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検証! 慣性式モーションキャプチャ「MVN」<br />第2回:撮影から Autodesk MotionBuilder へのインポート

検証! 慣性式モーションキャプチャ「MVN」
第2回:撮影から Autodesk MotionBuilder へのインポート

オランダ Xsens社が開発するモーションキャプチャシステム「MVN」の実用性をレビューする本企画。第2回となる今回は、スタジオレスかつマーカレスという、MVNの優位性がいかんなく発揮できる屋外ロケにて、モーションキャプチャ(以下、MOCAP)の収録から、Autodesk MotionBuilder(以下 MotionBuilder )にデータをインポートするまでの流れをお伝えしよう。
MVN は、慣性センサにより動きをキャプチャするため、特別な施設や撮影までにいたる複雑なセッティングを必要としないことを特長としている。この簡易性については、前回(第1回) にて紹介しているので、未読の方はぜひ。

野外における MOCAP 撮影

MVNの特徴として、スタジオレスとマーカーレスが挙げられるが、今回の検証目的はまさにここである。スタジオを使わないことで、撮影空間の制約から解き放たれ、またマーカーが隠れがちなアクションシーンであってもモーションデータが収録できるはずである。そこで、今回のロケ地は広いグランドがある公園と螺旋階段を選定した。第1回目 でもお伝えしたが、MVN は機内持ち込みできるサイズのスーツケースに1式収まっている。そのため、このスーツケースとデータ取り込み用のソフト「MVN Studio」がインストールされたノートPC が1台あれば MOCAP 収録が可能となる。そのため、持ち込む機材はコンパクトで必要なスタッフ数も少人数であり、ロケ地である公園にも気軽に電車で移動することができた。

公園に到着しセットアップに入るが、この手順もシンプルなもので、下記3ステップのみ。

STEP 1:アクターがスーツを着用
※動きデータの送信機付きの特製スーツを着用

STEP 2:リファレンスの測定
※アクターの体型をリファレンスとしてデータ取り込み用ソフト「MVN Studio」に入力

STEP 3:無線の受信準備
※データの受信機を設置

着替えは5分程度で、測定などのセットアップを含めても、わずか10分ほどで終えてしまった。これは、前回キャプチャ場所とした会議室の時と同様であり、屋外ロケならでは注意点は天候ぐらいなものだ。

非常にコンパクトなMVN 簡単な着用

(左)MVN の機材搬入は、このスーツケースとノートPC1台のみ。公園までの移動も普通に電車で現場入りするため、撮影につきものとも言える、車両コストや事前セットアップの時間も削減ができる。(右)MVN 特製スーツを着用し、アクター側の撮影準備を行う。このスーツの着用には特に制約がないため、更衣室を用意する必要もない。スーツ内には、腕や手首付近など全17箇所に予めセンサが取り付けられているものの、センサから無線でデータを送信するため、このスーツの上にスウェットなどを着ても問題ない
 

MVNのキャリブレーションとセッティング

(左)データ取り込み用のソフト「MVN Studio」にアクターの体型を入力する。入力する項目は、身長/肩幅/腰までの高さ(地上から)/腰の幅/膝までの高さ/くるぶしまでの高さ/ソールまでの高さ/靴のサイズ/両手の長さ の全9項目となる。また、第1回目でもお伝えしたように、T ポーズ、N ポーズのキャリブレーションも行なった。(右)ノートPC にインストールされた「MVN Studio」でデータを受信するためのユニットの設置状況。野外の場合はできれば高い場所に受信機を設置すると通信可能距離も長くなるとのこと
 

広域にわたる運動のキャプチャ 

セットアップが終了しさっそく撮影を始めてみた。 撮影場所となった公園のグランドでダッシュしてみたが、受信機から約50m 程度の距離までは、まったく問題なくキャプチャできた。ちなみに、受信機からの距離であるためキャプチャ可能なエリアは、受信機を中心として約 150m × 150m だという。世界最大級と言われている MOCAP スタジオでも、キャプチャエリアは約21m × 18m(2011年1月現在)を考えると、目の前に世界最大級の MOCAP スタジオが構築できてしまうわけだ。ちなみに限界を知ろうと、無線状態でどこまでの距離でデータが受信できるかも試してみたが、公表通り直線距離で 150m までは受信が確できた。
 

 
スタジオでは実現できない、長い距離(約150mまで)でも MVN へモーションデータが適切に送信される
 
 

遮蔽物のある螺旋階段で撮影

次に、遮蔽物の中でのモーションキャプチャテストを行うために、コンクリートの壁で囲まれる螺旋階段上でのモーションを撮影することにした。ただし、こうした高低差をデータに反映させるためには、セットアップの際に階段のステップ高の計測も行なっておく必要がある。
もし、キャプチャスタジオで階段を登るシーンなど撮影する場合には、スタジオ内に階段を作る必要があるが、MVNにおいては実際に階段がある場所に行くだけ。もちろん、階段以外に例えばバスケットのシュートするシーンを撮影する際は、実際にバスケットゴールがある場所に行き、ゴールまでの高さを測りアクターにシュートして貰うだけで可能となる。こうした柔軟性は MVN ならではの優位性だ。
 

 
画面では見きれていないが、MVN の受信機は階段の踊り場に設置されており、この程度の遮蔽物であれば、キャプチャできることが判った。もし、さらに遮蔽物が多い場合でも、MVN Studio がインストールされたノートPC と受信機があれば問題なくキャプチャ可能である。ちなみに MVN はシステムの性質上、高さ補正のみ後で行う必要があることもあるが、これについては次回以降レビューしたい

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