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第11回:児玉光生先生(ケーツー)

第11回:児玉光生先生(ケーツー)

日本における3DCG・映像教育の現状と課題を探るため、教育現場と制作現場、双方での経験をもつ方々に話を聞く本連載。今回はケーツーの代表取締役社長で、大阪アミューズメントメディア専門学校(以降、大阪AMG)の講師も務める児玉光生氏にご登場いただく。2000年に児玉氏が創立したケーツーは、大阪を拠点にコンシューマゲームを開発し続けるデベロッパーだ。2008年にカプコンのグループ会社となり、近年は『バイオハザード アンブレラコア』(2016)をはじめ、カプコンとの共同開発、開発協力タイトルを数多く手がけている。

その一方、児玉氏は2000年から現在にいたるまで大阪AMGでの講師を続けている。「学生のご両親と私とは、ほぼ同世代です。親であれば自分の子供には幸せな人生を送ってほしいと思うでしょうが、夢を見るだけでは幸せな人生につながりにくいのが現実です。ほとんどの人にとっての幸せとは、衣食住が整い、給料がもらえ、休日のある人生を過ごせることではないでしょうか。これらが整ってこそ良い仕事ができる。それが真理だと私は思います」。この真理を伝えることが自分にできる教育だと語る児玉氏に、これまでの道のりをふり返ってもらった。

一番アカンと思うのは、『何でもします』という姿勢

児玉氏が大阪AMGと出会ったのは、ケーツーの起業を決意する直前だった。「務めていた会社の近所に、大阪AMGの設立準備室ができたのです。当時は学校での教育経験などなかったのですが、『使ってくれませんか?』と門を叩きました」。頭で考えるより先に身体が動いていたと児玉氏は語る。「その頃はディレクターという肩書きで、中間管理職をやっていました。漠然と感じていた頭上の壁を突破したくて、きっかけになる何かを探していたのです。講師を経験すれば未来が開けるかもしれないと思って行動したら、すぐ採用が決まりました」。最初に受け持った講義はデッサンだったが、時代は2DCGから3DCGへの過渡期で、ゲーム開発も教育も、段階的に3DCGへ移行していったという。

  • 児玉光生/Mitsuo Kodama
  • 児玉光生/Mitsuo Kodama
    大阪府出身。1987年、アイレム株式会社にデザイナーとして入社。以後、株式会社エス・エヌ・ケイ(SNK)をはじめ、複数社でゲーム開発に携わる。2000年に株式会社ケーツーを創立。2008年には株式会社カプコンのグループ会社となり開発力を強化。『天誅』シリーズ、『バイオハザード』シリーズなど、コンシューマゲームを中心に手がけてきた。2016年8月現在の従業員数は約60名。2000年から始めた大阪アミューズメントメディア専門学校での講師は現在も継続中。ゲームグラフィックデザイナー学科で、学生の進路相談や作品指導に携わっている。近年は、ケーツーでゲーム開発に携わるスタッフたちが専門学校講師を兼任することも奨励している。

「当時も今も、多くの学生は2Dの絵を描きたいと思っています。しかもアナログ嗜好の人が多い。『描きたいなら、描かせてあげましょう』という姿勢の学校もありますが、2Dのデザイナーとして就職できる人は一握りです。プロとしてご飯が食べられるレベルの画力に達していない人が多い一方で、社員として雇ってくれる会社は少ない」。例えば、現在スマートフォンゲーム市場に溢れている2D絵の多くは、フリーランスのイラストレーターによって描かれている。3週間かけて描かれた細密な厚塗りイラストの買い取り価格が5万円というケースもあり、平均年収は決して高くない。

「もちろんプロとして堅実に仕事をなさり、家庭を築いている方々もいます。しかし、過酷で孤独な人生を歩む可能性も十分にあります。加えて、今のような2Dの絵が今後どれだけ必要とされ続けるかは未知数です」。10年後のスマートフォンは、PlayStation 4以上の性能を有しているだろう。その時代の"絵"は、3DCGを使ったセルルックレンダリングが主流になっているかもしれない。「そうなったら、アイコンだけを描いていた人、3頭身キャラだけを描いていた人は職を失うかもしれない。踏み込み過ぎかもしれませんが『最先端の技術を身に付けられる進路を選びなさい』『消耗品にならないように』と1年生の夏くらいから話して聞かせています」。

児玉氏は大阪AMGで毎年20〜30人の1年生と向き合う中で、ゲーム業界の最新事情を伝え、就職に向けた作品制作を指導している。「まずは『職種を決めなさい』『方向性を明確にしなさい』と言うのが通例です。ほとんどの専門学校生は少し前まで高校生だったので、受け身な姿勢の人が多い。中学から高校、高校から専門学校へ進学したときと同じように、学校の講義に出て単位を取れば、自動的に就職できるだろうと考えています」。

しかし現実には、講師に言われた課題を漫然と並べただけのポートフォリオをもって就職活動をしても採用にいたらない場合が多いという。「私が一番アカンと思うのは、『何でもします』『何でも良いです』『とにかく入社さしてください』という姿勢です。正直な気持ちを話してくれる点は嬉しいのですが、方向性の定まった人と比べられたときには存在が霞んでしまいます」。

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