境を手元に構築できるというのは非常に大きなメリットだと思いました。CG部のメンバーも、「TW-FP」シリーズにすごく興味をもっていて、機会があれば「Geometry Boost テクノロジー」(※)のパフォーマンスを試してみたいと言っていましたよ。

CGW:今日はありがとうございました。

※「Geometry Boost テクノロジー」:AMD独自のハードウェア機能であり、クロックサイクルあたり2つの基本命令を処理することが可能。これにより極めて高速なジオメトリ処理性能を実現し、CAD並びにDCCユーザーのための複合3DCGモデルのスムースな処理が可能となる

TEXT_安藤幸央
PHOTO_大沼洋平

「TW-FP350/D2-W8」

CPU:インテル(R) Xeon E5-2620×2
RAM:PC3-12800 32GB
SSD:インテル(R) 520 120GB
HDD:1TB
GPU:AMD FirePro W8000
OS:Windows7 64bit
電源:900W
実勢価格:718,000円
問:(株)サードウェーブテクノロジーズ
TEL:03-6687-5201
http://tw-tech.co.jp
MAIL:hojin@twave.co.jp