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多彩な映像を手がける制作現場において、コストパフォーマンスに優れたAMD製CPUは、 どれだけの性能を発揮できるのか。幅広い分野で魅力的な映像を生み出すと共に 新たな映像分野にも挑戦する企業が、AMD製のハイエンドCPUを搭載するPCを検証。 そのパフォーマンスと使い勝手を、社内PCと比較した。

TEXT _近藤寿成(スプール)、PHOTO_弘田 充、EDIT_池田大樹(CGWORLD)



  • パソコン工房

    ユニットコムが運営するPCショップ。クリエイター向けには「iiyama SENSE∞( イイヤマ センスインフィニティ)」を展開している。2016年12月よりCG・映像制作者向けブランドとして「CG・MOVIE GARAGE」を起ち上げた。今後、CG制作、動画編集を始める初心者から、4K液晶対応PC編集のプロユーザーまで、様々なラインナップのコラボモデルが登場予定だ。
    https://www.pc-koubou.jp/


  • AMD(Advanced Micro Devices)

    50年以上の歴史を持つアメリカの半導体製造会社。「Athlon」や「Ryzen」シリーズなどを展開するCPUとともに、「Radeon」シリーズによるGPUの両方を開発する。さらに、CPUとGPUを1つに統合したAPUなども手掛けている。
    https://www.amd.com/ja

求められるのは、高負荷な作業も、快適に処理できる高性能なCPU

今回は、30年以上の歴史をもつオムニバス・ジャパンとパソコン工房に協力を依頼。パソコン工房から提供されたAMD製CPU「Ryzen Threadripper3990X」搭載のSENSE∞のデスクトップPCを、オムニバス・ジャパンでデジタルアーティストを務める横田創吉氏に様々な視点から検証してもらった。

横田氏は現在、コンピュータグラフィックスを専門とする部署の中にあるHoudiniチームに所属。広告やCMなどの案件に加えて、最近では映画制作のプロジェクトにも参加している。また、作業にはHoudiniやNuke、Maya、After Effectsなどのツールを使用しているそうだ。

デジタルアーティストとしてはゼネラリストだが、「エフェクトをメインで担当することが多い」という横田氏。「PCに負荷がかかる」あるいは「処理に時間がかかる」作業として挙げるのはシミュレーション関連である。水の流体シミュレーションやGrainsのシミュレーションを使ったりするそうだが、これらのシミュレーションはパーティクルの数を増やすと必然的に負荷も処理時間も増加することになる。「テスト段階であれば数分程度で済むが、本番のシミュレーションを回すとなると、3~4時間かかるケースもある」(横田氏)そうだ。

さらに、作品を制作する上でのトライ&エラーはもちろん日常茶飯事である。ただ、例えば煙などのシミュレーションでは修正の詳細をビューポートでは確認できないため、結局「レンダリングしなければチェックできない」という。そのような工程が積み重なっていくと、結果的には膨大な時間の消費となることから、機材のCPU性能が作業効率に大きな影響を与えることになるのだ。

そのため、じつはオムニバス・ジャパンでは、CPUのレンダリングサーバーを利用することが可能になっている。しかも通常で100台以上、状況次第では約200台にまで増強されることもあるため、上手く使いこなせば作業負荷を効率化・分散化できる点は魅力的だ。

そのような環境や作業背景もあり、オムニバス・ジャパンでのPC選定は、どちらかというとGPUよりもCPUが重視される傾向にある。横田氏が現在使っている既存機は約4年前に導入されたもので、CPUに「インテル Xeon プロセッサー E5-2690 v3」を2基搭載する24コア仕様のモデル。メモリも64GBを搭載するなど、導入当時でもかなりハイスペックな優れモノで、PC全体の価格も100万円弱だったそうだ。

 また、選定のポイントとしてもう1つ挙げられるのが「安定性」である。「少し負荷の高い作業をしただけでもすぐフリーズするようでは、業務用としては考えられない」(横田氏)ことから、まずは安定性を重視。逆に言えば、「負荷の高い作業も軽快にこなす」ようなモデルであれば、よりベターなわけだ。

これらの背景を踏まえ、今回は横田氏が日々の業務で行うシミュレーションなどを想定したテスト実施。AMD製CPUを搭載するSENSE∞の検証機と横田氏が現在使用する既存機を比較し、AMD製CPUのパフォーマンスをチェックした。

検証ハードウェアについて

今回は、パソコン工房が提供するハイエンド仕様の検証機と、オムニバス・ジャパンで横田氏が使用する既存機の2台を使用し、横田氏の日常業務を想定したテストで検証した。
パソコン工房の検証機は、AMDのハイエンドデスクトップ向けCPU「AMD Ryzen Threadripperプロセッサー」シリーズの最上位モデルRyzen Threadripper 3990Xを搭載。Ryzen Threadripper 3990Xは、1つ下位のモデルにあたる「Ryzen Threadripper 3970X」と比較して最大クロック数こそわずかに劣るが、コア数は2倍となる64コア(128スレッド)を搭載する。実売価格は約55万円とかなり高額ながら、他の追随を許さないマルチコア性能が最大の魅力となる。 さらに、メモリが圧巻の256GBを搭載している点も注目ポイントの1つ。そのほか、GPUはミドルクラスのNVIDIA Quadro P2200、ストレージはPCI-Express4.0に対応したNVMe接続の1TB SSDとなる。

一方で、オムニバス・ジャパンの既存機は、約4年前に100万円弱で導入されたもの。CPUにはインテルXeon プロセッサー E5-2690 v3を2基搭載することで、合計24コア(48スレッド)のマルチコア性能を備えている。また、メモリは64GB、GPUは「NVIDIA Quadro M4000」を搭載する。 ※なお、パソコン工房からは今回の検証の結果を踏まえ、よりコストを抑えた「Ryzen 9 5950X」と「AMD X570チップセット」をベースとしたモデルも追加される。Ryzen 9 5950Xは16コア32スレッドとなるが、より世代の新しいZEN3アーキテクチャーとなり動作クロックも最大4.9GHzと高いため、こちらも十分なパフォーマンスを発揮するだろう。

>>AMD Ryzen Threadripper 3990X搭載モデルはこちらから
>>AMD Ryzen 9搭載モデルはこちらから

※実売価格は2020年12月20日現在のものです
※価格および各パーツのスペックは2020年12月時点の情報です。予告なく変更される場合があります。

CASE 01
Maya+Arnoldでのレンダリング時間

 検証にあたって、SSS(サブサーフェススキャッタリング)のような質感を持つ人形4体を描いたやや重めのMayaシーンファイル(左頁の図)を用意。Maya+ArnoldでのCPUレンダリングを実施し、4K解像度の静止画1枚をレンダリングする際にかかった時間と、フルHD解像度の静止画60枚を連続でレンダリングする際にかかった時間を計測した。
検証結果を見ると、1枚のレンダリングではパソコン工房の検証機が5分、オムニバス・ジャパンの既存機が26分となり、5倍以上の差がついた。また60枚のレンダリングでは、検証機が14分、既存機が56分となり、こちらも4倍の差となった。それぞれの機種に搭載するCPUのコア数やクロック数を考慮すると、ほぼ性能通り(あるいはそれ以上)の差が結果に現れたかたちだ。
横田氏は、実際の作業で「ルックデベロップメントなどでは書き出しせずにローカルで実行して確認する」ため、ローカルでここまでの性能が出ると「作業時のトライ&エラーがより一層はかどるはず」と実感したそうだ。



CASE 02
Houdiniでのシミュレーションにおけるキャッシュの書き出し時間



Houdiniの検証では、Grainsを使った動画素材を用意し、シミュレーションを実施する際のキャッシュ書き出しに要した時間を計測した。なお、プロジェクトファイルはローカルに保存した状態で作業した。
 こちらの検証でも、検証機が42分、既存機が123分という結果になり、その差は約3倍となった。これまでに横田氏が既存機で作業していた場合には、負荷の大きい表現は別の手段を考えざるを得ないケースもあり、「ある意味で表現には限界があった」と言う。しかし、これほど明確な差がついたことに対して「限界の天井が一気に上がった」と舌を巻く。パソコン工房によれば「HoudiniはCPUの1スレッドに対してメモリを約2GBずつ割り当てることから、今回の検証機は128スレッドに対してメモリを256GBに強化した」とのこと。以前実施した検証で「1スレッドあたりメモリが1GBではCPU性能をフルに発揮できないケースがあった」ことから「256GBならメモリがボトルネックになることはない」と補足し、検証機が高い性能を発揮したポイントを解説した。



検証を終えて

「異次元」のパフォーマンスが表現の幅を広げる

 AMD製CPU、Ryzen Threadripper 3990Xを搭載する検証機は、検証結果を見てもわかるように、非常に高いレベルのパフォーマンスを見せてくれた。横田氏によれば、オムニバス・ジャパンには充実したCPUのレンダリングサーバー環境があるとはいえ、「複数台でのレンダリングを実行するためには事前のセットアップが必要となるうえに、その作業は少し手間がかかる」とのこと。そのため、結局は1台のサーバーで処理することも多く、それなら「検証機の方が優れているかもしれない」と感じたそうだ。

 また、機材選びにおいて「安定性」が重要な点に変わりはないが、検証機のパフォーマンスはまさに「別次元」であり、検討の視野に十分入るものだ。Ryzen Threadripper 3990Xによって作業をより効率化できるとともに限界を超える作業も実現できれば、「より幅広い表現が可能になる」(横田氏)はずだ。

まとめ

01:レンダリングにもキャッシュの書き出しにも圧倒的な性能を見せる

02:Ryzen Threadripper 3990Xの実力を256GBのメモリが引き出す

03:「異次元」のパフォーマンスで、機材選びの候補に十分なり得る

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