一般財団法人デジタルコンテンツ協会は、9月1日(火)に『デジタルコンテンツ白書2015』を発刊した。同協会では毎年、国内のコンテンツ産業の市場規模を調査しており、同白書では、その市場規模の詳細データを掲載するとともに、映画、音楽、ゲーム、ソーシャルメディアなどの分野別動向や海外の状況を、国内外専門家の執筆により明らかにしている。今回は、「クロスコンテンツの時代へ ~ビジネスモデルの重層化~」を特集として取り上げており、コンテンツビジネスの"いま"を知る必携の書となっている。また、9月4日(金)には 『デジタルコンテンツ白書2015』発刊セミナーも開催される。

■ 2014年のコンテンツ産業の市場規模 ~市場規模は12兆748億円。前年比101.4%と伸長した~

2014年のコンテンツ産業の市場規模は12兆748億円、前年比101.4%と伸長した。コンテンツ別では、静止画・テキストが4兆6,310億円(前年比99.9%)、動画が4兆5,399億円(同101.6%)、ゲームが1兆5,768億円(同106.2%)、音楽・音声が1兆3,271億円(同100.1%)となった。前年比でみるとゲーム、動画、音楽・音声が増加し、静止画・テキストは減少した(図表1)。メディア別では、パッケージが4兆6,712億円(前年比95.8%)、放送が3兆7,293億円(同102.1%)、ネットワークが2兆1,308億円(同112.3%)、劇場・専用スペースが1兆5,435億円(同103.7%)となった。前年比でみるとネットワーク、劇場・専用スペース、放送が増加し、パッケージは減少した(図表2)。

伸び率ではネットワーク系が引き続き存在感を示す
市場規模の大きいコンテンツ項目のトップ10は、図表3のようになる。上からテレビ、新聞、雑誌と3位まで順位は変わらないが、オンラインゲームが4位まで順位を上げた。市場規模でみると、トップ10の顔ぶれは変わらず従来のメディアがまだまだ大きい。その中で、ネットワーク系で大幅に伸び続けているオンラインゲームとインターネット広告がともに8,000億円を超え、3位の雑誌に迫っている。前年比伸び率10%以上のコンテンツ項目を並べたのが図表4。2014年もネットワーク系が上位を占め、電子雑誌、電子書籍、音楽・音声の順になった。一方、動画配信は2013年に急伸した反動もあり圏外となった。いずれも今後の市場規模拡大が期待される。図表5では、前年比増加額100億円以上のコンテンツ項目を並べた。ここでも3位までをネットワーク系が占めた。中でも規模、伸び率ともに群を抜くオンラインゲームの増加額は1,717億円と圧倒的で、インターネット広告が同1,042億円、電子書籍が同393億円と続く。4位以下ではテレビ放送関係の市場が目立つ他、劇場・専用スペースではコンサート、ステージに次いでカラオケがランクインした。図表6は前年比伸び率がマイナス10%以下のコンテンツ項目である。PC、フィーチャーフォン、DVDが並んだ。

デジタルコンテンツ市場は7兆8,904億円と拡大し、コンテンツ市場の65.3%を占めた
2014年のデジタルコンテンツの市場規模は、7兆8,904億円(前年比103.2%)と順調に拡大し、コンテンツ市場の65.3%を占めるまでになった。コンテンツ別をみると、動画が4兆3,796億円(前年比101.3%)、ゲームが1兆5,768億円(同106.2%)、音楽・音声が9,167億円(同97.6%)、静止画・テキストが1兆173億円(同112.7%)となっている。各コンテンツにおけるデジタルコンテンツの割合を示すデジタル化率を計算すると、ゲーム100%(※ゲームの対象をデジタルゲームとしているため)、動画96.5%(前年96.7%)、音楽・音声69.1%(前年71.0%)、静止画・テキスト22.0%(前年19.5%)の順となる(図表7)。メディア別では、放送が3兆5,910億円(前年比102.2%)、ネットワークが2兆1,308億円(同112.3%)、劇場・専用スペースが1兆1,111億円(同101.4%)、パッケージが1兆575億円(同92.6%)と続く。劇場・専用スペースが初めてパッケージメディアを上回った。デジタル化率は、ネットワークの100%は当然として、放送96.3%、劇場・専用スペース72.0%(前年73.6%)、パッケージ22.6%(同23.4%)となり、劇場・専用スペースとパッケージのデジタル化率は後退した(図表8)。

テレビのデジタル化が一段落するもデジタル化は進む
図表9では、過去10年間のデジタルコンテンツ市場の推移を示した。近年のデジタル化を牽引したのは、テレビ放送のデジタル化である。ただし、それも2011年にはほぼ完了しているため、2012年からはその成長率が緩やかになっている。今後はインターネット広告、電子書籍、電子雑誌のようにデジタル化の伸びしろを持つ分野と、ゲームのようにデジタル化した市場自体の拡大が牽引するかたちで、デジタル化率が高まると思われる。

ネット化率が17.6%と進んだ
コンテンツ市場に対するネットワーク流通の割合を示す指標としてネット化率がある。ネット化率は順調に増やしており、2014年のネット化率は17.6%(2兆1,308億円)と前年より1.7ポイント増加した。その内訳は、ゲーム57.0%(8,980億円)、静止画・テキスト22.0%(1兆173億円)、音楽・音声46.8%(900億円)、動画2.8%(1,255億円)となる。動画の割合が小さいのは、動画分野での放送の占める割合が大きいためである。インターネット広告、オンラインゲームに加え、動画配信や電子書籍などの配信サービスが増えているため、ネット化率は今後も増えていくことが予想される(図表10)。図表11は、コンテンツ別のネット化率の推移を示したものである。これを見るとゲームが急伸し、音楽・音声が減少している。ゲームが伸びているのは、スマートフォン・タブレット向けゲームの急成長によるもの。音楽・音声の減少は、配信売上がフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行期にある中、コンサートが大きく伸長しているため、ネット化率が低下する現象が起きている。

■ 『デジタルコンテンツ白書2015』概要

●目次
第1章 特集 クロスコンテンツの時代へ~ビジネスモデルの重層化~
第2章 日本のコンテンツ産業の市場動向
日本のコンテンツ産業の市場規模/コンテンツをめぐる法的環境の最新動向
第3章 日本のコンテンツ政策
第4章 コンテンツの分野別動向
マンガ/アニメーション/映画/音楽/ゲーム/オンラインゲーム/ライブエンターテインメント
第5章 メディアの分野別動向
ソーシャルメディア/モバイルサービス/放送/新聞/出版
第6章 海外動向
アメリカ/イギリス/中国/韓国/インド/ASEAN そしてタイ/SXSW(アメリカ・オースティン)
資料編 コンテンツ産業統計資料/ヒットコンテンツ2014レビュー/2008年~2013年のヒットコンテンツ

●書誌情報
『デジタルコンテンツ白書2015』
監修:経済産業省 商務情報政策局
編集・発行:一般財団法人デジタルコンテンツ協会
仕様:A4変型・270ページ
発行日:2015年9月1日
定価:12,960円
ISBN978-4-944065-24-0 C3000
※政府刊行物を取り扱う全国の書店での注文可

■ 『デジタルコンテンツ白書2015』発刊セミナー概要

日時:2015年9月4日(金)15:00~17:20
会場:城西国際大学(学校法人城西大学内)
東京紀尾井町キャンパス「3号館」B1 多目的スタジオ
住所:〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町2-3-20
交通アクセス:地下鉄半蔵門線半蔵門駅1番出口より徒歩3分
http://www.josai.jp/access/index.html

プログラム
14:30 受付
15:00~15:05 主催者挨拶 市原健介氏(デジタルコンテンツ協会 専務理事)
15:05~15:25 第1部「コンテンツ産業の市場規模」木下勇一氏(デジタルコンテンツ協会調査部主幹)
15:25~15:45 第2部「デジタルコンテンツ白書2015特集について」福冨忠和氏(専修大学ネットワーク情報学部 教授)
15:45~15:50 休憩
15:50~16:50 「パネルディスカッション」
「クロスコンテンツの時代へ~ビジネスモデルの重層化~ モデレータ 福冨忠和氏(専修大学ネットワーク情報学部 教授)
パネラー(氏名50音順) 数土直志氏(イード アニメ!アニメ!編集部 編集長)、濱野智史氏(ネットイヤークラフト リサーチャー/情報環境研究者)、森 祐治氏(電通コンサルティング シニアディレクター取締役)
16:50~17:00 「アイドルプロデュースについて」濱野智史氏(ネットイヤークラフト リサーチャー/情報環境研究者)
17:00~17:20 「PIP(プラトニクス・アイドル・プラットフォーム)」ライブ

受講料:DCAJ法人会員 無料、その他 3,000円
白書2015特別割引販売:セミナー会場において、特別価格10,000円で販売

■ 関連 URL

・『デジタルコンテンツ白書2015』
 http://www.dcaj.or.jp/project/dcwp/index.html
・一般財団法人デジタルコンテンツ協会
 http://www.dcaj.or.jp