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第5回:レイアウト

第5回:レイアウト

Layoutワークフロー

続けて、本作のレイアウト作業の流れを具体的にみていこう。

ハーロック

© LEIJI MATSUMOTO / CAPTAIN HARLOCK Film Partners

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STEP 1 Rough Layout
シーン34・CUT7~15のRough Layout。まずは、絵コンテ並びにVコンテをベースに、個々のショットのキャラクターの配置や、カメラアングルなどを3D空間で実際に再現していく(ラフレイアウトの中心となる作業だ)。この作業結果をみて、監督の指示に基づき場合によっては配置演出やセットデザインを再考したり、カット構成の変更が適宜行われる
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同じシーンのパースペクティブ。客観的な俯瞰のカメラを用いて、キャラクターの導線とセットデザインとの関係性を確認する。前述のカメラビュー動画と併せてモーションキャプチャの収録プランに役立てる
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(左)アルカディア号ブリッジ2階部分の演技スペースを採寸したもの。モーションキャプチャ収録に先立ち、ラフレイアウトで使用したセットモデルを、このようなかたちで正確に採寸する。キャプチャ時の大道具などの配置や演者のためのバミリテープの準備などは、この情報に基づいて行われたが、実際には収録状況に応じてセットのサイズを調整しなければならないケースもあるため、そうした場合にはキャプチャ時のセットの寸法を測定しておき、逆にプロダクションに戻すといったことも行われた/(右)ラフレイアウト工程ではシーケンス全体をまたがっての導線調整、タイミング調整が多く行わるため、なるべくそのシーケンスに含まれる多くのショットのカメラを、単一のシーンファイルで管理した方が都合が良い。そうしたニーズに応えるべく開発されたのが、インハウスのカメラ管理ツール「MARZA Camera List」だ(後述)。各ショットの順番、フレームレンジの管理、シーケンス一連でのプレイブラストの作成等の機能が行える
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(左)アルカディア号内部シーンのモーションキャプチャ収録時の様子。Faceware用のフェイシャルキャプチャのために、アクターの顔にはLED光が当てられている/(中)「Motion Data Editing」作業の例。3つに分けて収録したキャプチャーデータを1つにして、アルカディア号の内部の位置関係とキャラクターの動きをマッチングさせる/(右)レイアウターはMayaでの調整と同時に、Final Cut Proを使いキャプチャーデータとビデオ収録したアクターのリップを合わせた「フェイシャルガイドムービー」と呼ばれる動画(画像)の編集を併せて行う。これにより、フェイシャルのタイミングと音声のタイミングとキャラクターの動き等、全ての関係性が保証されるが、編集作業は目合わせになるため相当な労力が求められたそうだ
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STEP 2 Final Layout 1st Round
ラフレイアウトを基に、実際に収録されたキャプチャデータを使ってショットを組み上げていく。画像は、ラフレイアウトの項で取り上げたシーン34のCUT7、10、15より。カメラアングル、カット尺、アニメーションのタイミングなどはこの段階で概ね確定される。フェイシャルアニメーションと手指の動きは後のアニメーション工程で作業されるが、目線の方向についてはレイアウトアーティストがこの段階で作業する
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STEP 3 Final Layout 2nd Round
ファイナルレイアウト一巡目の作業を終えたら、カメラの手ブレや画ブレ、エフェクトのタイミングといったディテールを加えつつブラッシュアップを行う。画像はシーン169・CUT2~6の宇宙空間での艦隊戦のもの。「バーナーや爆発、レーザーなどのエフェクト要素についてもサイズやタイミングなどをなるべくレイアウト作業の段階で確定します。レーザーやマズルフラッシュに関してはエフェクトチームから提供された配置ツールを利用しました。このツールを用いることでレイアウトアーティストが作業した結果をエフェクトアーティストに効率よく受け渡すことができたと思います」(木瀬氏)
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目線の修正例。(左)元々のレイアウトアーティストが意図した構図/(中)アニメーションの途中段階で上がってきた構図。カメラから見た目線の向きが逆になっていることが判る/(右) 元々のレイアウトの意図が反映された完成カット
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エフェクトチームから提供された、「Layout Laser」ツール(左)と「Layout Muzzle」ツール(右)のUI。最初のバージョンでは、もっとリッチな表現が生成されていたがレイアウト作業にとっては負荷が大きすぎたため、画像のようなシンプルな表現で済ませるかたちに修正してもらったという。ガンエフェクトについては、射撃タイミングや回数に応じて自動的に薬莢が飛び出すツールも提供されたそうだ
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