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サイバーコネクトツー代表 松山 洋氏が原作を手がける漫画『チェイサーゲーム』。サイバーコネクトツーを舞台としてゲームクリエイターの仕事をリアルに描く本作は、ゲーム業界を目指す学生にとって"開発の実情"を垣間見ることのできる貴重な作品だ。今回、この『チェイサーゲーム』とパソコン専門店ドスパラを展開する株式会社サードウェーブとのコラボレーションによる「ゲームクリエイター向け自作PCキット」の発売にあたり、ゲーム開発向けPC選びのポイントについて、お話を伺った。

TEXT_神山大輝 / Daiki Kamiyama
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / Hirota Mitsuru

INFORMATION

現代のゲーム業界を舞台にくり広げられるお仕事マンガ。2週に1度、月曜日配信予定。漫画掲載の翌月曜日には、原作者であるサイバーコネクトツー松山洋(まつやまひろし)社長のエッセイ「デバッグルーム」を配信。単行本1・2巻が好評発売中!
詳細はこちら!www.famitsu.com/serial/chasergame/

本コラボの様子がパソコンショップドスパラがお送りする『週刊ドスパラTV』第173回にて放送された。松山氏登場は32:20~頃から

<1>25年の経験で培われたゲーム開発現場のリアルを描く

CGWORLD(以下、CGW):本日はよろしくお願いいたします。もう知らない人はいないかと思いますが、改めて自己紹介をお願いします。

松山 洋氏(以下、松山):サイバーコネクトツー代表の松山です。サイバーコネクトツーはコンシューマゲーム中心のゲーム開発会社で、1996年の設立から今年で24年、2月から第25期を迎えます。

  • 代表・松山 洋氏

宇佐見公介氏(以下、宇佐見):テクニカルサポートのマネージャーをしております、宇佐見と申します。開発部門のマネージャーとして、複数タイトルを並行して見ています。

  • テクニカルサポート・宇佐見公介氏

松山:宇佐見はサイバーコネクトツー創立メンバーの1人なんです。弊社は24年前に10人からスタートして、今は200人以上スタッフが在籍しています。大まかにいうと福岡本社に150人、東京スタジオに30人、モントリオールスタジオに30人くらい。クリエイターは200人弱で、その他は業務部という総務・経理・人事・宣伝・広報を担うスタッフです。

宇佐見がやっているテクニカルサポートは、複数のプロジェクトが動いている中で、技術面で開発を支えるという部署です。例えば弊社の『NARUTO-ナルト- ナルティメット』シリーズと『ドラゴンボールZ KAKAROT』では同じアニメっぽい表現のタイトルでもその画づくりはもちろん違いますが、メモリの処理や高速化など共通する部分もある。そういったところを一手に請け負うチームです。

宇佐見:もともとは社内エンジンの開発部隊だったんですが、現在はUnreal Engine 4を使っていますので、UE4のシェーダを書いたり負荷の軽減をしたりという業務がメインになっています。

CGW:最近の御社の代表作にはどういったものがありますか。

松山:最近でいうと先ほども出ました『ドラゴンボールZ KAKAROT』や『NARUTO-ナルト- ナルティメット』シリーズなどですね。弊社が他のゲーム会社さんと大きくちがうのは、現状開発しているのは家庭用タイトルのみというところです。PS4、Xbox One、Nintendo Switch、そしてPC。これを常にワールドワイドにマルチプラットフォームで開発するという体制でやっていますね。

CGW:家庭用タイトルだけをリリースし続けるのは、何か理由があるのでしょうか。

松山:スマートフォン向けのタイトルを手がけていた時期もありましたが、現在は家庭用のみに絞っています。弊社はカットシーンをはじめとする映像表現にこだわりをもっており、そういったシーンを大きなディスプレイで見ていただきたいという理由と、開発タイトルにアクションゲームが多いので「物理ボタンをガチャガチャ動かす楽しさ」を体験していただきたいという理由があります。アクションの気持ち良さを存分に発揮するためには、コントローラで遊ぶ家庭用タイトルの方がうちは向いているなと。

CGW:なるほど。ゲーム業界のデベロッパーとしては、御社はどういうところを目指しているのでしょうか。

松山:これからはパブリッシャーとしてもやっていきますが、ただうちは作ることにこだわりますね。とにかく自分たちで作って、作品に責任をもつ。作り手が裏方に回りすぎるのは逆に良くないと思っていて、今までもこれからも、ちゃんと作り手がある種のメッセージ性をはっきりもってゲームを作るべきだなと。特にうちは作るものがはっきりしているじゃないですか。少年少女の夢、空想科学世界、マンガ、アニメ。そういうノリの作品、少年漫画ノリというかね。そういうものが好きだし、そういうものを作りたい。

今はゲーム開発が肥大化していて、弊社も『ドラゴンボールZ KAKAROT』は過去最大規模のプロジェクトになりました。たとえば5年で1タイトル開発となると、20代が30歳になるまでに作れるプロジェクトは2タイトルになるんですよ。そうなると若手がなかなか成長できない。

なので、良く「インディゲーム」という言い方をしていますけれども、もう少し規模の小さい開発をしようと思っていて。PS2やニンテンドーDSの頃は、1タイトルを20人、開発期間1年くらいの規模で作っていたんですよ。もちろん世界中が期待してくれる大きなタイトルは大きなパブリッシャーさんと協力しながら作っていきますが、開発規模の小さい、エッジの効いたタイトルを作って、そこに若手とベテランを組み合わせて成長させる。そういうプロジェクトを今水面下で3つ起ち上げていて。1つはもう作っているんです。そういう大規模タイトルと、インディゲームとは言えないかもしれませんが元気なタイトルを両輪としてこれから回して行けたら良いなと思っています。

もうひとつは『チェイサーゲーム』につながる話にもなりますが、結局、お客様が好きになるのはIPだと思うんです。そのIPが好きだから、ゲームも遊ぶしアニメも見るしマンガも読むし小説も読む。なので、ゲームだけでなく、これからは色々な角度でIPを作っていこうと。その一環として始めたのが漫画制作というわけです。

CGW:ゲーム以外のところからIPを作ろうとしたときに、なぜ漫画を選んだのでしょうか?

松山:実は、私は「週刊少年ジャンプ」を6歳から1号も欠かすことなく43年間読み続けているくらいの漫画好きなんです。『NARUTO-ナルト-』や『ドラゴンボール』などのタイトル開発を通じてジャンプ編集部の方とも仲良くさせていただいているのですが、私がものすごく好きで詳しいものだから「そこまで好きなら漫画をつくれば良いじゃないか!」と言われたことが過去にありまして。そのときは「自分は漫画が好きなだけで、本業はゲームクリエイターだから」と本気で考えはしなかったのですが、今はもうスマホ1台あれば漫画も読めるしゲームもできる、アニメも映画も観られる時代になってきて、今の若い方から見れば「コンテンツの垣根」がなくなってきているじゃないですか。

私はずっと漫画からインスピレーションを受けて作品を作ってきた人間なので、少なからず漫画業界にも恩返しをしたいと思っていて。そのためにうちにできることって何だろうと考えると、うちはゲーム会社ですが、ゲーム会社だからゲームしか作っちゃダメということはないですよね。映像もアニメも作れるわけですから。そこで社内に漫画制作部署を起ち上げて、漫画を作っていくことにしたんです。

CGW:制作は全て社内で完結している、ということでしょうか。

松山:はい。アシスタントは別途雇うこともありますが、『チェイサーゲーム』は原作が私で、弊社の漫画チームの社員が描いています。実は今後は私以外が原作を担当する2作目、3作目を発表したいと思っていて、また2人目、3人目のサラリーマン漫画家を募集する予定です。漫画家さんは何の保証もない中個人事業主として安定しない収入の中でビジネスをやられているので、そういう面からも業界を良くしていければと。

もうひとつジャンプ編集部の方に言われたのは、「世の中で一番IPを生んできているのは漫画」だということ。漫画以外にも様々なIPがありますが、特にゲームは先ほども言ったように開発が肥大化してしまっていて、開発に4年5年かかったりする。その次に時間がかかるのが映画とアニメで、これも企画1年制作1年で最低でも丸2年はかかる。でも漫画は、今日原作を書いて打ち合わせをしたら、2週間後には漫画になって掲載されているんですよ。今思いついたことが数週間後には世の中に出ている。そして読者の反応もダイレクトに返ってくる。クリエイターとしてこんなに楽しいことってないですよ。

『チェイサーゲーム』は現在第1部にあたる2巻まで発売されていますが、3〜4巻では学生編が展開されます。ぜひ楽しみにしてください!

<2>クリエイティブを目指す学生が最初に手にするべきPC

CGW:今回はドスパラを展開するPCメーカー「サードウェーブ」さんとのコラボレーションになります。まずは、企画をご快諾いただいてありがとうございました。

松山:『チェイサーゲーム』を読んでいる皆さんはゲーム業界に多少なり興味があって、ゲームの仕事に就きたい学生の方もいらっしゃると思います。そういった皆さんがクリエイターを目指すにあたり、『チェイサーゲーム』のモデルのPCがあって、さらにそれがクリエイターを目指す際にちょうど良いスペックであるならば、それは良いことだなと。ゲーム業界を舞台にした漫画とクリエイター用のPCって相性良いと思いますよ。

実は、私はこの会社を作ったとき、PCを触ったことがなかったんですよ。創立メンバーは10人で、私以外の9人は元々ゲーム会社に勤めていましたが、私だけがまったくの異業種、コンクリート業界の営業マンだったので。コピー&ペーストもろくにできない素人だったんです。今はさすがにある程度の知識はありますが、どういうスペックのPCが必要かといったことは現場の専門家に任せています。私はコストを見るくらいで、基本的にはNGは出しませんね。

宇佐見:PCの話が出ましたので、弊社のPC基準などについては私から。PCについては人員の転換に合わせて随時更新しますが、全体としては毎年の年度末に見直しをします。翌年使うだろう、こういうのが必要だろうというものを各部署からリストアップして、その中で優先度の高いものから購入していくというながれになっています。

購入の際には特定のパーツにこだわるというよりはバランスを重視しており、もっと言うとUE4が正常に動くかどうかが判断基準になっています。3Dアーティストに限らず、ゲームデザイナーやプログラマーもUE4を使いますので、ビルドマシン以外は職種関係なくスペックは均等にしています。統一環境にした方が管理コストがかからないし、人の異動に合わせて機材の入れ替えをしなくて済むので時間的ロスもないという理由もあります。

CGW:サードウェーブではクリエイター向けの自作キットを企画しています。自作キットのパーツをバンドルしたパッケージで、自分で組み上げて使用するものです。このパーツ構成についてコメントをいただけますでしょうか。

宇佐見:この値段でこのスペックは非常に良いな、と思います。バランスも良いですし、GPUもRTX 2060 Superと世代が新しいので。今のゲームはIntel Core i5でも大体動くレベルなので、これも値段(約13万円)からすると適正なラインに収めたのかなと思います。UE4も動きますね。

CGW:パーツだけでなくPCケースも付属しますので、モニタ・マウス・キーボードはご用意いただくとしても、このキットだけでPC自体は完結するような作りになっています。

松山:あとはもう自分で組み立てるだけ、と。PCがどうやってできているかを学ぶ一番良い機会かも知れませんね。自分も25年前にここから始めたかった!(笑)。

宇佐見:最近はアセットを大量に使うゲームも多いので、SSDにM.2を使っているというのも大きなポイントです。テクスチャやモデルデータの読み込みが速いですから。このままでも充分ですが、個人的にはCPUをアップデートできたらさらに良いな、と思います。UE4を扱うなら、描画とCPUのスペックはある程度高くないとボトルネックになりやすいので。自作の場合は、自分のスキルが上がってきたらその分パーツ単位で換装できるというのもメリットですね。

CGW:実際に学生さんなどがこのキットでUE4やゲーム開発を勉強するときに、注意すべき点などはありますか?

宇佐見:先ほど褒めていた部分と逆になってしまうのですが、実は「勉強」をするだけなら一般的なPCでも良いんです。スペックが低い方が、効率的なプログラムやデータを作らないと動かないので。ですから、こうしたスペックに余裕のあるPCを用いて作業する際はぜひ「処理負荷なども意識しながら作られた方が良いですよ」と申し上げたいです。

松山:家庭用機におけるゲームクリエイティブの仕事は、すでに個人が軽い気持ちでやれるような業界ではなくなってきています。エンジン側の機能も多岐に渡りますし、始めてからもやることは無限にある。そういう意味では、「このキットを買っておけばスペック的には間違いがないよ」という商品を用意していただけるメーカーさんは、ビギナーにとっても業界全体にとっても非常に頼もしい存在だと思います。

ゲームクリエイター向け 自作 PC キット詳細はこちら! https://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_set.php

CGW:最後に、CGWORLDの読者に向けて伝えたいことがあればお聞かせいただけますか。

松山:まず伝えたいのは、みんなもっとCGWORLDを読もうということ。学生さんや業界の方に良くうちの『NARUTO-ナルト-』のゲームとかどうやって作ってるんですかって聞かれますけど、うちのタイトルに限らず、大体のことはCGWORLDに載ってますからね。ゲーム業界は情報を出すべきじゃない、秘密にすべきという考え方もありますけど、今はどんどん情報を公開して業界を活性化していかないと、業界全体が細くなってしまいますから、CGWORLDやCEDEC、GDCといった機会をもっと活用すべきだなと思います。情報を出した人間のところには他の情報も集まってきますから。もっと情報を出していこうと。

CGW:ありがとうございました!

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全国ドスパラ各店:www.dospara.co.jp/5info/cts_shop_tokyo
ドスパラ通販サイト:www.dospara.co.jp/
株式会社サードウェーブ