映画『ワイルド7』
ロトスコープを駆使して作る高品質で大量の合成画像
今回の VFX アナトミーは、昨年 12 月 21 日(水)に全国公開された映画『ワイルド7』の VFX 制作について紹介する。70 年代に人気を博した望月三起也原作の劇画のリメイクである本作は『海猿』などを手掛ける羽住英一郎監督により派手なガンアクションとバイクスタントが際立つアクション映画に仕上がっている。本作で VFX を担当したのは CM や TV 番組、映画など幅広い分野の CG 制作を手掛ける株式会社ナイス・デーだ。今回は VFX スーパーバイザーの小田一生氏、VFX ディレクターの金元省吾氏、コンポジットディレクターの坪倉愛美氏、テクニカルディレクターの横山龍一朗氏に話を伺った。
スケジュールとしては 2010 年の 11 月頃に脚本が完成し、翌年 2011 年3月中旬から撮影開始、5月にはクランクアップ、その後9月まで VFX 作業が進められた。しかし本作はかなり派手なバイクスタントやガンアクション、爆破シーンが作品全体に渡って展開されるため、ほとんどのカットに何らかのデジタル処理が施されている。そのため VFX が絡むカットは 700 カット近くにも及び、時間的にも内容的にも厳しい状況の中での作業となった。今回ほとんどグリーンバックを使用せずロトスコープによってマスクを作成し合成されているが、これはフッテージと合成背景の色彩の馴染みの修正の手間が掛からず、かつクオリティ高く仕上げることができるからであり、これらの画像からはナイス・デーの技術力の高さが窺える。
膨大な量のロトスコープの作業は一部国内で作業が進められているが、多くのカットはタイにある関連会社 Nice Day Boy が手掛けている。「Nice Day Boy は現地でも VFX の仕事を多くこなしており非常にクオリティの高い素材を作ってくれます。ハリウッドでもすでにほとんどの合成はロトスコープで行われています。これからの合成の主流になるのでは」と小田氏は言う。
また制作期間の短さを考慮して外部の協力を仰ぎつつ撮影のクランクアップまでに半分の合成処理を終わらせている。そのため、普通であればカラーグレーディング後に VFX 工程に送られてくる画像を加工前の生の状態で入手し、早い段階からマスクの作成や合成作業を行なった。この方法では色が豊かな状態で合成作業を行うためその後コンポジット作業を行なっても色合わせの手間がほとんど掛からずに済み、結果的に仕上がりのクオリティを効率良くアップすることができたのだという。これらのロトスコープ素材の作成には特別なツールは使っておらず、トラッキングに一部 boujou を、その他は Adobe After Effects と mocha で作成している。
それでは代表的なカットを例にメイキングをご紹介しよう。
TEXT_大河原浩一(Bit Pranks)
PHOTO_大沼 洋平
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CGWORLD 2012 年2月号 vol.162







