ブラックマジックデザインは、ハリウッドを拠点とする VFX会社、Flash Film Worksが、20世紀フォックスのコメディーヒット作『Spy』の合成作業にFusion Studioを使用したことを発表した。実際にFusion Studioを使用したのは、合成スーパーバイザーのジェレミー・ネルソン氏とそのチームスタッフ。カーチェイスのシーンやヘリコプターのスタント、入り組んだ戦闘シーンなどで様々な合成が用いられている。
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■ Fusion Studioの使用について

ポール・フェイグ氏が制作/監督を務めた『Spy』は、メリッサ・マッカーシー演じるオフィス勤務の控えめな分析官スーザン・クーパーが、期せずしてスパイエージェントの影の英雄となる物語。スーザンは最新技術の設備と隠しイヤホンを駆使して、ジュード・ロウ演じる威勢の良い現場エージェント、ブラッドリー・ファインを背後から助ける。しかし、ローズ・バーン演じるブルガリア人武器商人、レイナ・ボヤノフがブラッドリーを暗殺すると、ジェイソン・ステイサム演じるもう一人のトップエージェントは屈してしまう。ボヤノフを捕え、世界を危機から救う役割はスーザンに託される。
「『Spy』では、プロジェクション、リグ/ワイヤーの除去など、主な合成作業をFusionで行いました」と、ネルソン氏は話す。「Fusion のワークフローはとても効率的かつ柔軟です。3DトラックをFusionで読み込み、要らないものをペイントして消したり、フレームをプロジェクションしてシーンを作り上げたりするのは簡単です」
盗まれた車がパリの道路を走り、横滑りして止まるカーチェイスのシーンがある。「このスタントは何度も練習されていたので、道路には横滑りの跡が無数にありました。カメラは動いていて、トラッキング撮影やドリー撮影も行われていたので、ペイントして消すのは無理でした。それでも、Fusionでは簡単に消すことができたんです」と、ネルソン氏は説明する。「車を3Dトラッキングし、ジオメトリを作成して、複数のプロジェクションを行う必要がありました。あるショットでは、カメラが激しく動いていたので、シーンをクリーンにするのに15のプロジェクションが必要でした」。


他には、スタントマンがヘリコプターにぶら下がるアクションシーンがある。いくつかのショットは普通のペイントアウトで間に合ったが、複雑なショットではネルソン氏はFusionで同様の処理を行った。「ヘリコプターをトラッキングし、それを3Dで再構築しました。安全ベルトは Fusion のロトスコープツールで消しました。Fusionのロトスコープツールは、私が今までに使った中で最高ですね。使うのが簡単です」と、彼は言う。
Flash Film Worksのオーナーであるウィリアム・メサ氏は、敵役の女優がハイヒールで戦う複雑な格闘シーンにもFusionが使われたことを明かす。「彼女はその格闘シーンをスポーツシューズで行い、ハイヒールは後で合成しました」。
「LightWaveで3Dモデルを構築し、それをFusionで読み込み、3Dトラッキングや位置/ライト調整を行って、すべたがショットにマッチするようにしました」と、メサ氏は説明する。「特にライト調整がとても複雑でした。室内から室外など、様々な照明環境を動き回るシーンでハイヒールの光り具合を完璧にする必要があったからです」。
Flash Film Worksが『Spy』の合成を提供する上で重要な役割を担ったのが、Fusionの効率的なノードベースのワークフローだった。「合成はノードでやるべきですよ」と、ネルソン氏。「ノードビューを拡大すれば、その内容やエラー、ノードがどこで分かれているかなどが簡単に確認できます、制作チーム内でのショットの受け渡しが効率的になりますね。ノードを使えば、ワークフローの内容や情報をブランチスタジオのメンバーと共有するのも簡単になります」。

■ 関連 URL

・Fusion Studioの使用について
 https://www.blackmagicdesign.com/jp/press/release/20150618-01
・ブラックマジックデザイン
 https://www.blackmagicdesign.com/jp