El Shaddai : ASCENSION OF THE METATRON
昨年の E3 で衝撃的なトレイラーを発表して話題をさらい、ゲーム業界に限らず発売前から話題沸騰の本作。誰もが初めて見るビジュアルを作り上げた開発スタッフの創意工夫を探る。
©2011 Ignition Entertainment Ltd. All Rights Reserved.
既成概念に囚われない自由な発想
特徴的なビジュアルにどうしても目がいってしまう本作であるが、実は、日本のゲームとしては非常に珍しい、大胆な試みを行なっていることにお気付きだろうか? それは、プレイヤーを誘導したり、ダメージの程度を知らせたりする ヘッドアップディスプレイ(HUD)の類が一切画面上に表示されていないことである。この HUD を排除する傾向は、近年、リアルなビジュアルを持つ欧米タイトルにおいて顕著であるが、これは現実的なビジュアルに非現実的なものが存在すると没入感を損なってしまうという考えからである。では、ノンフォトリアリスティックなビジュアルを持つ本作では、どのような意図から HUD を採用しなかったのだろうか? 本作のディレクター・竹安佐和記氏は、その理由について「一生懸命作り込んだビジュアルであっても、ユーザーがゲームに没入すればするほど、プレイに必要な情報のみしか見なくなる傾向を何とかしたいという思いからです」と答えた。つまり、シンプルな画面構成にすることにより、操作という行為を作業からプレイに変えて、真にゲームの全てを楽しんでもらうことを目的としているのだ。
本作は、2D ステージ、3D ステージおよびカットシーンから構成されており、それぞれのチャプターごとに全く異なる画づくりが行われている。また、地面の模様が流れていたり、木立の葉が炎の如く揺らめき続けていたりするように、画面上の何かが常に動き続けている。これは、竹安氏が開発スタッフに対して、何かに形容することができない、「変わっている」としか言いようがない無国籍感をコンセプトに画づくりを指示したことによるものである。この統一感のなさやシュールレアリスムすら感じさせる独特な世界観がユーザーに疑問を与え、さらに本作のビジュアルにのめり込ませるのだ。
ただし、このビジュアルを得るためには非常に多くの技術的な壁を乗り越えなければならなかったという。その1つがメモリ管理で、ステージやチャプターごとにビジュアルが大きく振れることにより必要なリソースが一定にならず、常に大幅な変化が生じてしまうためである。この問題に対して開発スタッフは、その都度現場で構成要素の取捨選択をし、メモリ容量内に収めるという地道な努力を行なっていったとのこと。
このように、プレイするたびに新たな発見に出会うことができる 『El Shaddai』 。その画づくりに注がれたテクニックを次項から詳細に見ていこう。
TEXT_久代忠史
PHOTO_大沼洋平
El Shaddai : ASCENSION OF THE METATRON
発売・開発:イグニッション・エンターテイメント・リミテッド
発売日:発売中
価格:7,980円
Platform:PS3/Xbox 360
ジャンル:アクション
『El Shaddai : ASCENSION OF THE METATRON』公式サイト
©2011 Ignition Entertainment Ltd. All Rights Reserved.
メイン開発スタッフ
写真左から
キャラクターモデルリード・阿部鉄也氏★
イベントリード・永田 太氏(フリー)
リグ担当・岡 修平氏★
ディレクター・竹安佐和記氏(株式会社crim)
エフェクト担当・菊池公瑛氏(ビヨンドインタラクティブ株式会社)
モーションリード・三宅章仁氏★
写真なし
アートディレクション&背景リード・堀 壮太郎氏★
★......イグニッション・エンターテインメント・リミテッド
続きは、月刊誌で!
CGWORLD 154号に関する詳細は下記リンクへ
CGWORLD 2011年6月号 vol.154








