>   >  KLab Creative Fes'15が開催六本木ヒルズに学生が制作した 3DCGの静止画・動画10作品が集結
KLab Creative Fes'15が開催<br/>六本木ヒルズに学生が制作した 3DCGの静止画・動画10作品が集結

KLab Creative Fes'15が開催
六本木ヒルズに学生が制作した 3DCGの静止画・動画10作品が集結

審査員パネルディスカッション
「これからのクリエイターに求められること」

審査員によるパネルディスカッションでは、国内外で精力的に活躍するデジタルアーティストたちだけに、さまざまな含蓄のある意見が飛び出した。
まず「学生にしてほしいこと」というトピックでは、山家氏から「毎日机に向かって作品を作り続けることは当然で、完成した作品をフォーラムなど投稿して、フィードバックをもらうことが大事」とコメントされた。早野氏も社員や学生に対して「10代の作品作りにかけるパワーや情熱は途方もないものがある。20代くらいで、その人の作品スタイルが決まってくる」として、早い段階からの自覚を説いているという。北田氏も「25歳から28歳くらいで技術的に伸びた。仕事をはじめて2ー3年目で毎日が楽しかった。20代でどれだけ技術的な知見を貯金できるかで、その先が決まる」と指摘。田島氏も「海外では仕事とプライベートの境界線がハッキリしている。学生のうちに時間を惜しんで勉強すれば、逆にプライベートがとりやすい会社に就職できるのではないか」という。

また小出氏の「最近はツールや環境がずいぶん良くなっているので、そのぶん感性を養うことが重要ではないか」問いかけに対して、田島氏は「ツールが進化して誰でもかっこいい絵が作れる時代になってきたので、そこから一歩上に上がれる力が必要だ」と回答。山家氏は「基礎力と新しいツールの使い方の両方を覚えることが大事で、自分もZBrushがまだ珍しかった頃に飛びついたことが、就職につながった」と回答した。北田氏は「技術や感性は個人の努力に依存するので、まずは手を動かすしかない。その上で国内は海外よりも技術が遅れているので、英語力も含めてグローバルな知見を収集することが大切」だと補足。早野氏は「パネリストはみな、自分の得意分野をうまく活かして成長してきた。自分の得意分野とCGが融合している部分をうまく見つけられると、効率的に成長できる」とコメントした。

KLab Creative Fes'15の開催背景とコンテストの意義とは?

CGアーティストを対象としたコンテストが減ってきた現状に対して、長く危機意識を持っていたというKLab小出氏。新たな才能の発掘という意味でも、CG・映像業界の活性化という意味でも、こうした取り組みが必要だと考え、会社全体の取り組みとして実施するに至ったという。モバイルオンラインゲーム大手というイメージが強い同社だが、「グラフィックには早い段階から力を入れており、今後さらに3DCGのニーズが高まるため、企業ブランドの確立の一つとしても有効だと思っています」と開催に至った背景を説明した。

小出氏は「エントリーが260件で、作品応募総数は130件と、CGを学ぶ学生の総数に比べれば少なかったことは否めません」と振り返った。これに対して北田氏は「デジタルアーティストとしてスキルアップするには、作品を批評してもらうことが不可欠なので、もっと積極的に前に出て行くべき」と賛同。田島氏も「CG・映像業界の関係者は優しい人が多いので、もっと気軽に声をかけてみたら良いんじゃないでしょうか。自分も高校生からアドバイスを求められることがあります」とあかした。小出氏は「CGを仕事にするためには、自分から行動できなければ難しいと思います」と語っていた。

今回第一回目の開催ながら応募作品の質としては非常に高いものだったようだ。早野氏は「学生でここまでできたら十分で、即戦力として採用したい学生も何名かいましたね」と語る。一方、今後のアドバイスとして北田氏は「全体的にストーリー性を意識しすぎて、間延びした作品も多かったですね。5~6分のものを3分くらいに削れば、各々のシーンでクオリティが上がったと思います」と指摘した。

こういったコンテストは技術力の向上や自分の才能を世に知らしめるための好機だ。特に個人クリエイターや地方在住者にとって、その恩恵は大きい。こうした「眠れる才能」を発掘するコンテストの意義は今後より一層大きなものになっていくと思われる。

TEXT_小野憲史
PHOTO_蟹 由香





KLab Creative Fes'15

予選応募期間 : 2015年1月27日(火)~2015年6月30日(火)
予選結果発表 :2015年7月8日(水)
本選 :2015年8月9日(日)
www.klab.com/jp/recruit/kc-fes/about.html
主催:KLab株式会社

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