>   >  自社IPを世界へ!スタジオ不要で導入可能なモーションキャプチャシステム「Xsens MVN」が実現したイノベーティブな3DCG制作フロー
自社IPを世界へ!スタジオ不要で導入可能なモーションキャプチャシステム「Xsens MVN」が実現したイノベーティブな3DCG制作フロー

自社IPを世界へ!スタジオ不要で導入可能なモーションキャプチャシステム「Xsens MVN」が実現したイノベーティブな3DCG制作フロー

モンブラン・ピクチャーズ社内でのMVN活用法

取材中、実際にモーションキャプチャ収録を行なっている様子を見せていただいた。MVNは大型の設備を必要としないため、場所を問わず活用が可能。実際の撮影に際しては、MVN AnimateからMotionBuilderへダイレクトにモーションデータを取り込み、リアルタイムでキャラクターモーションのプレビューを行なっている。プレイバックも自在で、3DCGキャラクターの動きを確認した上で撮り直しなどもその場で可能となるため、完全に実写の撮影と同じ感覚で撮影ができている。

同社会議室でMVNを活用している様子。スーツを着用するだけのイージーセットアップで、アクターが同一人物であれば事前にセーブしておいたキャリブレーション結果をロードすることで即時にキャプチャに取りかかることが可能。なお、モニタリングはMotionBuilder上で行なっている。

小道具にマーカーを装着することで、模擬刀やバットなど3Dアセットのモーションにも対応する。素早い動きに対してもトラッキングエラーはなく、振り回すための物理的な空間さえあればその通りのモーションデータが完成する。

モンブラン・ピクチャーズでは主にアニメーター主導でモーションキャプチャを行なっているが、「パッと思いついたときにすぐアイデアをアウトプットできる手段」として全社員に使い方を覚えてもらう方針だという。企画自体も自社で行うような会社では、アイデア出しの時点で簡単に技術検証を行えることの恩恵は大きく、フットワークの軽さが大きなメリットとなる。

もちろんデメリットがまったくないわけではなく、安定稼働させるためにはWi-Fi環境を含めた環境構築が必要となる。同社の会議室など、普段から使い慣れたロケーションであれば問題はないが、外部スタジオに持ち出す場合はシステムの安定性が建物全体の混線具合などのロケーションに依存する点に注意したい。このため、初めて利用する場所では運用上問題がないかの事前チェックは必須と言える。

「ロケーション自体はMVNの問題というよりは運用上の問題なので、リアルタイムの現場では注意をする必要はあります。ただ、2017年のアップデートで磁場耐性が付いたことは、当社への導入の決め手にもなっています。MVNの良いところは、アップデートのスピードが早いこと。今できなくて困っていることが、数ヶ月後にはできるようになっているというようなことが多く、その点は凄いなと思っています」(竹野氏)。

ときには身体の動き以上に重要なのが手の演技だ。「映画を制作しているときに特に強く感じるのですが、アクターの方は手の演技だけで感情を伝えることができます。顔や身体が映っていなくても、手が映っていれば状況や心情がわかる。それだけ手の表現は重要なんです」と語るのは、Manus VRの導入を決めた代表取締役の竹清 仁氏だ。





  • 竹清 仁 氏(代表取締役/監督)

    劇場版「放課後ミッドナイターズ」の制作をきっかけに、2011年12月にモンブラン・ピクチャーズ株式会社を設立。同作で映画監督デビューをし、海外でも広く評価された。現在、竹清氏はクライアントワークのプランニングやディレクションだけでなく、絵本「チャドとクラーク」シリーズを手がけるなど活躍の場を広げ、自社IPの創出にも力を入れている。

フル・フィンガー・トラッキングシステムであるManus VRは、MVNと同期が行えるアップデートを受け、現在はフルボディとハンドの同時キャプチャも可能だ。同社では、手付けだと時間がかかってしまうアニメーションのガイドとして活用されている。Manus VRは手の動きを完全に捉えているわけではなく、あくまで指がどの程度曲がったかの回転軸を取得しているためアニメーターの手による修正は不可欠だが、それでもあるとなしでは作業効率と出来上がりの自然さに大きな差が出るという。

「Xsens MVN」および「Manus VR」を装着し、その場でキャプチャを行なっている様子。指の動きを含めたアニメーションデータが、ほぼ遅延なくMVN ソフトウェア 2019.0上で確認できる。

「Manus VR」は指の関節の回転軸のみの検知となるが、こうした複雑な指の動きも概ねキャプチャできており、MotionBuilder上でガイドとして活用されている。腕をクロスするような大きな動きも問題なく検知可能。

最新技術を使って新しいエンターテインメントを生み出したい

これまで同社が生んできたキャラクターやライブ、インタラクティブコンテンツなどと、先端的なセンシング技術が合わされば、これまでにない新しいエンタメが創り出せるはずと竹清氏は力説する。「サーカスをエンターテインメントとして昇華したシルク・ドゥ・ソレイユのように、われわれも技術・アイデア・表現をどう組み合わせるかによって、まったく新しいコンテンツが生み出せるはずです。そのための技術は今も検証中ですが、早く使ってみたいとウズウズしています」(竹清氏)。

なお、現在は高精度なフェイシャルキャプチャ・ソリューション「Dynamixyz Performer」も検証中とのこと。コンパクトかつ高精度なMVNやManus VRといったモーションキャプチャシステムを活用することで、イノベーティブなコンテンツが数多く生み出されることに期待したい。

■お問い合わせ先

ゼロシーセブン株式会社
システムソリューション事業本部 センシングプロダクツ営業部
〒107-0052
東京都港区赤坂5-4-7 The Hexagon 7F
TEL:03-3560-7747 / FAX : 03-3560-7748
E-MAIL:info@0c7.co.jp
http://zeroc7.jp/

■求人情報

モンブラン・ピクチャーズでは、最高のエンターテインメントを一緒に創ってくれるスタッフを募集しています。人を楽しませることに喜びを感じる方、イマジネーションあふれるコンテンツを創ることが何よりも楽しいという方をお待ちしております!

▼募集職種
【新卒採用】
1)CGジェネラリスト
2)ディレクター 
3)テクニカルディレクター/エンジニア/プログラマー
【中途採用】
1)CGジェネラリスト/アニメーター
2)ディレクター 
3)テクニカルディレクター
4)プログラマー

▼求人情報の詳細

https://mtblanc.jp/news/1387/

Profileプロフィール

モンブラン・ピクチャーズ/MontBlanc Pictures Co.,Ltd

モンブラン・ピクチャーズ/MontBlanc Pictures Co.,Ltd

https://mtblanc.jp/

モンブラン・ピクチャーズは、映像の企画・制作を手がけるスタジオです。監督、プロデューサー、プランナー、アニメーター、編集マン、プログラマーなど、コンパクトなスタジオながらも個性的で有能なスタッフが在籍し、企画に合わせて最適な表現方法とチームを組むことができます。例えば、料理人は食を豊かに、建築士は住を豊かにするように、私たちの仕事は「想像力」で世界と人生を彩ることです。私たちは「 STRIKE YOUR IMAGINATION 」を合言葉に、優れたアイデアと技術で想像力を刺激する、とびきり面白いエンターテインメントをつくり続けるスタジオでありたいと思っています。
◉求人情報の詳細
https://mtblanc.jp/news/1387/

スペシャルインタビュー