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MVN は17 個の慣性センサーを搭載したフルボディスーツで、専用ソフトを調整するだけでモーションキャプチャが可能な手軽さが魅力だ。映画・アニメ・TV 番組・ゲーム・遊技機など、多彩な分野の映像表現に活用される一方で、インタラクティブ性が求められるライブイベントでの導入も進んでいる。MVN を使ったインスタレーションに挑戦し続けるScience Nonfiction のTaku Takahashi 氏に、これまでの軌跡と今後の展望を語ってもらった。

SCience NON

Science Nonfiction
2013年4月、東京に突如現れた謎のクリエイト集団「Science Nonfiction」。アーティスト、脚本家、プログラマー、デザイナー、VJ などのクリエイターたちが集結し、最新の映像や音・パフォーマンスを組み合わせた非現実的な空間を創造している。

演者にも機材にも高い
インタラクティブ性が求められる

Science Nonfiction Episode2 feat.ZiNEZ :12/6@Shibuya clubasia

CGWORLD(以下、C):Science Nonfiction がThe Block Party(2013/12/6 に渋谷のclubasiaにて開催されたイベント)で披露したインスタレーションは、音楽の新たな楽しみ方を提示する実験的な内容でしたね。

Taku 氏(以下、T氏):国内外を問わず、今のクラブでは既存のパフォーマンスに何らかの新しい表現を追加する、"plus one more" が求められています。我々の場合は、それがMVN を使った映像インスタレーションなのです。先のイベントでは、ZiNEZ 氏(フリースタイルバスケットボールの世界チャンピオン)がそのインタラクティブな感性を存分に発揮して、観客を盛り上げてくれました。

C:音楽、映像、パフォーマンス、照明などの各要素がピッタリ同期しており、その技術力と表現力に圧倒されました。どのような方々が制作に携わっているのでしょう?

T:プロジェクトによって増減はありますが、平均すると1 回につき6 人程度が参加しています。エンジニアリング、アート、脚本など、全員が何らかの分野のプロフェッショナルです。新しいこと、面白いことの実現に貪欲な人たちなので、技術も表現も高いレベルまで磨かれる傾向にあります。

C:プロジェクトのたびに、新たな"plus one more" に挑戦しているそうですね。

T:技術を磨き、表現の幅を広げたいという思いは強いですね。ただし我々が観客に味わって欲しいのは、技(わざ)の凄さではないのです。音楽のリズムと、演者の動き、映像のタイミングがドンピシャに合わさった瞬間の" 気持ち良い! " という感覚です。

C:観客の反応は毎回違うでしょうが、それも考慮してタイミングを合わせるのですか?

T:そうです。すべてを事前に決め打ちするのではなく、イベントの最中に臨機応変に変更できる余地を残しています。MVN はレイテンシ(遅延時間)が短くインタラクティブ性が高いので、我々の期待に応えてくれていますね。加えて周囲の光量の影響を受けないため、ライトを使った演出との相性が良い点も魅力です。

場数を踏み経験を積み重ねるほど
表現が洗練されていく

TAkU

C:本番までの大まかなワークフローを教えていただけますか?

T:まず最初に、そのプロジェクトで何をやりたいか、メンバー間でアイデアを出し合います。技術的なチャレンジだったり、面白い表現だったり、内容は多岐にわたりますね。方向性が定まったら、次に行うのはキャスティングです。

C:MVN を着用してパフォーマンスを担当する演者を決めるという意味ですか?

T:加えて、演者と同期させるキャラクターも決めます。そしてキャラクターの3DCG モデルを制作し、動かすためのセットアップを施します。並行して、キャラクターの動きと連動させる映像素材、たとえば物理演算のプログラムや、各種グラフィックスも作りますね。バーチャル空間の制作やコントロールには、ゲームエンジンのUnity を使っています。さらに音楽や照明の準備も必要ですね。

C:全体の流れは脚本家が決めるのですか?

T:そうです。脚本家と言うよりは、構成作家に近い役回りですね。演者の動きに合わせてどんな演出を展開させるのか、全体の因果関係を決めるのです。全ての要素が完成したら、それらを合体させてリハーサルとチューニングを行います。私が一番こだわりたいのは、この最終段階でのチューニングです。時間をかければかけるほど、完成度を高めることができます。

C:具体的には、何をチューニングなさるのでしょうか?

T:演者の体格に合わせたキャラクターのボーンの位置変更、演者の癖に合わせたプログラムの変更などです。プログラムの癖に合わせて演者の方が動きを調整する場合もありますね。

C:緻密で繊細な調整が必要なのですね。

T:日本人はそういう作業に向いているので、場数を踏み経験を積み重ねるほど、表現が洗練されていきますよ。今は手法の新しさが注目されていますが、観客の感情を揺さぶるような空間を創造することが我々の当面の目標です。

POINT 1
高いインタラクティブ性で
トップクラスのインスタレーションを実現

動きの収録 動きの収録 動きの収録

MVN とUnity を連動させたシステムを操り、バーチャル空間の映像を" 演奏" するZiNEZ 氏。未知のインスタレーションを体感した観客は、言葉を忘れて映像に見入ることも少なくないという。「周囲の光量の影響を受けず、リアルタイムに大量の情報を送れるMVN のポテンシャルには満足しています。現時点におけるトップクラスのインスタレーションが実現可能なシステムですね」とTaku 氏は語る

POINT 2
少しの調整で劇的に結果が変わるため
細やかなチューニングが不可欠

収録 収録

音楽のリズム、演者の動き、映像のタイミングがピッタリ合わさった、気持ちの良いインスタレーションを実現するには、事前の細やかなチューニングが欠かせないとTaku 氏は解説する。「ほんの少しの調整で劇的に結果が変わる場合もあるので、凄く奥が深いですね。インタラクティブ表現は突然の事故に見舞われるリスクが高いですが、恐れることなくノウハウを蓄積していきたいです」

TEXT_尾形美幸(EduCat)
PHOTO_弘田 充

MVN

株式会社Tachytelic

☆Taku Takahashiが率いる音楽、イベント、映像、インスタレーションの制作会社。

MVN

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