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Maya3ds Max の他に MotionBuilderMudboxSoftimage などのソフトウェアが1パッケージで揃えることが可能となった Autodesk Entertainment Creation Suite。このパッケージを実際の制作現場に導入した場合、現場にはどのようなメリットがあるのだろうか。そこで今回は Entertainment Creation Suite を実際に導入している株式会社エイティングのスタッフに使い心地も含め、Entertainment Creation Suite 導入のメリットを伺った。

Entertainment Creation Suite

5つのユニットに分けて制作業務を行う

株式会社バンダイナムコゲームス 『仮面ライダー 超クライマックスヒーローズ』の開発をはじめ、対戦格闘などアクション性の高いゲームの開発を数多く手がけている株式会社エイティング(以下エイティング)。現在同社で手がけている作品の大半がコンシューマーゲームであり、制作体制もそれら案件に合わせ5つのユニットにパートを分ける形で制作パイプラインを構築しているとセクションリーダーの徳嵩正治氏は語る。「キャラクターモデル、背景、アニメーション、エフェクト、2D と5つのユニットごとに分け制作業務を行なっています。手がけている作品の大半はリアルタイムパートになりますが、イベントムービーもつくっています」。また、最近ではモバイル向けの 3D パートの制作も増えてきているという。現在、同社には 70 名以上のデジタル・アーティストが所属しており主要 DCC ツールには Maya をメインに、案件によって Softimage を使用し制作を行なっているとのことだ。
そんな同社が Entertainment Creation Suite 導入にいたった経緯は 2010 年、Autodesk から Entertainment Creation Suite について最初のアナウンスがあったころに遡るという。

ゲーム画像

『仮面ライダー 超クライマックスヒーローズ』対応ハードWii / PSP、ジャンル:ヒーローアクション

©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映
©石森プロ・東映
©2012 NBGI

Entertainment Creation Suite 導入の経緯

2010 年の春、徳嵩正治氏が当時の上司に Autodesk から発表されたばかりの Entertainment Creation Suite について相談を受けたのが導入を検討するきっかけとなったそうだ。
「当時の上司から、『これどう思う』と Entertainment Creation Suite について話を振られたとき、最初に「一桁安い!」と、そのパッケージ化の豪華さとそれに対してのコストパフォーマンスの良さに魅力を感じました」。
そして徳嵩氏はすぐに Maya の Entertainment Creation Suite Premiumをベースに社内環境を切り替えていこうと決めたという。さらにライセンス管理のしやすさも Entertainment Creation Suite 導入にいたった要因のひとつだったと徳嵩氏は付け加える。「それまでは Maya と Softimage で数十ライセンスずつ個別に管理し案件ごとに必要に応じてライセンスを配分していました。ですが Entertainment Creation Suite なら1ライセンスを渡しておけば案件ごとに切り分けて使えるのでライセンスの管理がしやすい点も魅力です」。

背景モデル画像

背景モデル最終調整段階のショッピングモール

ほかにも Maya と Softimage で キーボードショートカットが共通で、なおかつユーザに対するアプローチが比較的統一されている点やドングル管理が USB などの物理的なものからネットワークベースになったことで、切り替えのストレスが軽減された点も決め手として挙げられた。また、エフェクトユニットのリーダーを務める三住匡広氏は「リーダーという立場上、一時的に他の環境を使った案件のチェックや検証が発生する場合もありますが、Entertainment Creation Suite なら切り替えが簡単ですし、Maya と Softimage の使い分けに加えて、ユニットやデザイナーに応じて自由に選択できるのも魅力だと思います」と、Entertainment Creation Suite 導入のメリットを話す。現在、エイティングでは長期案件で使用するソフトウェアを1つしか使わない場合に備えて、残している単体ライセンスを渡すこともあるそうだが、今後は Entertainment Creation Suite に統合していく予定とのことだ。なお、同社では Entertainment Creation Suite のサブスクリプションに加入し 2010 バージョンで統一しているという。

背景モデル画像

背景モデル最終調整段階の廃工場

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Entertainment Creation Suite 導入したことによるワークフローの変化や制作におけるメリット

ライセンスの管理やコストパフォーマンスなどのメリットに目がいきがちな Entertainment Creation Suite だが、導入によってワークフローにも良い変化をもたらしているという。同社で背景を担当している宮坂紀子氏は「Softimage の GATOR やポリゴンリダクションが以前よりも使いやすくなったと感じています。また、使用している 2010 バージョンではダイナミクスに関して Softimage の方が速いので、ベースは Maya で作成し、旗のような揺れモノなどは Softimage で作り込むというようなワークフローを組んでいます」と、データの移行が楽になったことで細かなディテールアップの作業にも良い影響が出ていると話す。
また、モーション制作などを担当する白石勝也氏もユニット間のデータのやり取りが FBX でスムーズに行えることで以前よりもストレスなく作業できるようになったと話す。「モデルチームが Softimage でモデリングしたものをアニメーションチームが Maya で読み込んでモーション作成するというフローを組んでいるので、データのやり取りが楽になったことは大きなメリットだと感じています」。モデルチームと頻繁にデータのやり取りが発生するアニメーションチームだからこそ、データ移行のストレスが軽減されることは非常に大きなメリットといえるだろう。

モーション画像 モーション画像

Maya上で作成した攻撃モーション(画像左)と、ジャンプ攻撃モーション(画像右)。それぞれ制作中の仮モデル

背景モデル画像

Maya で作成した、超必殺技エフェクト

使用してみたい Entertainment Creation Suite ツールと今後への期待

Maya や Softimage だけでなく、MotionBuilder や Mudbox など様々なツールが1パッケージで手に入る Entertainment Creation Suite。しかし、案件によっては使用するツールが限られてしまうため、全てを実践で使用する機会は少ないかもしれない。だが、三住氏は今後の案件内容によって使ってみたいツールは多々あると話す。「MotionBuilder のフェイシャル向け音声認識機能や、エフェクト制作では nParticle や ICE などを使ってみたいと考えています」(三住氏)。特に nParticle や ICE を効率的に使用することで現在使用している RealFlow が不要になるという考えもあるとのことだ。
また、白石氏も Human IK は 2012 からスプラインの制御法が改善されたため、その使い勝手に興味があると話し「nHair をそのままゲームの最終環境に持っていけるものであれば持ち込みたい」と、今後の実践投入に向け試したいことは多々あると Entertainment Creation Suite の魅力を話す。ただし、MayaとSoftimage間で効率的にスクリプトやツールを共有出来る方法や、背景作成でのライトマップや影の焼き付けのパフォーマンス向上など、今後のバージョンアップで改善されることを期待するポイントもあると付け加えた。

リアルタイムの 3DCG 制作現場では家庭用ゲーム機に加えスマートフォン市場も急速に拡大している現在、エイティングではオリジナルタイトル挑戦も視野に入れているという。プロジェクトやクライアントの要件に基づいて多数あるツールセットの中から最適な環境を自由に選択できる Entertainment Creation Suite。コストパフォーマンスやライセンスの管理も含め、効率的に案件制作を進めることができる Entertainment Creation Suite は、導入するプロダクションにとって多くのメリットを提供してくれるパッケージと言えるだろう。

TEXT_宮田悠輔
PHOTO_弘田 充

パッケージ画像

仮面ライダー 超クライマックスヒーローズ

発売・開発:(株)バンダイナムコゲームス
発売日:発売中
対応ハード:Wii/PSP
ジャンル:ヒーローアクション
公式サイトはこちら
©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映
©石森プロ・東映
©2012 NBGI

Autodesk Entertainment Creation Suite Ultimate 2013

Autodesk
Entertainment Creation Suite Ultimate 2013

● 32bit 版
OS:Windows 7 Professional、Windows XP Professional(SP3 以降)
CPU:Intel Pentium4 プロセッサまたは AMD Athlon プロセッサ(あるいはそれ以上)
HDD:17GB のハードディスク空き容量
メモリ:2GB

● 64bit 版
OS:Windows 7 Professional 、Windows XP Professional x64 Edition(SP2 以降)
CPU:Intel Pentium4 プロセッサまたは AMD Athlon プロセッサ(あるいはそれ以上)
HDD:17GB のハードディスク空き容量
メモリ:4GB

価格:1,228,500 円(スタンドアロン)、1,538,250 円(ネットワーク)

URL:http://www.autodesk.co.jp/