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    昨年12月10日の配信開始以来、世界中の40近い国と地域でトップ10入りを果たし早くもシーズン2の製作が決定した本作。そのVFXワークを中核スタッフが語る。

    ※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 272(2021年4月号)からの転載となります。

    TEXT_福井隆弘
    EDIT_沼倉有人 / Arihito Numakura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada
    ©麻生羽呂・小学館/ROBOT

    Netflixオリジナルシリーズ『今際の国のアリス』好評配信中
    原作:麻生羽呂「今際の国のアリス」(小学館)/監督:佐藤信介/脚本:渡部辰城、倉光泰子、佐藤信介/音楽:やまだ 豊/撮影監督:河津太郎/美術監督:斎藤岩男/アクション監督:下村勇二/VFXスーパーバイザー:神谷 誠、土井 淳/VFXプロデューサー:豊嶋勇作、鈴木伸広/エグゼクティブ・プロデューサー:坂本和隆/プロデューサー:森井 輝/企画・制作プロダクション:ロボット
    netflix.com/今際の国のアリス

    渋谷から猛獣まで1,000カット超の4K VFX

    麻生羽呂原作の漫画『今際の国のアリス』が、Netflixで実写ドラマ化され、好評配信中だ。人生に夢を見出せず漫然と生きていたゲームが唯一得意なアリス(山﨑賢人)と、どんな苦境でも生きる意味を探し続けるウサギ(土屋太鳳)が、突然放り込まれた謎の世界「今際の国」で信頼を築き、生き延びようとする姿を描いたサバイバル・サスペンスだ。監督は漫画原作の映画化の第一人者でヒット作も多い佐藤信介氏。そして難易度の高いVFXを一手に担ったのがデジタル・フロンティア(以下、DF)である。本作のVFXスーパーバイザーを務めた土井 淳氏が企画の経緯を語った。「2019年の春に最初のお話をいただいて、クランクインが8月頃、クランクアップが12月頃でした。4K納品で全8話、作品全体の総カット数は1,300カットほどで、その内DFが担当したのは1,050ほどです。制作中はコロナ禍による緊急事態宣言への対応も求められましたが、Netflixの厳しいクオリティチェックもしっかりとクリアして、良い感じで進められました」。Netflixのクオリティ管理は非常に厳しかったそうだが、表現面への配慮はVFX制作については特に気にすることはなかったとのこと。

    〈上段〉左からVFXスーパーバイザー 土井 淳氏、ライティングリード 安藤弘樹氏、コンポジットリード 小野寺 丞氏、ショットワークリード 友村 亮氏、キャラクターリード 嚴 大鉉氏/<下段>左からアニメーションリード 松川秀治氏、フェイシャルリード 高尾翔英氏、エフェクトリード 角田 陵氏、背景リード 源 良太氏、背景アーティスト 川口 聡氏、セットアップアーティスト 小山 遼氏。以上、デジタル・フロンティア
    www.dfx.co.jp

    VFX的な見どころは、スクランブル交差点をはじめとする無人の渋谷の街並み、4話の地下道シーンに登場するクロヒョウと押し寄せる水流、クライマックスに描かれるビーチの火災エフェクトが挙げられる。ほかにもマズルや着弾、血飛沫などのVFXも丁寧に施されている。DFのチームとしては総勢100人という大所帯だ。なお5話に登場するトラはインドのAnibrainが担当。渋谷シーンを中心に大量に発生したロトスコープは外部パートナーにも委託しているが、大半のVFXワークはDF内で完結させたという。昨年4~6月は緊急事態宣言に伴い、TGXを用いたリモートワークで制作が進められた。「リモートワークに切り替えた当初は従来比50%程度のパフォーマンスでしたが、最終的には70~80%にまで向上させることができました」(土井氏)。TGXの画面表示はMP4圧縮されるため、監督チェックなど色味を正確に確認する作業については出社して対応することで問題なく行えたそうだ。

    <1>渋谷シーンのエンバイロンメント

    細密なインビジブルエフェクトが"無人の街"をリアルに描き出す

    佐藤信介監督から特に求められていたのは、目玉である1話、"無人の渋谷"をどれだけリアルに描けるかということだった。空気感や存在感をいかに出せるか。人がいなくなる演出のため、普段はあまり見えない渋谷のスクランブル交差点の地面や、周りのビルの1階部分のクオリティアップにかなりの労力が費やされた。渋谷のスクランブル交差点シーンは、栃木県足利市の「足利スクランブルシティスタジオ」(ashikagascramble.com)に建てられたスクランブル交差点のオープンセットで撮影された。現場での環境の撮影は、アップショットなどのできるだけ高解像度が必要なシーンはNikon D800で撮影し、基本的にはRICOH THETA Z1でHDRIデータが採取された。足利の オープンセットについて、交差点の周りは美術で制作し、抜けはグリーンバック(ビル2階ほどの高さ)という状況での撮影になったが、人物を完全にカバーできるほどの高さのグリーンがなく、一部空抜けになる箇所もあり、ロトスコープ作業には大きな手間が求められた。「合成はさほど問題ありませんでしたが、カルベ(町田啓太)がアリスを肩車している、グリーンと空がミックスされているシーンが一番苦労しました。外部パートナーにベースのマスク作業を頼んで、最終的な細かいところは社内で対応することにしました。全体を通してマスキングとキーイングが膨大で大変でしたね」と土井氏。

    4話の終盤に登場するレインボーブリッジの遠景シーンでは、動いている自動車や人などを全て消す必要もあった。今作では人が街からいなくなる演出がポイントだったため、こうしたマスク作業に多大なるコストがかけられている。単純に消してしまうと静止画に見えてしまうショットもあるため、空気感を演出するため、渋谷の街に登場する一部の樹木はUE4で作成し、揺れるアニメーションが施された。「当初は、ショット自体をUE4で完成させることも検討しました。ですが、暗部のチラつきやリフレクションの具合が詰めきれなかったため、今回はプリビズ(後述)と樹木の表現に限定してUE4を導入しました。レンダラは使用経験の豊富なV-Rayを使っています。樹木の表現は納得のいくクオリティが出せたので、今後はショットワークでもUE4を積極的に使っていきたいと思っています。UE4チームを社内でつくれたら良いですね」(土井氏)。なおメインのDCCツールは、MayaとV-Ray。マッチムーブはPFTrack、CGエフェクトはHoudini、コンポジットはNukeを用いているとのこと。

    渋谷のセット

    渋谷のセットは現地のロケハン、大型セットのロケハン、3DレーザースキャナFAROによるスキャンといったデータを基に、Mayaで制作した。実写プレート素材と自然にマッチするアセットをつくるため、ディテールやスケール感を探るべく何度も現地に行き、参考素材を収集したという。また、特徴的なシルエットの建物や樹木は実物に忠実に制作。データ量が増えたため、木などの重いアセットはUE4にコンバートした。そのおかげで、ライティングなどのショット作業ではレスポンスが早く、試行錯誤しやすいアセットになった



    • ▲渋谷駅と交番のFAROによるスキャンデータ



    • ▲データを参考にMayaでモデリング



    • ▲完成した渋谷駅前周辺のアセット



    • ▲駅前にある特徴的な樹木はUE4にコンバート

    ▲UE4での樹木のレイアウト

    モブキャラ

    ▲スターバックス コーヒー店内にいるモブキャラはAXYZ社のanimaを活用した。アプリ内のモーションライブラリを活用し、背景やモブ同士のコリジョンも簡単に設定できる

    ブレイクダウン

    実写素材とCG背景のトラッキングと仮合成のブレイクダウン。トラッキングはスタンドアロンの3Dマッチムーブ/トラッキングソフトウェア、PFTrackを使用。PFTrackとMayaを行き来して調整をくり返し、UE4から仮素材を出力して仮合成、ずれがないか確認した



    • ▲PFTrackでの作業



    • ▲Mayaでの作業

    ▲ローモデルと撮影素材のズレが見えないよう調整

    ▲UE4から仮素材を出力、仮合成

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    <2>ショットワーク~渋谷~

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    <2>ショットワーク~渋谷~

    3DCGと合成の知見を総動員しリアルな渋谷をつくる

    前項で述べたとおり、オープンセットには渋谷のスクランブル交差点の中心部分から奥はなかったため、抜けに映り込んでくるマルイや道玄坂などのエンバイロンメントを制作することになった。また、交差点の地面の起伏がセットと実際で若干異なったため、オープンセットのレーザースキャンやキットバッシュをミックスしながら実写に合わせて調整。さらに、セットと実景とのちがいとして渋谷駅前の東急百貨店などの影の有無があった。そこで、そうした落ち影を表現するための建物モデルも作成し足し、実写プレートに影を合成させている。

    走行するクルマやモブも3DCGで作成。モブ表現は、土井氏が普段から愛用しているAXYZ社のanimaを使用。アプリ内にモーションライブラリが用意されており、選んでシーンに読み込み配置するだけなので効率良くモブをつくり出せるそうだ。「モブキャラはほとんどanimaでまかなっています。QFRONT 2Fのスタバ店内にいるお客さんもanimaで作成したキャラクターがベースです。窓の透過表現についてはリアリティを出すために建物本体とモブ、窓ガラスを個別にレンダリングして、逆サイドの東急のビルもしっかりと反射するように設定しました」(土井氏)。駅前の大きな看板など演者に近いものは美術で作成されたが、景観内の看板は制作プロダクションにそのままカット内に登場させてもOKか確認してもらいつつ、NGだったり演出的に差し替える必要があるものはデザイン(テクスチャ素材の制作)を外部パートナーに協力してもらいCGで作り替えているとのこと。こうした街並みのアセット制作は撮影が始まる前から着手し、トータルで約7ヶ月を費やしたそうだ。

    5話以降のメイン舞台となる「ビーチ」シーンについては、建物のベースとなるホテルの所在地と撮影したロケ地が異なるため、3DCGで再現したホテルを合成している。また、クライマックスで発生する火災の表現については、演者との距離が近いためHoudiniによるボリュームエフェクトと実写の炎素材を組み合わせて作成された。実写素材とCGの使い分けは、演者が手に持つ松明の炎や壁に当たって動きが変化するなど、演技との整合性やロケ地の形状とインタラクションさせる必要のあるものにCGを利用しているとのこと。

    背景素材のコンポジット

    レンダリングした背景素材のコンポジット



    • ▲ビューティ素材



    • ▲Diffuse Colorからコンポジットを開始



    • ▲AOVに含まれている各Light DiffuseとDiffuse ColorからLight成分を抜き出す



    • ▲抜き出した全Lightを調整して統合(加算)



    • ▲Diffuse Colorに対して調整したLight成分を乗算



    • ▲TSUTAYA内や入口付近のモブ素材を乗せる



    • ▲SpecularやReflectionなど、その他必要なAOVを乗せる



    • ▲カラコレと空気感の調整などを行う



    • ▲デフォーカス、モーションブラー、レンズの歪み、フィルムノイズ処理を行う



    • ▲撮影プレートに重ねて完成

    ライティング

    今回、背景アセットのライティングが多かったが、撮影プレートに合わせて環境を作成しても、対象サイズが大きく異なること、リファレンス写真の日の入り方も実際のカットとは異なるため、そのまま使用できないことなどで苦労をしたという

    ▲THETAやD800で撮影したRAW画像を現像し、パノラマ写真合成ツールPTGuiで統合したHDRI画像

    ▲撮影チャートとMayaのレンダリング画像をNukeに読み込み、比較して調整

    ▲Mayaと同等の環境をUE4で再現し、揺れる木をムービー出力してシミュレーションコストを削減した

    ▲ライティングのOKテイク

    ブレイクダウン

    撮影プレートのキーイング、および背景素材とのコンポジットのブレイクダウン。撮影プレートにはグリーンバックと空が混在していたため、その境目が今回のキーイングの難所となった。また、撮影プレート・CG素材が共に4Kサイズで容量が大きく、読み込み負荷が高くなり効率が低下したため、Nukeのローカライズ機能を活用したり、途中段階でプリレンダリングを行なって工夫した



    • ▲撮影プレート



    • ▲キーイング処理後



    • ▲LUT適用前のコンポジット



    • ▲LUT適用後

    NukeによるVFX作業例

    ▲レーザーで撃たれる瞬間のショット。Mayaでアニメーションを付けたシリンダをNukeにインポートし、NukeでNoiseにアニメーションを付け、レーザーの質感を出している。また、顔への照り返しは、Mayaで素材をつくり、足りないところをNukeのRotoPaintノードで補った

    ▲レーザーで撃たれた後のショット(左が適用後)。右目眼球の変化は、Nukeに目のオブジェクトをインポートし、2Dトラッキングで位置を合わせ、3Dで目の角度を変更している

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    <3>ショットワーク~地下道~

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    <3>ショットワーク~地下道~

    バーチャルプロダクションでイメージをより効果的に共有

    4話のゲーム会場となる地下道シーンの制作では、UE4を用いたバーチャルプロダクションによってプリビズが作成された。「クロヒョウのカットと、ウサギたちを襲う水流のカットの演技や撮影プランを検討するためにプリビズを作成しました。ハリウッド映画の事例を調べたりしながらチャレンジしました。撮影監督の河津(太郎)さんとアクション監督の下村(勇二)さん、そしてアクターさんにオパキス(DFのパフォーマンスキャプチャスタジオ)にお越しいただき、ロケ地(神戸市の港湾トンネル)を3Dスキャンモデルから作成した地下道のUE4シーンのバーチャルセットで撮影を行いました。UE4のリアルタイム合成は、そこそこフォトリアルな見た目で確認できるので、イメージを共有しやすくてとても有意義なプリビズになりました」(土井氏)。

    クロヒョウは浜松の動物園に行き、実物からリファレンスを収集。遠目から見るとただの黒に見えるが、近距離で見るときちんと豹柄が見える。そうした点もしっかり3DCGで再現された。実作業中には、毛を生やすと筋肉の揺れがあまり見えなくなり、大きめに揺らすなど試行錯誤があった。「クルマの揺れなどもあるので、役者さんの撮影時はアクターさんにクロヒョウを演じてもらいました。基本的に頭でトラッキングできるようにターゲットを付けて、手や足は役者との接触部分が馴染ませやすいにように、フサフサした手足に仕上げました」と、土井氏。クロヒョウは、角度によっては表情が意図せず可愛く見えてしまうため、目線や表情には非常にこだわった。なお、クルマの下に逃げ込んだヤマネを襲うカットでは、入れないようにサイズを約1.4倍にデフォルメして対応しているとのこと。そして、地下道の途中が鉄板で塞がれており、その鉄板が水流の圧力によって吹き飛び流れ込んだ大量の水がウサギたちに迫り来るというクライマックス。水の表現はHoudiniで作成されたが、苦心したのが水のスピード感だったという。「ウサギたちは走って逃げるのですが、水が迫ってくるスピードの方が圧倒的に速いわけです。そこで、すぐ背後にまで水が迫っている緊迫感を保つために、カットに合わせて水流の移動距離と開始位置を調整していきました」(土井氏)。

    最後に土井氏が本プロジェクトを総括してくれた。「みんなが知っている渋谷を無人の街として描くのはかなりのチャレンジでしたが、なんとか期待に応えることができたと思います。フォトリアルな動物表現やUE4の利用についても、次のステップへと進める手応えがありました。本作はシーズン2の製作がすでに発表されていますが、次回はHDRへの対応も必要になってくると思うので、しっかり準備を進めようと思います」。

    水で鉄板が破壊されるカット

    Houdiniによる、水で鉄板が破壊されるカットの制作。シミュレーション速度を重視して、鉄板の変形にはBullet Solverとコンストレインを組み合わせた。また、本来は水圧で変形後の鉄板を動かすべきだが、RBD Packed ObjectsはFlip Solverでは正しくコリジョンせず、かといってRBD Objectにするとシミュレーションが重すぎるため、鉄板の動きは水のシミュレーション前に完結させ、コリジョンのためだけに読み込むことにした。なお、変形時に飛ぶビスの動きや飛沫は、鉄板の動きの変更後はプロシージャルに変わるようにセットアップしている



    • ▲鉄板の変形シミュレーションの適用結果



    • ▲コンストレインにはGlueとHardをミックスし、歪みと外れる動きを付けた



    • ▲鉄板の変形に関わるネットワーク。POPでローポリのスフィアを発生させ、それと手付けのコリジョンモデルで鉄板を歪ませたり、飛ばしたりしている



    • ▲シミュレーション実行時のコンストレインの結果

    ▲変形部分のアップ

    シミュレーション

    鉄板の変形シミュレーション完成後、水と飛沫のシミュレーション制作の様子

    ▲水のシミュレーションの適用結果



    • ▲コリジョンには鉄板の変形シミュレーション結果を使用し、ForceやvelFieldなどで多少のムラを出す程度のシンプルな設定に留めた



    • ▲飛沫のシミュレーションの適用結果



    • ▲飛沫のエミッターは水のシミュレーション結果を基に作成。シミュレーションを軽くするため、DOP内でカメラ外のポイントを消し、シェーディングで使用するMaskアトリビュートなどを作成した



    • ▲最終ショット

    プリビズ制作

    トンネル内のクロヒョウシーケンスのプリビズ制作。DFのモーションキャプチャスタジオ「オパキス」で、バーチャルプロダクションを使用している。撮影は監督がバーチャルカメラで行なっており、今後はレール、クレーンなどを持ち込んで行う予定とのこと



    • ▲正面カメラ



    • ▲サイドカメラ



    • ▲ライブ撮影にはMotionBuilderを使用



    • ▲撮影後、UE4でライティングやDOFなどを調整

    クロヒョウのモデル

    3DCGによるクロヒョウのモデルは、当初からMaya用プラグインZiva VFXで筋肉のシミュレーションを行うことが内定していたため、モデル制作はそれを想定したメッシュの密度とトポロジーで制作。毛の作成にはYetiを使用した

    ▲Mayaで作成したモデル

    ▲登場人物の等身大モデルとのスケール確認と調整



    • ▲Yetiによる毛の作成。黒はベースの毛、赤は毛の質などのバリエーション、青は鼻や口周りのウェットな質感用、緑はInstance機能を使用した汚しディテール



    • ▲質感は物理ベースではあるものの、暗いショットで理想的なルックになるよう成分のバランスを調整



    • ▲Ziva VFXによる筋肉シミュレーションモデル。レンダリングしてみると、毛の長さなどによって筋肉の動きが目立たない問題が発生したため、シミュレーション結果を読み込んだ状態で調整した



    • ▲フェイシャルのリグ。実写動画を参考に、レンダリングしながらリグとベースアニメーションを作成

    クロヒョウのアニメーション

    クロヒョウのアニメーションは、トラッキングプレートとカメラをMayaにインポートしたら、まずはリグが軽めのボディから作業開始。監督チェックでOKをもらったら重めのフェイシャルに取りかかるというながれになった

    ▲クルマの上から襲いかかるショット。迫力を出すために現実より1.4倍ほど大きめにしている

    ▲キャストに噛み付くショット。カメラに貼った映像を見ながら激しく動くキャストに少しずつ合わせた

    コンポジット

    Nukeによるクロヒョウ登場ショットのコンポジット例



    • ▲レンダリングしたビューティ素材



    • ▲Diffuse Colorからコンポジットを開始し、各Light成分を抜き出して調整し統合、Specularを乗せる



    • ▲Reflectionに対して発煙筒の光の影響を適用し、GIやSSSなどのAOVを重ねる。クロヒョウの手前にマスクを作成し、撮影プレートを乗せる



    • ▲撮影プレートに合わせてカラコレ、空気感などの調整を行い、発煙筒の照り返し用素材を調整して乗せる



    • ▲この時点ではドアに挟まれている表現になっていないため、挟まれている顔部分を抜き出し、ドアの手前に乗せる。抜き出しにはDeep素材を使用し、DeepHoldoutノードでマスクを作成した



    • ▲影やオクルージョンなどの馴染ませ処理を行い完成したショット



    • 月刊CGWORLD + digital video vol.272(2021年4月号)
      特集:大解剖『進撃の巨人』The Final Season
      定価:1,540円(税込)
      判型:A4ワイド
      総ページ数:112
      発売日:2021年3月10日