>   >  QUMARIONレビュー速報〜Autodesk 3ds Max & Maya用プラグインの無償同梱も決定!
QUMARIONレビュー速報〜Autodesk 3ds Max & Maya用プラグインの無償同梱も決定!

QUMARIONレビュー速報〜Autodesk 3ds Max & Maya用プラグインの無償同梱も決定!

モーションキャプチャツールにもなる?

QUMARION システムはタイムライン機能を有しているのでアニメーション作成も行えると先述した。そこで、モーションキャプチャシステムとして利用できないか試してみた。現時点ではリアルタイムレコーディングに対応していないので、コマを送りながら各キーフレームのポーズを記録(キャプチャ)していくことになる。

ここでいくつか問題が見えてきた。アニメーションを作成する上では、足の接地や重心移動といった次の画への繋がりなくして成立しないが、QUMARION は腰の回転は認識できるものの、地面への接地や移動距離、腰の上下運動を認識できない。つまり、常時キャラクターが空中の定点に浮いた状態なので、例えば歩行モーションを作る場合は腰の高さで固定された状態で手足を動かす必要がある。移動距離、腰の高さ、接地などを後処理しないといけないので、きちんと歩かせようとすると、これがなかなか大変なのだ。

QUMARION を複数人で操演してモーションキャプチャに挑戦

人形浄瑠璃のように複数人で操作してキャプチャするという荒業を、実際に仲間 4 人で試してみた。キー打ち、胴体、上半身、下半身に分かれて操作してみたのだが、ちょっとしたお祭り騒ぎである(苦笑)


実際に 4 人がかりで歩かせてみたアニメーションがこれ(敢えて手付けによるモーション修正を施していない)。いうまでもなく全員初めての体験なのでこんなものだろうか、修行が必要である

また、ポーズそのものは作り易いがキー入力をする際に手を離さなければならず、難しいポーズを維持しながらキーを押すのがなかなか大変なので、フットスイッチを用意するか 2 人以上で操作した方がよさそうだ。背中にボタンがあるので、ここにショートカットを割り振れるようになるともう少し楽かもしれない。

QUMARION 背面ヨリ

QUMARIONの背中には、ボタンが配置されている。現在は、CLIP STUDIO ACTION の[QUMARIONからの入力 ON/OFF]設定切り替えに用いるものだが、その他用途にも流用できそうなので期待したい(※製品版では、加速度センサーのON/OFF できるようになる予定)

QUMARION でキーポーズを作り、中割りを 3ds Max で行うというのが順当な使い方ではないだろうか。通常の使い方では現状はこんな感じだが、ひとつの使い方に捕らわれずに色んな使い方にトライすると思いもしなかった面白い使い方が見つかるかもしれない。


気を取り直して、「水泳部部長」モデルを用いてモーションキャプチャしてみたのがこちら。タブレットなど直感的なデバイスも慣れることで本来の性能を引き出せるので慣れは必要だ。なお、修正すると判断材料にならないので、こちらも敢えて後処理は施してしていない

今後への期待

今回は、実質 3 日間という非常に限られたレビュー期間であったが、コーヒーブレイクにちょっとフィギュアをいじるのに近い遊び感覚で気軽に 3D モデルを動かせた。マウスを握って画面と向き合うのとは確かに感覚が違い、常にデスク脇に QUMARION がある環境が構築できれば、クリエイティブワークにもまた色々と変化があるかもしれない。
タブレットデバイスが台頭し、感触のないスクリーンをタッチするタイプのコントローラーが増える中、こういった物理的なデバイスが登場したことの存在意義は大きい。研究室インハウスのツールは色々あるが、それを製品化してしまったのはひとつの事件だ。フィギュアを動かすことで画面内のキャラクターを動かすという方法自体が日本人的であり、なかなか面白いものが出てきたと思う。

新しいデバイスというものはこれまでの感覚の下で導入しようとすると面食らうこともある反面、既成概念に捕らわれない新たな制作ができる可能性も秘めている。もし、SDK が公開されれば、3DCG 制作に限らず、ゲームやインタラクティブコンテンツへの応用もできる。そうなれば今までになかったキャラクターコンテンツやアート作品が出てくるのではないだろうか。また、フィギュアの構造上改造もできそうなので、QUMARION 自体をカスタマイズする猛者も現れるにちがいない。そういったプラモデルやフィギュアの文化も取り入れて新たなムーブメントが起こることに期待したい。
開発元のセルシスはユーザーの声を次々に反映させて改良していく開発姿勢に定評あるベンダーだ。まだ産声を上げたばかりの QUMARION であるが、ユーザーの声と共にどのように発展していくのか今から楽しみである。

※今回のレビュー執筆時点では、プラグインはベータ版であり、実装されていない機能もある点をご了承いただきたい。また筆者のメインマシン(フィニッシング用)ではエラーが出て上手く動作しなかったため、チップセットの異なるラップトップに入れてみたところ正常に機能した。製品版では一連の不具合が解消されていることを期待したい

TEXT_高橋哲人(TETSUJIN Audio Visual)
2009年にもらい事故にあって以来、色んなことが変わりました。TETSUJIN も 2 人体制になり、アーティスト作品をはじめ、新たな仕事を拡大中です。今後も世の中をワクワクさせることをしかけていければと思っております。

QUMARION

CELSYS|QUMARION

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Autodesk Maya/3ds Max 用 QUMARION プラグイン(Windows版)を無償同梱
価格:67,800円(初回出荷限定価格、送料別)
対応OS:Windows/Mac OS X
※より詳細な情報は、QUMARION 公式サイト を参照のこと

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