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    点と線で表す動き

    アニメーターがキャラクターを動かしていく作業というのは、例えるならアニメーター自身が傀儡師となり、人形に演技をさせていく作業と言えます。その人形が生きているのか死んでいるのか、感情移入できるのかできないのかという分かれ道が、アニメーターとしての技術力の優劣を決めるポイントと言っても過言ではありません。そのような意味を踏まえて考えると、単純に動かす側の技術のみならず、役者として演技する側の知識・技術も私たちは学んでおく必要があります。

    筆者は舞台をよく観に行きますが、生で舞台役者の演技を見ると、演技というものがいかに大げさに行われているのかがよくわかります。それらの演技の中で特に目立つのが、「点と線」と呼ばれる技術です。人は動きやポーズを見るとき、次の動作がどのように行われるのかを予測する性質があります。動きの予測がスムーズに行われ、かつ予測した動きと実際の動きの結果が一致した場合、気持ちの良い演技として、見る人の目に効果的に印象を残すことができます。これを可能にするのが、体の各部位などの点とそれらを繋いだ線を意識的に見せる、「点と線」の技術なのです。これは 12 の基本原則における「ステージング」の拡張版とも言えます。

    この「点と線」を実際どのように用いて動きの予測を行わせているのか、新しいキャラクターを用いて解説していきたいと思います。

    TEXT_森江康太(トランジスタ・スタジオ/ディレクター)
    書籍「アニメーションスタイル+」著者。MV『Express』等の作品で監督としても活動している。
    トランジスタ・スタジオ公式サイト
    0130.web(個人サイト)
    @kohta0130(Twitter)

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    CGWORLD 2014 年7月号 vol.191