Child of Eden
ゲーム業界のみならずエンタテインメント業界全体から注目を集める水口哲也氏の最新作『Child of Eden』。昨年の E3 において、水口氏自身のプレイによって衝撃的デビューを飾った本作の驚くべき開発手法を探る。
©2010 Ubisoft Entertainment. All rights Reserved. Child Of Eden, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Developed by Q Entertainment Inc.
仕様書に頼りすぎない対話ベースの開発
本作は、ゲーム以外にも音楽ユニット「元気ロケッツ」のプロデュースなど幅広く活躍するキューエンタテインメントの水口哲也氏による、シューティングゲームに音楽ゲームの要素を加えたゲーム『Rez』(PS2/DC、2000)の"精神的な続編"という位置付けから開発がスタートした。
そして、その実制作において特徴的なのは、ストーリーの大筋は決まりつつも、緻密な仕様書は作らない状態で開発が進められたという事実である。これは、「気持ち良さ」や「シナスタジア(共感覚性)」を最重要に考える水口氏独特の制作スタイルとのことで、ビジュアルに関しても、まず水口氏が最初に書き上げた約30ページのストーリー(英語と日本語で書かれた、どちらかというと散文詩に近いもの)をビジョンとして具現化するために次から次へとコンセプト画を描き、本作が目指すビジュアル的な方向性を探ることから始めた。水口氏もそれらのコンセプト画からインスパイアされる形で思考を次のステップに進め、それを踏まえた更なるコンセプト画の提出を開発スタッフに求めていったという。
この地道な対話の繰り返しによって純度が高められたビジュアルを基に実制作がスタートしたわけだが、その時点では「気持ち良さ」や「シナスタジア」をゲームに採り入れるための具体的な手法がまだ確立できていなかった。この問題に対して、アートディレクターの高梨 真氏は、最初のステージである「Matrix」を実験台にすることに決め、様々な試みを行なったという。その結果導き出されたのが、プレイヤーのアクションに対するリアクション及びテンションの変化が描くカーブの重要性であった。そしてここで得たノウハウを他のステージでも活用できるようにすべく、各種ツールや必要な技術の実装が行われている。
また、本作は、他に類を見ないゲームスタイルであることに加え、制限のない状態で開発を進めるために多くのツールを自社製で賄っている。そのため、ツールにスクリプト言語を対応させることにより、アーティストやプランナーが直接データを変更できるようにして、プログラマの負担を減らす工夫がなされた。
本作に登場するキャラクターや背景は非常にシンプルなプリミティブで構成されている。それ故にごまかしの効かない面があるが、シンプルなものだけが持つ純粋な美しさを見事に表現していると言えるだろう。
TEXT_久代忠史
PHOTO_弘田 充
©2010 Ubisoft Entertainment. All rights Reserved. Child Of Eden, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Developed by Q Entertainment Inc.
Child of Eden
発売:ユービーアイソフト
開発:キューエンタテインメント
発売日:発売中
価格:6,279円
Platform:PS3/Xbox 360
ジャンル:シナスタジアシューター
『Child of Eden』公式サイト
©2010 Ubisoft Entertainment. All rights Reserved. Child Of Eden, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Developed by Q Entertainment Inc.
開発スタッフ
アートディレクター・高梨 真氏(キューエンタテインメント)
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CGWORLD 2012年1月号 vol.161





