[PR]

CGを学べる専門学校への進学は、CGを仕事にしたいと考える人の選択肢のひとつだ。 新学期をむかえ、日本各地の専門学校で新生活をはじめた人も多いだろう。 本連載では、専門学校で充実した学生生活を過ごし、CGプロダクションやゲーム会社に就職した先輩たちへのインタビューを通して、CGの専門学校の選び方と、在学中のスキルアップ術を紹介していく。

第1回目に登場するのは、株式会社画龍にて、アニメーションや、実写とCGの合成などを手がける井上桃花氏。 同社は高級感のある落ち着いたテイストの映像制作を得意としている。インタビューでは、井上氏が2年前に卒業した京都コンピュータ学院での日々をふり返ってもらった。

(※本記事は、CGWORLD Entry VOL.015からの転載です)

[上]井上氏が画龍入社後に担当した馬のアニメーション/ [左下]同じく入社後に担当したカメラトラッキング。背景の実写映像のカメラと、自動車のCG映像のカメラの動きを合わせている/ [右下]先に紹介したカメラトラッキング後のAfterEffectsでの作業画面。実写とCGを合成している

作品のトーンが、画龍の方向性とマッチ

在学中、たまたま見かけたTV番組で画龍の存在を知り、同社が手がけるCMやミュージックPVのテイストに惹かれた井上氏。 それでも3年生の夏頃までは、住み慣れた関西圏での就職を志望していたとふり返る。 「CGプロダクションは東京に集中していて、選択肢は限られていました。とはいえ学校の先生たちが丹念に調べてくださり、何社か検討はしたのです。 でも、やっぱり自分が心底から好きだと思える映像をつくっている会社で働きたいと考え直し、当社に応募しました」。

その決断は、井上氏の大きなターニングポイントになった。 自動車、チェスの駒、スマートフォンなどの無機物のCGモデルに、落ち着いたトーンのライティングを施した井上氏の作品群は、画龍が目指す方向性とマッチしていた。 「ポートフォリオ自体のデザインも好印象でした。白と黒のモノトーンで品良く、見やすくまとめられており、デザイナーとしての今後の成長が期待できました」と代表取締役の早野海兵氏は語る。

モデリング作品中心のポートフォリオが評価され、入社が決定した井上氏。ところが現在は、主にアニメーションやカメラトラッキングを手がけている。 「本人も知らない適性が眠っている可能性は十分にあるので、新人にはひと通りの作業を経験していただきます。井上さんは、アニメーションの仕事で良い感性を発揮してくれました。今では当社のVFXを支える大事な存在です」(早野氏)。

学生時代の作品 01
無機物の美しい曲線をCGで再現


モデリングは好きだったが、同世代の学生に人気の美少女、美少年、可愛いキャラクターなどにはまったく興味がなく、無機物の美しい曲線の再現に熱中していたと井上氏はふり返る。 「自動車をつくりたいと思ったものの、自動車の専門知識は皆無だったので、車種選定や資料集めなど、学校の先生に手伝っていただきました」

学生時代の作品 02
高級感のあるモノトーン系の画づくり


在学中はMayaを学んでいた井上氏。モデリング、ライティング、レンダリングまで、すべての工程でMayaが使われている。 「高級感のあるモノトーン系の画づくりを好む感性は、当社がつくるCGの方向性とマッチしています。当社に入って何をやりたいのか、すんなりと伝わってきましたね」(早野氏)


Q1
京都コンピュータ学院を選んだ理由は?

ピクサーのフルCG映画に魅了されたことがきっかけで、高校1年次からCGの仕事に興味をもっていた井上氏。 大阪・京都を中心に専門学校・美術系大学のオープンキャンパスを渡り歩き、進路を模索したという。 「CGをつくった経験はなく、絵を本格的に勉強したこともありませんでした。当時は、CGをやりたいという気持ちだけが先行していましたね」。 CG制作と、それに必要な基礎力や関連知識だけを集中して学べるという理由から専門学校に選択肢を絞ったとふり返る。 「CGを学ぶなら最低3年間はほしいと、複数の専門学校でアドバイスを受けたのです。京都コンピュータ学院なら3年制、4年制の学科もあると聞き、入学を決めました」。

Q2
京都コンピュータ学院での最大の学びは?

井上氏がCGに興味をもったきっかけはピクサー作品だった。しかし、その作風からはピクサーの影響がまったく感じられない。 「1年次にキャラクターアニメーションに挑戦してみたら、びっくりするほど何もできず、まったく楽しめなかったのです」。 CGに対する自信を喪失しかけた井上氏だったが、2年次に挑戦したリアルな無機物のモデリングで、その認識はガラリと変わった。 「すごく楽しくて、それ以降はひたすらモデリングに没頭しました」。 ただし、人の適性はそう単純ではないらしく、画龍入社後に再挑戦したアニメーションは、上司たちに高く評価された。 「入社してから覚えた3ds Maxのリグが使いやすく、苦手意識が払拭できました」。

~学校紹介~
京都コンピュータ学院

企業との連携で、就職サポートと学生指導を強化


  • 就職サポートに力を入れる京都コンピュータ学院には、様々な制度がある。 その1つである学内企業説明会(右写真)では、企業の人事担当者やOB・OGが同校を訪れ、在校生のみを対象とした企業説明会・採用試験を実施する。 学校推薦で応募できる企業も多数あり、井上氏もこのサポートを使いながら就職活動を行なったという。

さらに、説明会などを経由して企業からもたらされた情報は、同校のカリキュラム作成や学生指導にも活かされている。 例えば、学科や学年を越え、普段は関わりのない学生たちが共通課題に挑戦するプロジェクト演習は、企業が求める実践的な力を培う目的で実施されている。

TEXT_小野憲二



  • ●学校情報
    京都コンピュータ学院
    〒606-8204
    京都府京都市左京区田中下柳町11
    TEL:075-751-0555(鴨川校(デザインカレッジ))
    URL:http://www.kcg.ac.jp/