背景デザイン&撮影プラン
全編をフル 3DCG で制作することで、キャラクターだけでなく背景にもリアリティを持たせる必要があった。さらに舞台をデザインする以前にビジュアルイメージを明確にする必要があったため、HIBIKI 氏によってステージのコンセプトとデザインが描き起こされた本作。また、キャラクターや背景だけにリアリティを求めるのではなく、それらを捉えるカメラの配置やカメラワークにもリアリティを持たせることに注力したという。
「まずは、実際にライブを撮影するとしたら、どの地点にカメラの配置するかを考えました。よりライブ映像に近付けるために、今回は敢えてカメラワークを限定させたり、ショットに応じて望遠レンズと広角レンズを使い分けたりしています。さらに手振れやフォーカスの遅れなども取り入れることで躍動感が溢れるダイナミックな映像を意識して作成しました。」(八木下氏)。


企画当初のブレスト時にHIBIKI氏によって描かれた『ランカ篇』ステージのラフスケッチ。フォールドクオーツや浮いたハートのモニタ、稼動ステージのギミックなど多くのアイデアが描かれている


同じく企画段階に描かれた『ランカ篇』ステージのイメージボード、ステージのデザインだけでなくライティングの設計も同時に行われている。「ステージの大きさやスポットライトの配置などにも説得力を持たせるようにしました」(HIBIKI氏)


同様に『シェリル篇』ステージのメカ機構に関するスケッチ(作:HIBIKI)


HIBIKI氏が描いた『シェリル篇』ステージのイメージボード。
ステージプラン
本プロジェクトでは、リアリティを持たせる上でカメラワークが要となった。そこで、まずは実際のライブ映像などを参考にカメラの配置を決めていったという。

『ランカ篇』の撮影ポイント案。はステージを中心にハンディカムやクレーンを配置し、カメラの位置に応じてレンズを使い分けている

同じく『シェリル篇』の撮影ポイント案。空撮やビルの屋上にカメラを配置することでゲリラライブ感を増幅させている
Google Map を参考にリアリティを追求
ビルの配置にもリアリティを持たせるべく、Google Map で得た渋谷のスクランブル交差点の俯瞰図を参考に大きさや配置の調整が行われた。


渋谷駅前スクランブルの Google Map 航空写真(左)と、それを下絵に描かれた『シェリル篇』の背景レイアウト案(右)

Maya による背景モデリング。レイアウト案を基に背景担当の DEC/鮫川氏によって細部まで作り込まれていった
現実のカメラクレーンの動きを再現
3DCG上で現実世界のカメラワークを再現する上では、米 Pacific Motion Control 社 が提供している同社製カメラクレーンなどの特機スペックのデータを Maya 上に読み込み、コントローラーをセットアップしたという。

『シェリル篇』CGクレーンカメラのセットアップ。カメラ特機ベンダー米Pacific Motion Control 社の機材スペックを基にしている

カメラのセッティング例。この様に実際のコンサート会場で使用されている特機の仕様を採り入れ敢えてカメラの稼動域に制限を持たせることにより、無理のない自然なカメラワークが、まるで本物のライブ映像を観ているような説得力を持たせることが可能になった
TEXT_村上 浩(夢幻PICTURES)
PHOTO_弘田 充
『FEVER マクロスF』
本映像は、『FEVER マクロスF』(フィーバーマクロスフロンティア)公式サイトの「スペシャル」ページにあるゲーム「アイ君を探せ!」をクリアすれば視聴できる。ぜひ挑戦してもらいたい。
公式サイト
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