Entertainment Creation Suite 導入したことによるワークフローの変化や制作におけるメリット
ライセンスの管理やコストパフォーマンスなどのメリットに目がいきがちな Entertainment Creation Suite だが、導入によってワークフローにも良い変化をもたらしているという。同社で背景を担当している宮坂紀子氏は「Softimage の GATOR やポリゴンリダクションが以前よりも使いやすくなったと感じています。また、使用している 2010 バージョンではダイナミクスに関して Softimage の方が速いので、ベースは Maya で作成し、旗のような揺れモノなどは Softimage で作り込むというようなワークフローを組んでいます」と、データの移行が楽になったことで細かなディテールアップの作業にも良い影響が出ていると話す。
また、モーション制作などを担当する白石勝也氏もユニット間のデータのやり取りが FBX でスムーズに行えることで以前よりもストレスなく作業できるようになったと話す。「モデルチームが Softimage でモデリングしたものをアニメーションチームが Maya で読み込んでモーション作成するというフローを組んでいるので、データのやり取りが楽になったことは大きなメリットだと感じています」。モデルチームと頻繁にデータのやり取りが発生するアニメーションチームだからこそ、データ移行のストレスが軽減されることは非常に大きなメリットといえるだろう。
Maya上で作成した攻撃モーション(画像左)と、ジャンプ攻撃モーション(画像右)。それぞれ制作中の仮モデル
Maya で作成した、超必殺技エフェクト
使用してみたい Entertainment Creation Suite ツールと今後への期待
Maya や Softimage だけでなく、MotionBuilder や Mudbox など様々なツールが1パッケージで手に入る Entertainment Creation Suite。しかし、案件によっては使用するツールが限られてしまうため、全てを実践で使用する機会は少ないかもしれない。だが、三住氏は今後の案件内容によって使ってみたいツールは多々あると話す。「MotionBuilder のフェイシャル向け音声認識機能や、エフェクト制作では nParticle や ICE などを使ってみたいと考えています」(三住氏)。特に nParticle や ICE を効率的に使用することで現在使用している RealFlow が不要になるという考えもあるとのことだ。
また、白石氏も Human IK は 2012 からスプラインの制御法が改善されたため、その使い勝手に興味があると話し「nHair をそのままゲームの最終環境に持っていけるものであれば持ち込みたい」と、今後の実践投入に向け試したいことは多々あると Entertainment Creation Suite の魅力を話す。ただし、MayaとSoftimage間で効率的にスクリプトやツールを共有出来る方法や、背景作成でのライトマップや影の焼き付けのパフォーマンス向上など、今後のバージョンアップで改善されることを期待するポイントもあると付け加えた。
リアルタイムの 3DCG 制作現場では家庭用ゲーム機に加えスマートフォン市場も急速に拡大している現在、エイティングではオリジナルタイトル挑戦も視野に入れているという。プロジェクトやクライアントの要件に基づいて多数あるツールセットの中から最適な環境を自由に選択できる Entertainment Creation Suite。コストパフォーマンスやライセンスの管理も含め、効率的に案件制作を進めることができる Entertainment Creation Suite は、導入するプロダクションにとって多くのメリットを提供してくれるパッケージと言えるだろう。
TEXT_宮田悠輔
PHOTO_弘田 充
仮面ライダー 超クライマックスヒーローズ
発売・開発:(株)バンダイナムコゲームス
発売日:発売中
対応ハード:Wii/PSP
ジャンル:ヒーローアクション
公式サイトはこちら
©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映
©石森プロ・東映
©2012 NBGI
Autodesk
Entertainment Creation Suite Ultimate 2013
● 32bit 版
OS:Windows 7 Professional、Windows XP Professional(SP3 以降)
CPU:Intel Pentium4 プロセッサまたは AMD Athlon プロセッサ(あるいはそれ以上)
HDD:17GB のハードディスク空き容量
メモリ:2GB
● 64bit 版
OS:Windows 7 Professional 、Windows XP Professional x64 Edition(SP2 以降)
CPU:Intel Pentium4 プロセッサまたは AMD Athlon プロセッサ(あるいはそれ以上)
HDD:17GB のハードディスク空き容量
メモリ:4GB
価格:1,228,500 円(スタンドアロン)、1,538,250 円(ネットワーク)
URL:http://www.autodesk.co.jp/