>   >  QuadRoot〜少数精鋭で次世代のポスプロワークを実践〜Autodesk Smoke For Mac OS X 導入事例
QuadRoot〜少数精鋭で次世代のポスプロワークを実践〜<br />Autodesk Smoke For Mac OS X 導入事例

QuadRoot〜少数精鋭で次世代のポスプロワークを実践〜
Autodesk Smoke For Mac OS X 導入事例

Mac 版ならではのアドバンテージ

Smoke For Mac 最大の強みはコストパフォーマンスではなく、"Mac 版であること" かもしれないと、小森氏は語る。「QuadRoot では、バージョン 2010 を導入した頃から、FCP と同じマシンにインストールして使っています。この使い方はサポート対象外だったのですが、問題なく使用できました(笑)。Smoke For Mac は、FCP の編集データや ProRes 422 でキャプチャした素材をシームレスに読み込める(ストレージも同様)ので、オフラインからオンラインへの受け渡しがすごくスムーズになりましたね」。

従来のポストプロダクションでは、オフライン編集の作業内容は、EDL を介して編集イン/アウト点のタイムコード情報だけしか、オンライン編集に引き継ぐことができなかった。そのため、エフェクトやリサイズ等の情報は口頭やオフライン映像(見た目合わせ)など、間接的なアナログの伝達に頼るほかなく、自ずと非効率な作業に陥っていた。そこで新たに登場したのが、XMLAAFOMF 等の編集点以外の情報も内包できるファイルフォーマットによる受け渡しである。特に、XML は互換性の高さから幅広く利用されており、Smoke For Mac では、XML(AAF も対応)を介して FCP や Avid で作業したオフライン編集のタイムライン情報を直接読み込むことが可能だ。

また、2007年にアップルが発表した、ProRes 422 コーデック のデータを( QuickTime として)ネイティブサポートしていることも Smoke For Mac の大きな武器となっている。「ProRes 422 は、高い圧縮率を誇りながらも見た目の画質劣化が驚くほど少ないコーデックとして有名ですが、Smoke For Mac は直接読み込めるので、バッチデジタイズやデータ変換に時間を要することがなくなりました。コスト節減にもなりますし、エディターとしては今まで以上にクリエイティブワークに専念できるのが嬉しいですね」。

ProRes 422 データの読み込み例

ProRes 422 データを読み込んだ例。右下に、「ProResHQ」(ProRes 422 HQ)と表示されていることが確認できる
 

QuadRoot では、こうした利点を活かし、データ変換やデジタル現像のサービスも提供している。「うちには、HDCAM-SR デッキもあるので、DPX データを HDCAM-SR テープに収録するといったことも行なってます。トリッキーな利用法かもしれませんけど、FCP は DPX の読み込みにネイティブサポートされていないので Smoke For Mac ならではの利点なんですよ」。小森氏がそう語るように、撮影から編集までのワークフローがファイルベースへ移行する過渡期において、様々なファイル形式をネイティブサポートしていることのメリットは計り知れない。スモール・ユニットで活動する上でも、"扱い慣れたツール上で作業を完結できること" の恩恵は大きいはずだ。 ネイティブサポートするファイル形式

Smoke For Mac がネイティブサポートするファイル形式を表示させてみた。主流の形式には全て対応している
 

DIYで編集システムを構築!

ここまで、Smoke For Mac を導入したことによるメリットについて紹介してきた。ここからは導入するにあたっての注意点をみていきたい。

「これからのポスプロは、フルサービスを提供する大きな会社と、QuadRoot のようにニーズや条件に応じて作業フローや機材を柔軟に使い分けることで映像制作のトータル・コーディネートを目指す会社に分かれていくのではないでしょうか。原盤を作る上では高価な機材や専門知識が欠かせませんが、そうした工程は大手にお任せして、僕たちはスモール・ユニットで活動することで、フットワークの良さを武器にしていければと思っています」。QuadRoot では、自前の編集室を "作り込みの場" と位置付け、試写や仕上げの作業は外部の Flame 編集室などで行うことが多いという。もちろん QuadRoot で完結させることもあるため、そこで導き出されたのが、Smoke For Mac と HDCAM-SR デッキを組み合わせた、ファイルベースとテープベースのワークフロー双方に対応可能な編集システムを構築することであった。

下図は、QuadRoot のシステム全体図である。驚くべきは、システムインテグレーション業者に頼らず、機材の選定から設営までの全作業を小森氏が中心となり、自分たちで行なったことだ。「機材は、ほとんどが中古。BNC や Ethernet は、アキバでケーブルと端子をまとめ買いして、井鍋(涉氏、QuadRoot 創立メンバー)と2人で自作しました(笑)。編集室を起ち上げるのは初めてのことでしたが、IMAGICA 在籍時時代から機材のメンテをできるだけ自分で担当してきた経験がすごく役立ちましたね」。ハコ貸しにも対応しており、まさに非圧縮の映像編集とフィニッシングが可能な環境を構築したことの証左である。

QuadRoot システム全体図

QuadRoot システム全体図(※2011年7月28日時点)。波形モニタはデジタルのもの(Blackmagic UltraScope)を選択する一方、マスモニは「Web 向け動画は依然として SD が主流」という判断から、SD 映像をドットバイドットでプレビューできるブラウン管の製品を選択するといった細かな配慮が窺える。ご厚意により、機材の型番から配線まで細かく情報開示してくれたので、ぜひ参考にしてもらいたい
 

機材を選定する上でネックになったのは、HDCAM-SR デッキとストレージだったという。「HDCAM-SR については、とにかく価格ですね(苦笑)。ですが、これがないとポスプロとしては不完全だと思ったので、IMAGICA 時代からお付き合いのある代理店さん経由で何とかリースに漕ぎ着けました。ストレージについては、Smoke 2010 For Mac OS X の推奨スペックとして開示されている情報が転送レートだけだったので、完全にゼロからのスタートでした。最終的に、Sonnet Technologies の Fusion DX800RAID に決めたのですが、問題なく使えてます」。その他にも編集室として成立させるためには、仮ナレーションの収録など音声周りの整備も求められた。「音については完全に専門外なので、知り合いのミキサーさんに相談にのってもらいました。そうした意味では、システム構築は自前ですけど、前職時代に知り合えた方のサポートなしには完成しなかったと思うので、IMAGICA には育ててもらったことを感謝しています」。

QuadRoot機材一式

PC 本体やストレージ、VTR 等の機材は隣室に設置されている(左上:全体写真、右上:PCとストレージ、下:VTR)。「この規模で、HDCAM-SR と Digital BetaCam デッキを備えた編集室はまずないと自負しています。ぜひ、ご利用ください!」

次なる目標は、CG 制作との連携

ファイルベースの映像制作時代が到来することを見越し、いち早く実践している QuadRoot 。最近では1日中 VTR の電源を落としたままの日もあるそうだ。「おかげさまで、ここまで大きなトラブルもなく活動できたので、引き続きこの路線を拡大できればと思っています。Smoke For Mac については、サブスクリプションに入っているのでバージョン 2012 を早く試したいですね。その際はグラフィックスボードも、Quadro 4000 for Mac に切り替えられたらと思っています。導入当初は Quadro FX 4800 一択しかなかったので、Fermi 世代のボードによって流行りの GPU レンダリングの恩恵がどれだけ得られるのか興味があります。先立つものは必要ですが(笑)、思い立ったら直ぐに試せるのもスモール・ユニットならではの利点ではないでしょうか」。

最後に、今後の展望を語ってもらった。「やってみたいことは色々ありますよ(笑)。特に興味があるのは、CG 制作との連携です。Smoke For Mac はフィニッシングも可能ですが、既存のポスプロよりも、僕たちのような少人数かつマルチタスクで活動する新しいタイプのポスプロや、オフライン・エディターあるいは CG 制作の方々など、オンライン編集とのやり取りが多い人たちにより多くの導入メリットがある製品だと思っています」。オフライン編集とオンライン編集との連携と同様に、3DCG 制作についても、従来型のタテ割りではなく、同時並行でシームレスにやり取りが行えるはずだと、力強く締め括った小森氏。QuadRoot のさらなる展開に期待したい。

[Action]上での3DCGデータの編集

Smoke For Mac では、3DCG データの編集は[Action] 上で行う。3D ベースのコンポジットに対応しているので、Mac 版があるMaya をはじめ、主立った CG ソフトとは Autodesk FBX テクノロジー を介してシームレスな連携が可能だ
 

TEXT_沼倉有人(CGWORLD)
PHOTO_大沼洋平

QuadRoot内観

QuadRoot(クアッドルート)

2010年5月に誕生した次世代型ポストプロダクション。「Quad」とは、クライアント、エージェンシー、プロダクション、ポスプロの4つを指す。それぞれの相乗効果を引き出す「根っこ(=Root)」を担う映像制作のエキスパート集団として、精力的に活動中だ。
【代表作】:<CM> アサヒビール(株)「アサヒオフ2011 第1弾」/(株)デアゴスティーニ・ジャパン「週刊もっとデジイチLIFE」/ジョンソン(株)「トイレスタンプクリーナー」/(株)ワールドビクトリーロード『戦極/SRC SPOT』、<テレビ番組> 日本テレビ系『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!大晦日年越しSP 絶対に笑ってはいけないスパイ24時』

QuadRoot 公式サイト


QuadRoot創立メンバー

創立メンバー

左から順に、井鍋 涉氏(オンライン・エディター)、近藤寿一氏(代表取締役、オンライン・エディター)、吉田悦子氏(オフライン・エディター)、小森謙司氏(オンライン・エディター)以上、QuadRoot


Profileプロフィール

Autodesk Smoke 2012 for Mac OS X

Autodesk Smoke 2012 for Mac OS X

価格:2,619,750円(コマーシャル新規)
対応OS:Mac OS X 10.6.6 以上(32/64bit)
CPU:Intel 製のデュアルコア以上(8コア以上を推奨)
RAM:4GB 以上(12GB 以上を推奨)
※必要スペックの詳細は こちら(英語)

問い合わせ先:オートデスク インフォメーション センター
TEL:0570-064-787(月〜金:9:30〜17:30 ※祝祭日、年末年始休業、その他非営業日を除く)
※オートデスク認定販売パートナー検索は こちら

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