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3DCGコンテンツの制作を手がけるプロダクションにインタビューを実施し、オートデスク製品の導入理由やその魅力を聞く本企画。第3回となる「デザインビズ業界編」では、日南クリエイティブベースにインタビューを行い制作現場の声を聞いた。時代の変化が著しい昨今、建築・製造業界における最前線で3DCGはどのように使われているのだろうか。

TEXT&EDIT_三村ゆにこ / Uniko Mimura(@UNIKO_LITTLE



CASE:日南クリエイティブベース

3DCGはコミュニケーションツールでもある

プロダクトデザイン、自動車、ロボティクス、プロトタイピング、GUI・インタラクション、UIデザイン、ワークフロー開発。多岐にわたってものづくりを手がけ、グループ会社を含め国内に約10拠点を構える創業52年目の日南。同社のグループにおいて、デザインからデータ作成、クレイモデルの作成、ハードモデル設計、電気設計を含める機構設計、そしてプロトタイピングにいたるまで、デザイン&クリエイティブを一手に手がけるのが、日南クリエイティブベースだ。「我々は当社のことを『開発総合支援企業』と紹介していたりするのですが、クライアントや企業と連携して、量産までワンパイプで開発できるサービスを構築しています」。そう話すのは、日南の取締役CDOで、日南クリエイティブベースではデザインデビジョン/エンジニアリングデビジョン統括責任者を務める猿渡義市氏だ。

同社が最も多く手がける自動車デザインにおいては、スケッチから3Dデータを作成してクレイモデルを作り、ハードモデルへと落とし込んでいくまでの工程を一気通貫して携わっている。「すでに完成している量産車をベースに、そこから拡張させたティザーモデルのデザインや、さらにそこからプロトタイプ開発を行なうといったこともしています」(猿渡氏)。その他、ヘッドホンやBluetoothスピーカーといったプロダクト製品のデザインや、解析やアルゴリズム用いた「ジェネラティブデザイン」と呼ばれる手法を使い、既存のデザインを一新させるといったことまで、猿渡氏が手がけるものづくりは多岐に渡る。

  • 猿渡義市氏
    日南 取締役CDO、
    日南クリエイティブベース デザインデビジョン/エンジニアリングデビジョン統括責任者

▲猿渡氏がデザインを手がた、WOTAの水循環型手洗いスタンド「WOSH」。JIDAデザインミュージアムセレクションで金賞を受賞した

▲水が自由に使えないエリアで暮らす人々は世界に30億人いると言われている。新型コロナウイルスの感染予防を含め、手を洗う習慣がない子供たちにいかに手洗いを習慣づけるか。「公衆衛生のレベルを引き上げる」がWOSHのミッションでもある

建築業界や製造業界では、ここ数年で「ビジュアライゼーション」と呼ばれる表現手法の導入が急速に広がりはじめている。「ビジュアライゼーション」とは、従来のCADや製図、手描きのデザイン画だけでは伝えきれなかった「直感に訴えかける感覚的な表現」を3DCGを使って実現しようとする試みだ。デザインや設計を進めているプロダクトがどういった環境・シチュエーションで使われ、どういった機能があるのか。色味やテクスチャ、ライティングや背景など、顧客のニーズと要望に合わせ、より具体的でリアルなイメージを共有できるのがビジュアライゼーションの最大のメリットだ。また同社では、ビジュアライゼーションの一環としてVRを活用した開発を積極的に行い、仮想空間でのバーチャル体験を通して仮説を立てながらデザインしていくこともあるそうだ。まさに「UX(ユーザー・エクスペリエンス)デザイン」であり、体験そのものをデザインしているというわけだ。このように、我々を取り巻く世界の至るところで「より臨場感のあるリアルな体験」が求められており、これら3Dによる表現が人々に与える説得力とインパクトは大きい。説明や理屈ではなく、身をもって体験することに人々は感動を覚える。そして「さらなる感動」を無意識に求めていく。

「これまではデザイナーがPhotoshopでデザイン画を描いていましたが、早い段階から3Dを使ってデザインを起こすことでダイレクトに顧客の意見を聞くことができますし、そのデータを設計部門に渡せばプレス用のシミュレーションを制作することだってできます。アイデアの3D化が早ければ早いほどイニシアチブをとってデザインを進めることができ、デザイナーは有利にコミュニケーションを進めることができるんです。だから3Dデータはコミュニケーションツールとも言えるんですよ」と猿渡氏は話す。2Dで描かれた絵を用いて説明していた時代はとにかく回数を重ねて共通認識を合わせ、一進一退を繰り返しつつデザインを進めるしかなかった。ところが3Dデータを用いてビジュアライゼーションするこで、より具体的なコミュニケーションが可能になった。「プレスの担当者であればプレス視点で、レイアウトであれば実際にモデルを置いて一緒に検証することができます。コミュニケーションツールとして3Dデータが活用できるというは、非常に大きなメリットとなっています」(猿渡氏)。

▲ヤンマーブランドのフラッグシップモデル「X47 EXPRESS CRUISER」のバーチャルカタログは、スマホやタブレットをつかったカスタム住宅を提供するジブンハウスとのコラボレーションプロジェクト。ジブンハウスの持つ住宅・内装のビジュアライズのノウハウと、日南の持つデータマネージメント、船のエクステリア表現を融合させ、VRコンテンツを制作した。モデリングはAliasと3ds Max、レンダリングはV-Rayを使用。サイトの上部メニューの「VR」をクリックするとみることができる。www.yanmar.com/jp/about/x47/

また猿渡氏は、「自由にカスタマイズできることも3DCGでデザインするメリットだ」とも話している。猿渡氏が使用するソフトはAlias、Maya、3ds Max、Fusion 360、VREDとオートデスク製品を中心にラインナップされているとのことだが、「クライアントによって制作するものが異なるため、使用するソフトもその都度変わります。クライアントと連携して制作する場合などは、先方が使用しているソフトを使ってデータのやり取りを行うことが多々あるのですが、そんな場合も柔軟に各ソフトへのカスタマイズができる構造になっているので、オートデスクのソフトは使い勝手が良いんですよね」(猿渡氏)。

ちなみに、オートデスクはUnityとも提携しており、モバイル、PC、VRなど25以上ものプラットフォームに対応したリアルタイムによるビジュアライゼーションを可能にしているのだが、これがもたらす未来はどのようなものなのか。イマジネーションを働かせて少し想像してみたい。3Dで制作したショールームに入って室内を自由にツアーし、設置されている照明をリアルタイムでON/OFFさせるといったシュミレーションはすでに可能である。では、そんなバーチャルルームに設置されている家具や照明、さらには石鹸やタオルといった雑貨にいたるまで、気に入ったものをその場でクリックすれば購入できるとすればどうだろう。現実世界のショッピングと変わりない「購買行動の導線」がバーチャルの世界でも可能となる。猿渡氏によると、実際にそういった実装が進めらているとのことだ。「デジタルツインと言われていますが、今後、人々はバーチャルとリアルの両方の世界で暮らすようになるだろうと考えています。バーチャルの世界で所有しているものを現実世界でも所有したくなるでしょうし、オリジナルアイテムにするためにカスタマイズしたり。そういった新たなサービスがこれからどんどん生まれてくるはずです。そして、それらのアイデアを実現するにはデータが必要です。我々が日々制作している3D&デジタルの知財(IP)は、大きな資産であり強みになっていくのではないでしょうか」(猿渡氏)。

▲Fusion 360をはじめ、多くのオートデスク製品をそろえ、クライアントのニーズによって使い分ける

また猿渡氏は、「手厚いサポート」はオートデスク製品を使う理由としてとても大きいとも話している。「とにかく日本語のコミュニティがしっかりとしているんですよね。ちょっとした質問でも、FusionであればFusionの、MayaであればMayaのプロフェッショナルが日本語で対応してくれますし、必要があれば日本語と英語のどちらでも対応してくれます。また自動車業界であろうと製造業界であろうと、各業界に精通したキーマンとなるスタッフが日本にいて、誰に相談すれば問題が解決するかが明確です。他のソフトメーカーではなかなかないことですよね」(猿渡氏)。

どれだけ技術開発が進みバーチャルの世界で過ごす時間が増えたとしても、それらを扱うのは人間だ。そして人間が存在するところにはコミュニティが生まれる。これらバーチャルとリアルの世界がより快適に発展していくよう、これからもオートデスクが支えていく。





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