Vol.13:バンカーの仕事〜素材探し編〜
2011年最後の吉トロ奮闘記を担当するのは、この方! 「今週の中の人」では既に登場しつつも、本連載では初登場となる菅 みのり女史であります。吉祥トロのマドンナであり、業界でも新しい「バンカー」なる仕事を担当する菅氏が、バンカーならではの視点でどのようにアニメの背景が作られていくかを紹介します。
アニメって、こうやってできるんです
お久しぶりです、吉祥寺トロンです。
そして、吉トロ速報の日報では1度ご紹介にあずかっているのですが、きちんと挨拶するのはこれが初めてになります、菅 みのりです。
日報を読んでくださっている方は薄々お気付きだと思いますが、奮闘記の更新がない間、吉祥寺トロンでは TV アニメ『ダンタリアンの書架』の背景制作をしていました。私は自己紹介をする場もないまま『ダンタリアンの書架』に関わって、早 10 カ月が経っております。思えばあっという間の1クールでした。
ちなみに私の仕事は CG クリエイターではなく、バンカーという役職です。
バンカーとは業界内でも前例のない役職らしいです。元々、CG プロダクションやアニメ制作といった業界にいたわけではない私には「前例のない役職なんだよ」と言われても全然ピンとこないんですが......。
さて今回は『ダンタリアンの書架』で初めて導入されたバンカーという仕事に、この 10 カ月、何度も迷い、模索し、手探りに手探りを重ねた作業の様子を話してみたいと思います。
・絵コンテがきたよ!
バンカーに就任した私が最初に手にしたものは「絵コンテ」でした。
今まで、雑誌や展示会などでしか見られなかった「絵コンテ」というものが私の手の中に!! それだけでまず緊張。しかし、そこで固くなってはいられない。私の仕事は、絵コンテをもらった時点から始まります。
まず絵コンテを見て、作中に出てくる場所・小物を確認します。例えば上の画像だと、この部屋に必要な写真素材は「ランプ」「椅子」「カーテン」「壁」......など。
絵コンテは大雑把にしか描いていないので、自分で推測して必要な写真素材を探してくるしかありません。上のカットの場合、コンテ内に調度品は描き込まれてないけど......何かいるかな? と、何点か探しておきます。その辺りは、全く誰も教えてくれません!
・キーワード別のアーカイブ!
写真素材を探すのは、主に吉祥寺トロンのアーカイブの仕事です。『ダンタリアンの書架』では、スタッフが事前にイギリスや福島のブリティッシュヒルズへ取材に行った時に撮影してきた写真を使っています。この写真素材探しという仕事は、今すぐイギリスへ行きたくなる衝動との闘いでもありました。写真をひたすら眺めるだけなんて!
写真は、後々探しやすいようにキーワードを付けて整理しています。
例えば今回の絵コンテでは「寝室」のシーンを作ることになっているので、上画像のように「ベッドルーム」や「ベッド」というキーワードで写真を検索します。また、「ランプ」「カーテン」といった物も、個別で「照明」「窓」「小物」などのキーワードで検索をしていきます。
素材を探す時はできる限り候補が多く見つかるよう、関連しそうなキーワードは手当たり次第に探すようにしています。また(絵コンテの段階では特に)私のイメージだけで素材を偏らせてしまわないよう、できるだけ色々な種類の素材を CG デザイナーへ渡すようにしています。ちなみに、写真にキーワードを付けて整理をしたのも私ですが、データが多すぎて頭に入りきっていません(本当は頭に入れておきたいんですが......)。
このように「バンカー」という専門の役職を設けることで、写真素材を探す時間をかなり省くことができます。できる限り、まだ作業時間に余裕のあるコンテ段階で、私が探せるだけのものは探しておきます。
それから監督を中心に制作部、美術部などのスタッフが集結。美術打ち合わせをして、レイアウトが上がってきます。打ち合わせで細かく詳しい監督の演出意図を聞いて、それを美術に反映するようにするのです。
(次ページへ続く)


