Game Graphics Studio

最新のゲームタイトルにおける画づくりを徹底的に解説

シャドウ オブ ザ ダムド

今回紹介するのは、独創的な作風で国内外を問わず高い評価を得ている須田剛一氏率いるグラスホッパー・マニファクチュアの最新作。「パンクホラー」を標榜する本作のビジュアルの開発過程を探る。

『シャドウ オブ ザ ダムド』キービジュアル

©2011 GRASSHOPPER MANUFACTURE INC. Shadows of the Damned is a trademark of GRASSHOPPER MANUFACTURE INC. EA and the EA logo are trademarks of Electronic Arts Inc. All other trademarks are the property of their respective owners.

Unreal Engine 3の有効活用

本作のキーワードの1つである「グラインドハウス」とは、B級映画を2〜3本立てで上映していたアメリカの映画館のことで、あまりシリアスではない本作の雰囲気や方向性を表すために「スタイル」を付けて用いられている。そのため、このスタイルに沿う形で、主人公のガルシアの動きには漫画チックな要素が取り入れられた。また、開発の初期段階にビジュアルコンセプトを表す言葉として交わされていたのが「リアリスティック・ファンタジー」。これをゴールにするため、テクスチャもリアルなものが用いられ、地獄でありながらどこかで見たような雰囲気の景色を作り出している。

このような本作の開発に大いに貢献したのが、Epic Gamesが開発したゲームエンジン&統合型ゲーム開発ツールのUnreal Engine(以下UE)である。UEは1998年に同社のFPSタイトル『Unreal』に初めて実装され、現在バージョン3.5まで進化しており、今までに全世界で200以上のタイトルに採用された実績を誇る。このように高い評価を得ているUEであるが、実は日本での採用事例は極めて少ない。これは、日本のゲーム開発の多くが仕様に合わせてゲームエンジンを開発するスタイルであるためで、予め制限が定められている市販のゲームエンジンにはなかなか食指が動かない現実がある。実際、本作においても、ゲームコンセプトである「光と闇」を完全に具現化するため、どこでも暗闇になりえるようすべてのオブジェクトに対してダイナミックなライティングを行いたかったそうだが、UEの制限によりパフォーマンスとルックの調整が大変難しく、最終的には妥協せざるを得なかったという。それでは、なぜ本作はUEの採用に踏み切ったのだろうか。それは、開発スタッフの中にUEでの開発経験者が複数存在し採用を強く進言したためで、彼らはメッシュ・ペインティングやスプライン・デフォメーションなどの豊富なツール群、強力な物理シミュレーション、プログラムの知識がなくてもシェーダを作成できるエディタ、などなど制限を上回るメリットが存在することを知っていたのである。

このようにUEの機能をフルに使い開発された本作は、アーティストの創意工夫と相まって、ハードウェアの真のパフォーマンスを引き出すことに成功している。それでは、次頁以降に具体的な開発手法を紹介する。

TEXT_久代忠史

『シャドウ オブ ザ ダムド』01 『シャドウ オブ ザ ダムド』02 『シャドウ オブ ザ ダムド』03 『シャドウ オブ ザ ダムド』04

©2011 GRASSHOPPER MANUFACTURE INC. Shadows of the Damned is a trademark of GRASSHOPPER MANUFACTURE INC. EA and the EA logo are trademarks of Electronic Arts Inc. All other trademarks are the property of their respective owners.

『シャドウ オブ ザ ダムド』パッケージ画像 『シャドウ オブ ザ ダムド』パッケージ画像

シャドウ オブ ザ ダムド

発売:エレクトロニック・アーツ
開発:グラスホッパー・マニファクチュア
発売日:発売中
価格:7,665円
Platform:PS3/Xbox 360
ジャンル:アクションアドベンチャー
『シャドウ オブ ザ ダムド』公式サイト
©2011 GRASSHOPPER MANUFACTURE INC. Shadows of the Damned is a trademark of GRASSHOPPER MANUFACTURE INC. EA and the EA logo are trademarks of Electronic Arts Inc. All other trademarks are the property of their respective owners.

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CGWORLD 2011年11月号 vol.159

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