VR×クリエイティブ同時処理!の超高負荷に耐えうる、こだわりの自作環境
-では早速ですが、まずは自己紹介をお願いします。
Reflex:フリーランスCGクリエイターのReflexと申します。Unityでのワールド制作やシェーダー制作、モデリング、VJ等が主な業務内容で、リアルタイムCG、特にVRコンテンツを主体としていて、たまに映像制作も行っています。基本的に、なにかしらUnityを用いる案件ばかりやっていますね。最近だと、VRChatのGHOSTCLUBのお手伝いをしていたり、VtuberのMori Calliope「Holy嫉妬」のMV、pixiv「NEOKET2」、SANRIO Virtual FES「ALT3」のプロジェクトに参加しています。
Mori Calliope「Holy嫉妬」 © UNIVERSAL MUSIC LLC.
pixiv「NEOKET2」
SANRIO Virtual FES Ⓒ’22 SANRIO APPR.NO.S633669
pixiv「NEOKET2」
SANRIO Virtual FES Ⓒ’22 SANRIO APPR.NO.S633669
-これまでのCG経歴をお伺いしたいのですが、最初からフリーランスで活動されてきたのでしょうか?
Reflex:さすがにいきなりフリーではなく、短期間ですがクリエイティブ系の企業勤務を経て独立しています。元々、小学生のころからLinuxを触っていて、中学生で自作PCをつくっていたような人間なんですが、高校生のころ、YouTubeに動画投稿しようと映像編集ソフトを触り始めたのがそもそもの創作活動のきっかけですね。そこからAfter Effects、Cinema 4Dにも触れるようになり、動画編集よりもモーショングラフィックスや3DCGの方に傾倒していった感じです。
-基本的に独学なのですね?
Reflex:ですね。幼少期から英語を習っていたこともあって、大学は特に映像系とかを意識せず普通にカナダに留学していました。その留学時に、友人に誘われるかたちでVRChatを始めて、どっぶりつかっていきまして。いまに至る経緯で言うと、作るところよりもVRChatにハマったところがスタートなのかなと思いますね。VRChatやってなかったらUnityは触ってないと思います。
-そこから、GHORSTCLUBに参加されるまでの経緯を教えてください。
Reflex:もともとGHORSTCLUB周辺の人たちとは知り合いで、たまに遊びに行く程度だったのですが、『電ド』というイベントの視覚体験に衝撃を受けまして。それが2020年の12月くらいかな。そこからのめり込んでいって、その半年後くらいからは制作にも参加するようになりました。いまでは、ワールドのプロップ制作(主な使用ツール:Cinema 4D/Blender/Substance 3D Painter等)や、VJや配信などの運営のお手伝い(主な使用ツール:Resolume Avenue/After Effects/Cinema 4D/Octane Render等)まで色々担当しています。
GHOSTCLUB
-VRを主な活躍の場とされているということで、かなり負荷の高い作業環境になるのではないですか?
Reflex:一般的に、ゲーマーの人もクリエイターの人も、それぞれにハイエンドPCを必要としていると思うんですが、自分の使い方だとそれが両方混じったPCの稼働状態になるんですね。VRChat上でVJをしたりするわけですが、それはつまりVRChatという、負荷的にはハイエンドビジュアルのゲームを動かしているような状態で、VJ用のクリエイティブソフト……Resolume AvenueやXXY Oscilloscopeなどのソフトも複数使うかたちになるわけです。さらには配信用にOBSを2つ同時に起動することもあります。ホントに高負荷でマルチタスクが実行され続けるんですね。CPUがAMD Ryzen 9 5950Xでもギリギリ、GPUは、RTX 3090が1枚では全然足りない、くらいの状態になります。
-想像以上のPC酷使状態ですね……。そういった超高負荷の環境に耐えうるために、どのようなマシンを構築されているのでしょう?
Reflex:少しでも性能を引き出すべく、すべてのパーツに妥協せず自作で組み上げています。GPUは高速であるのはマストだとしてVRAMの容量も多いものを選んでますし、ボトルネックを作らないために、CPUも可能な限りの性能追求を意識して、AMD Ryzen 9 5950Xが発売されたときには即購入しています。メモリは構成も気をつけていて、Ryzen対応として評価の高いDDR4-3600対応製品をあえて16GBモジュールを4枚刺しで64GBとしています。128GB積みたいところなんですが、そうすると32GBx4となってしまい、3600MHzのオーバークロックが不安定になってしまう事があるらしいので、あえて16GBモジュールにしています。電源ユニット(PSU)も大事です。以前850Wのものを使っていたのですが、急にシャットダウンすることがあり1200Wのものに変更しました。現状、800W近くの消費電力で毎日長時間運用していますが、不安定になることはなくなりましたね。発熱もすごくなるので、ケースにも気をつけます。メンテナンスその他運用のことを考えて、本格水冷にはしていません。やや特殊なタイプで非常に大きいケースを使っていますが、ハイエンドCPU&GPUコンビの発熱を下から上へのエアフローで、効率的に冷却してくれています。ストレージも、AMD Ryzen 9 5950Xで対応したPCIe Gen4対応のSSDにしました。それと、このメインPCのほかにも配信用としてサブPCも常に稼働させています。これは性能とコスパのバランス型で組んだPCですが、これにもAMD製CPUが載っていますね。AMD Ryzen 5 3600になります。
<メインマシンのスペック>
<メインマシンのスペック>
-なるほど……。自作知識に裏打ちされた、本当にこだわりのPC環境ですね。
いやぁ、とにかく自分はパソコン大好きで(笑)。パソコンないと生きていけない人なんで、楽しみながら本当にベストな環境を自分で考えていっていますね。
ゲームエンジンの速度向上にはCPU強化が必須!そこで選択されるAMDメニーコアCPU
-現在のAMD Ryzen 9 5950Xに載せ換える前は、Ryzen 9 3950Xを使われていたそうですが、CPU性能が強化されたことを感じられるのは、どんな時でしょうか?
Reflex:Unity等のゲームエンジンでは、GPU処理に入る前にCPU処理が入るため、GPUだけ強化してもCPUがボトルネックになることがあります。またVRChatも、FPSはCPU性能にかなり依存します。故にすべてにおいて性能が上がったことは感じられますね。3950X→5950Xではシングルスレッド性能の向上やPCIeGen4対応など、わかりやすい性能強化もあり、VRChat環境強化のためにもすぐ導入しようと決めていました。クリエイティブ業務関連でいえば、Unityの全体的なパフォーマンスはかなり向上しましたね。コンパイルやビルド、テクスチャの圧縮など諸々。特に1プロジェクト10GB、テクスチャ1000枚とかになると、AMD CPUに乗り換える前は読み込みだけで数時間掛かるなんてこともあり得たのですが、現環境ではそれが15分程度のレベルにまで速くなった。ここまでいくと劇的に違います。これらはCPUやSSD、メモリ含めた最適化によるものではありますが、CPU強化によるところは非常に大きいですね。
-メインPC、サブPCともにAMD CPU搭載のマシンとされているわけですが、その理由はなんでしょうか?
Reflex:自分のようなPCの使い方をする人間にとっては、コア数は速さに直結します。AMD CPUは、先駆けてメインストリーム向けに16コアを出したり、ずっとコア数を増やすアプローチで引っ張ってきてくれたわけで、使わない理由がないくらいです。また、Twitch配信用のサブPCはAMD Ryzen 5 3600で組んだわけですが、マザーボードも含めてサブ機ですしコストパフォーマンス高く構成することができ、助かりました。ハイエンドだけでなく、ミドルレンジでも性能を保ちながら安価に抑えることができることも大きなメリットだと思います。
<サブマシンのスペック>
<サブマシンのスペック>
-そのほか、業務以外で負荷の高いPCの使われ方をすることはありますか?
Reflex:写真をよく撮りますので、その現像処理でしょうか。Lightroomって、すごいCPU負荷の高いソフトなんですよ。稼働させるとCGソフトが立ち上がらなくなるくらいのヘビーさなんですが、5950Xのおかげで非常に高速になりました。それから、フライトシミュレーターですね。重い処理の趣味ばかりになっていますが(笑)、Microsoft Flight Simulator 2020もGPU性能はもちろん、そこに至る前にCPUが速くないとフレームレートが出ないんですよ。しかしながら、これも全く快適にプレイできています。
-まさにReflexさんは、PCの持てる能力を最大限まで引き出して稼働させている感がありますね。そんなReflexさんが推すAMD製品、総合的にどんな人におすすめと言えるでしょうか?
Reflex:AMD CPUというと、玄人受けという印象を持たれていた時期があったと思います。ですが、今は非常に安定していて拡張性もあり、どんな人にもおすすめできるようになったと思います。そして、何より今まででは考えられなかったような価格で16コアのCPUが手に入るわけで、特にパフォーマンス、コア数が必要なクリエイターには、AMD Ryzen 9 5950Xはまさにうってつけではないでしょうか。