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第13回:「カラーマネジメントとリニアワークフローの違い」

第13回:「カラーマネジメントとリニアワークフローの違い」

カラーマネジメントの目的

リニアワークフローは【ガンマ】という濃度の問題を解消しましたが、色はガンマがコントロールしている【中間の濃度調整】の他にも【色相や彩度】【白や黒の色や明るさ】など複数の要素で変化してしまいます。そこでカラーマネジメントでは、特定の色基準(カラープロファイルや 3D LUT など)を用いてシステム全体を管理していくのですが、カラープロファイルの中身を見てみるとガンマ以外に 2 つの値が記述されていることがわかります。その様子が分かるよう、以下に本連載第 2 回の図を再掲載します。

「カラープロファイルの中身」

図 4「カラープロファイルの中身」
入出力機器の発色特性を正しく記述するには、ガンマの他に、ホワイトポイント/ブラックポイントの値と、RGB 各色の値が必要

「色を合わせる」という言葉には、いろいろな期待が込められていると思います。例えば、社内の作業者が使っているモニタの色を一致させる、外部協力会社と一致させる、モニタと印刷物を一致させる、現物の色とシェーダーの設定値を一致させる、などなど。そこで、カラーマネジメントの目的は「色を総合的に管理し、上記のすべてを実現すること」になります。具体的には、図 5 のように全ての入出力デバイスとソフトウェア、そしてそれを運用するワークフロー(パイプライン)のルールを設定し、全行程で色をマッチングさせていきます。

「制作の全行程で色がマッチングする」

図 5「制作の全行程で色がマッチングする」

カラーマネジメントとリニアワークフローの関係

では、カラーマネジメントとリニアワークフロー、この 2 つの関係はというと「リニアワークフローはカラーマネジメントの一部」ということになります。図 6 を見てください。リニアワークフローは、「3DCG ソフトウェアのデータの入出力を管理する手法」です。一方、カラーマネジメントは「全てのハードウェア・ソフトウェアを管理する手法」なので、リニアワークフローはその中に含まれるというわけです。

「リニアワークフローはカラーマネジメントの一部」

図 6「リニアワークフローはカラーマネジメントの一部」

ですので、どちらか一方だけを行えば「色が合う」のではなく、両方を行うことが必要なのです。もしリニアワークフローだけを導入して「なぜ色が合わないのか?」と悩んだことがある方はこれですっきりしたのではないでしょうか。ただし、リニアワークフローは 3DCG ソフトウェアの入出力時のデータ管理ですので、その概念を拡張して、前後のソフトウェアの管理手法まで含める場合があります。これはすでにカラーマネジメントの一部(一部分のソフトウェアの説明)のことを指しているわけですが、やはりこれだけでは色を合わせることができませんので、そうと知りつつ全体を考えてみると、「色が合わない」という混乱を防ぐことができます。

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