AMD Ryzen Threadripperを33台導入!

高負荷な建築パース・バーチャル空間設計事業において

経営目線からみたAMD CPUの魅力とは?

byiceberg theory holdings

CGによる建築ビジュアライゼーションを祖業とし、VRコンテンツ開発やCGストック販売、クリエイター向けのPCソリューション事業まで、

建築パースを軸としつつ幅広く事業展開するのが、今回インタビューに答えてくれたiceberg theory holdings。彼らが活躍するまさにその

屋台骨を支えているのが、大量に導入されたAMD Ryzen Threadripperシリーズを代表とする、AMD CPU搭載のPCソリューションだ。

自ら活用する機材として、また企画開発して販売する製品として、積極的にAMDソリューションの導入を進めるその理由とは?

Interviewee Profile

写真右:
iceberg theory holdings
代表取締役 柴原 誉幸氏

建築ビジュアライゼーションを手がけるスペースラボ、そこから派生してVRやオンライン展示等のデジタル分野を手がけるnewtrace、自社制作により蓄積されたCG素材をストックし販売するTGV、さらにはクリエイター向けのハードウェア事業まで手掛けるCybaba、そしてその各分野それぞれに特化した法人を束ねるのがiceberg theory holdingsであり、柴原氏はその代表を務める。

写真左:
Cybaba
技術主任 島 剛史氏
技術主任として島氏が在籍するCybabaは、クリエイター向けにカスタマイズされたPCおよび周辺機器等の開発から販売、コンサルティング等までを手掛ける。制作業務時において壊れやすいパーツを特定して予めその部材を強化するなど、スペースラボ等の自社グループにおける厳しい作業負荷時の知見を活かし、クリエイター向けにハードウェア事業を展開している。

 

自社ブランドPCにもAMD CPUを積極展開「自分たちが使うからこそ、オススメできる」

-本日は宜しくお願いします。さて、今回お話をお聞きするiceberg theory holdings傘下の各社は、建築ビジュアライゼーションを手掛けるスペースラボを出自として、さまざまな分野に展開されている、とお聞きしております。

柴原 誉幸氏(以下、柴原):各社の代表を務めている柴原です。はい、流れとしましては、私がもともと建築を学んでいて建築設計やインテリアデザインを手掛けながら、CGや映像制作の会社でもディレクターとして経験を積んだのち、建築分野において3DCGや動画制作を積極展開するスペースラボを2009年に設立しました。おかげさまで業務が拡大しまして、ようやく各分野ごとに法人として分けて管理するというかたちに、去年から落ち着いてきた感じです。このなかで、うちが結構変わっていると思うのが、PCハードウェア事業をやっている、ということでしょうね。

-確かに、各社見てみるとクリエイティブ事業だけでなくCGストックやハードウェア事業まで手掛けられていて、かなりお忙しそうですね。

柴原:もともと自分がハードウェアをある程度知っていて好きだから、ということもあるんですが、ついつい自分も手を出してしまいがちで。新しい製品を試したり、構成を組んでみたり……(苦笑)。持ち株会社化は、代表がそれやってたらもう回らないぞ、ということでの自戒でもありますね。クリエイティブとしては、スペースラボとしては建築ビジュアライゼーションをメインに手がけていたのですが、VR関連の案件やバーチャル展示会などの空間設計の業務も増えてきたこともあり、今年新たにnewtraceとしてデジタル領域を切り分けた法人を起ち上げました。



建築ビジュアライゼーション事例

建築ビジュアライゼーション事例

独立行政法人 日本芸術文化振興会「バーチャル日本博

独立行政法人 日本芸術文化振興会「バーチャル日本博

ヤンマーホールディングス(株)「ヤンマー オンラインEXPO 2021」

バーチャル空間イメージ

ヤンマーホールディングス(株)「ヤンマー オンラインEXPO 2021」

バーチャル空間イメージ

-今回は、そうした柴原さんの“経営観点におけるハードウェア選定”についてものちにお聞きできればと思います。さて、そして今回お話をうかがうCybabaの島さんがそのハードウェア事業の技術主任を務められている、とのことで。

島 剛史氏(以下、島):はい、Cybabaが旧名:パソコン修理工場として、ハードウェア事業を始めたときから携わっています。クリエイター向けにカスタマイズした「画竜点睛」ブランドのPCを開発・販売するほか、VRや立体視モニタを含めた特殊機器との接続検証やサポート、デモンストレーションなど、クリエイティブに関して発生するさまざまなPC関連のコンサルティングを行なっています。

-そしてもちろん、自社のPCに関しても島さんが開発・導入をしているわけですね。

:そうです。グループ内においても、クリエイター用のPCのほか、レンダリング専用PC、3Dスキャンスタジオ用の編集用PC/カメラ制御用PC、といった特殊なPCも入れています。

-その中で、AMD CPUの採用率が非常に高いとも伺っています。どれくらいの規模感、比率になっているのでしょうか?

:まず現状、クリエイター向けPCについては6割がAMD Ryzen 7AMD Ryzen 9搭載PCになっていますね。リプレイスをかけるごとにAMD CPUに替えていっている感じですので、この比率はどんどん上がっています。そしてレンダーPCについては、9割がAMD Ryzen Threadripperシリーズです。また汎用や特殊PCとして、AMD Ryzen 3搭載マシンや組み込み用であるAMD Ryzen Embeddedシリーズを搭載したものまで、用途に合わせて使っています。



※台数についてはインタビュー時のもの(9/7.2022)

-まさにグループ全体でAMD Ryzenの導入が進んでいる、という感じなのですね。

:はい、ただそれだけではなくて、Cybabaで企画して販売するクリエイター向けのマシンにおいても、AMD CPUの採用率は高まっています。映像系CG会社向けに導入した例だと、After Effects向けコンポジット専用PCとしてAMD Ryzen Threadripper 3970Xを検証してもらったところ、既存のマシンで56時間かかった作業が6時間で完了したとのことで、その業務改善性からすぐ導入となりました。また変わったところだと、1Uラックマウントのレンダリングノードとして、AMD Ryzen 7 3700Xを10台以上導入した事例なんかもあります。これは、レンダリングパフォーマンスを上げつつ、1U筐体による設置場所の圧縮やコンシューマ向け部品を使ったコスト削減など、さまざまな業務効率の追求がなされた事例ですね。

-自社で使っているから良いとわかっていて、扱い方もよく理解している。だからこそ自信をもって自社ブランドのPCソリューションとして販売できる、と。

:まさにそのとおりです。クリエイター向けとして、また安定性が求められるレンダリング用として、作業負荷の大きい我々の制作業務で使ったうえで、その動作に不安がないからこそ、お客さんにも安心してAMD CPU搭載マシンをおススメできている。我々のPCブランド「画竜点睛」はクリエイター向けを謳っていますが、じゃあスペック上同じに見えるメーカー製PCとは何が違うの?っていうと、“スペックに現れないところをケチらない”ということなんですよ。壊れやすいパーツを察知して予め強化しておく、コネクタには必ずカバーをつける、等々。クリエイター環境は、とにかく突然壊れたら困る。ライセンスサーバーを通す高額アプリケーションのOS破損による再セットアップ、とか考えただけで面倒なのはわかるじゃないですか(笑)。

-それはわかりますね……。壊れた環境のライセンスがもし簡単に取り消せなかったら、とか考えるとぞっとしますし。

:ですよね。だからオンサイト保証まではいらないけど、安定して動く速いクリエイターPCがほしい、みたいな需要が確実にある。ワークステーションとゲーミングPCの中間ランクのPC、といった感じですね。そこに対して、我々は「画竜点睛」でAMD Ryzen搭載マシンを推しているんですね。



「画竜点睛」ブランドのPCソリューション

経営効率の観点から見てもAMD CPU採用には多大なメリットが

-それではもう少し細かく、スペースラボさん等の自社において、AMD CPUが使われているPC環境や、その選定基準について教えてください。

柴原:前提条件はまず、ソフトウェアが快適に動くかどうかですね。クリエイターPCでは基本ソフトとしてCinema 4D、Photoshop、V-Rayなんかが使用されるので、まず不満なくこれらが使えること。あとは、人それぞれの作業負荷に応じて、CPUがAMD Ryzen 7AMD Ryzen 9か、メモリの容量がどのくらい必要か、GPUのグレードが上がるか下がるか、といったところが変わります。

:あとは作業負荷、つまりはPCの電力消費ということに繋がりますが、ここのグレードが負荷の大小によって変わってきます。その辺を調整してコスト管理できるのも、自社グループでPC事業をやっているメリットではありますね。



AMD Ryzen搭載クリエイターPCの例

柴原:レンダーPCはAMD Ryzen Threadripper搭載マシンがほとんどで、レンダリングサーバーではなく個々のPCになっています。これらにリモートで入って、レンダリングを任せる使い方です。

:このレンダーPCについては、AMD Ryzen Threadripperの発売当初にまず1台入れてみて、これはいいぞとなったので、以後ずっと導入を続けています。いまや、構成比で9割を超えてしまいました(笑)。

-CybabaでのPCソリューション販売だけではなく、自社においてもここまでAMD CPUの導入を推進し続けるのはなぜでしょうか?

柴原:まず、私がPCが好きなのもあって、新しいのが出ると試してみたい、となりがちなのもまぁ……ありますね(笑)。島も、それに応えてくれますので。ただ、そのうえでより性能を重視しつつ、効率の面でもみていくのが、経営者として最も大事な視点ですね。速さ、電力の消費効率(光熱費)、そして導入費用。これらをトータルで見て、最もパフォーマンスがよいものを選ぶ。圧倒的な速さはもちろんのこと、その経営効率の観点でも、AMD CPUが最適だったということですね。

:現場目線で言えば、コア数が多いことと、高クロックで動くこと。この2つが必須なんですよ。巷では、ベンチマークとかの数値がよく比較されたりしますが、実際にCGをレンダリングしてどうなのかは、各アプリケーションはもちろん、オブジェクトやライティングのつくり方などによって挙動が違ったりするし、一概には言えないんです。そこでいろいろ試してみた結果、我々はAMD CPUを選んだよ、ということです。あとは、PCを長期間使っていく上で大事なこととして、CPUのプラットフォーム(チップセットのCPU対応形式)の継続性が、AMD CPUのほうが長いということも地味に大きいですね。2016年から今まで替わっていないので、CPUをアップデートしたい場合にマザーボードやCPUクーラーごと替えなくても、CPUだけ差し替えれば最新のものが使えます。1台、2台を管理しているだけなら気にしないかもしれませんが、数十台運用しているとなると、こうした互換性は大事で、積み重なればコスト差も馬鹿になりません。

-確かに、部材ひとつとっても、無駄は少ないに越したことはありませんね。

:実はわれわれのような使い方をするPCでは、一番壊れるのがまず電源で、次がCPUクーラーのファンかポンプなんですね。最近のCPUはクロック周波数が可変しますが、AMDは挙動が比較的緩やかというか、落ち着いている特性がある。つまり、冷却に必要な能力が極端に変わりにくい≒壊れにくい、ということも言えるんです。こうした細かなことまで含めて、コミコミでAMD環境を採用していっているわけです。

-ちなみに御社の業務の中で、一番負荷が高い作業はやはりレンダリングになるでしょうか?

柴原:ですね。その中でも、今は建築ビジュアライゼーション分野においても動画の依頼がものすごく増えてきていまして。建築パースはそもそも1枚のレンダリングでも重たいのですが、動画となると画像解像度が下がってもやはり処理時間は長くなりますね。またそれに加えて、360度見回せるパノラマ画像の要望も増えています。これは単純に全視野を網羅するぶん制作面が広がるので、静止画でも3倍4倍のレンダリング負荷になりますね。経営目線でいうと、これらの要望が増えてきてはいるけれども、じゃあ3倍4倍の負荷になるからといって予算が3倍4倍になるわけではないし、制作期間が長くなるわけでもないので。また制作者の目線から言っても、働き方改革の流れもあって長時間労働が許されるわけではありません。そのあたりを、ハードウェアの高速化によってなんとか助けてもらっているのだな、ということは言えると思います。

:その処理速度の進化の流れで言いますと、レンダーPCにAMD Ryzen Threadripperを導入する前後では、一例としてレンダリングに1枚2時間掛かっていた夜景の建築パースがあったのですが、これが39分で終わった、という実績があります。処理時間にして3割4割ですよね。同じ処理がここまで短縮されるのだとすれば、CPUフルロードで回しているその間の電気代も、同じく減ることになる。スピードアップによって、光熱費も人件費も圧縮できているんです。



AMD Ryzen Threadripper搭載レンダーPC

-業務効率、という面から見たAMD CPUの優秀さが際立つ意見をありがとうございました。最後に、今後のAMD製品への期待や要望などあれば教えてください。

柴原:やはり我々は、処理負荷の高い業務を行っている会社ですので、最も大事なのは高パフォーマンスであること。これをずっと突き詰めてもらいたいなと。ただ、やはり速さだけでなく、電力効率や省エネ性についても重視してもらえると嬉しいですね。これはCPUではなくGPUの話ですが、大学の研究室で使うGPUが多すぎるので200V電源をひかないといけなくなった……みたいな話も聞きました。そのあたり、やはりバランスは今後も保って行ってほしいですね。

:今でもAMD環境には十分に助けられているのですが、あえて電力効率の話から推し進めると、GPU統合型のCPUにおいても、もっとグラフィックス性能が上がって、負荷の低いCG業務ならそちらでこなせるようになると、電力効率面でも運用管理面でも、もっと優しい世界(笑)になっていくのではと思いますし、今後の進化に期待しています!

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