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第4回:カラーマネジメントに適したモニタの秘密

第4回:カラーマネジメントに適したモニタの秘密

Adobe RGB対応、sRGB対応によるモニタのちがい

ここ数年、「Adobe RGB対応モニタ」という製品をよく見かけるようになりました。それに対して「sRGB対応モニタ」を謳っているモニタはかなり昔から存在します。これは、モニタメーカーがこれら2つの代表的なプロファイルに製品の色を合わせて開発しているという意味です。これだけ聞くと対応モニタの特性はきちんとプロファイルに合っているように思いますが、実際には正確に合っているわけではないので注意してください。一般的には値段の高いモニタの方が優れているようです(当たり前なアドバイスでスミマセン......)。第3回 で自分が採用するカラープロファイルを決めていただけたと思います。3DCG コンテンツの制作では、Adobe RGBsRGBRec. 709DCI、以上4規格のいずれかが採用されることになると思いますが、それぞれのカラープロファイルではどちらの対応モニタが良いのかをまとめました。

基準となるカラープロファイルと、最適なモニタ

基準となるカラープロファイルと、最適なモニタを表にまとめたもの。より色再現性の広いモニタ(Adobe RGB対応モニタ)の方が汎用性が高いのは言うまでもない。また、ハードウェアキャリブレーションモニタの多くはAdobe RGB対応モニタのため、sRGB対応モニタを利用する場合はソフトウェアキャリブレーションとなることに注意が必要だ
 

どの場合も色の再現領域が広い Adobe RGB 対応モニタが良さそうです。しかし DCI には注意が必要ですね。Red の部分が Adobe RGB よりも広く色域をカバーしていることが判ります。また、Green の座標が Adobe RGB に比べると大きくずれています。そのため、Adobe RGB 対応モニタではカバーしきれませんので、Adobe RGB カバー率(どれだけ表示領域をカバーしているかどうかの数値)だけでなく、 DCI のカバー率も確認してください。Adobe RGB と非常に近い場合は、DCI だと80%程度のカバー率となります。
上図にも入っている EIZO ColorEdge シリーズの多くは、赤の領域が広いため、DCI でも90%を超えるカバー率を持っています。これならかなり近い再現ができます。

実践、ハードウェア・キャリブレーション

では実際にハードウェア・キャリブレーションを実施したところを動画でご覧ください。モニタは、EIZO ColorEdgeシリーズ を、キャリブレーションソフトは、ColorNavigator(ColorEdge 専用のソフト)、そして測色器は、ColorMunki(※動画中では、ColorNavigator 中の表記に合わせて「測定器」としています)を使いました。途中測色部分は早回しで編集していますが、設定を含めて5分程度で終えることができます(一般的なソフトウェア・キャリブレーションに比べて半分以下の所要時間です)。ちょっと休憩している間に終わるので楽ですね。


実際に、ハードウェア・キャリブレーションを行う手順をキャプチャした動画。非常に手早く済ませることができる

この調整を定期的に行なっている限り、「今制作している色は確実に合っている」と実感できるので、安心して制作ができます。実作業に新たな工程が追加されるわけではありませんので、一度導入してしまえば「色が合っているか?」なんて考えも抱かなくなりますけどね。そうした意味でも、カラマネは空気のような存在 になっていきます(第1回 でも解説しましたね)。無いと死んでしまうけど、合っても意識はしない存在です。私もセミナーを実施する会場などで、調整されていないモニタを使うと不安で仕方なくなって、仕事に集中できなくなるんですが、そんな時はカラマネのありがたさを身にしみて実感します。

今回は、モニタの特性とキャリブレーションについて解説しましたが、モニタの選定・運用時のポイントは掴めましたか? 次回からは、いよいよ 3DCG ソフトの設定について解説していきます。どうぞご期待ください!

TEXT_長尾健作(パーチ)

▼Profile


長尾健作(ながおけんさく)

広告写真制作会社(株)アマナにて、3DCG 制作などの事業立ち上げを行なった後、(株)パーチ を設立。広告業界・製造メーカーに向けて、3DCG による新しい広告制作手法の導入/制作サポートを手がける。各種セミナーでは、制作業務の効率化・コスト削減を実現するためのノウハウを提供。「3DCGのためのカラーマネジメントセミナー」も実施している
 
 

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