>   >  ゲーム業界を志す学生がその成果を披露~「Creator Conference for Student 2018」レポート~
ゲーム業界を志す学生がその成果を披露~「Creator Conference for Student 2018」レポート~

ゲーム業界を志す学生がその成果を披露~「Creator Conference for Student 2018」レポート~

優秀賞・ボーンデジタル賞『クッキング・クッキー』
名古屋工学院専門学校 クッキー食べ隊(6名)


調理場で焼いたクッキーを食べさせて、周囲から襲い来るクッ菌(エネミー)を人間に戻していく「お料理タワーディフェンス」ゲーム。素材の組み合わせで3種類のクッキーを焼くことができ、対応するクッ菌に食べさせることで襲来を防ぐことができる。制作ツールはUnityで、最大4人まで協力プレイ可能だ。作品プレゼンDAYでの紹介はなかったが、ゲームとしてのおもしろさが評価され、優秀賞を獲得。ボーンデジタルの北村氏からも「コンセプトにそったキャラクターデザインがしっかりと行われている」として、企業賞が贈られた。


名古屋工学院専門学校 クッキー食べ隊(代表者)

プレゼンテーション賞『KAEDE』
名古屋工学院専門学校 TeamK(4名)


戦国時代の城を舞台に、女忍者のカエデを操作して、かつて城の住人だったゾンビや異形の者たちを対峙していくハイスピード・アクションゲーム。UnrealEngine4をベースに「アクションゲームをつくりたい」→「主人公がくノ一だと楽しい」→「巨大な敵を倒すと、もっと楽しい」というコンセプトで制作された。近接戦闘だけでなく、当初は手裏剣による遠距離戦闘も加える予定だったが、モーション担当の学生が開発中に卒業したためオミット。エネミーのCGデータも無料アセットをベースにするなど、要所で省力化が図られている。終始楽しそうにプレゼンが行われていた点が印象的だった。


名古屋工学院専門学校 TeamK(代表者)

オーディエンス賞『クライムフォール』
大田情報商科専門学校 WhiteFrame


7人の異なる能力をもつキャラクターから1名を選び、他のキャラクターを特殊スキルなどで妨害しながら、塔の中を最上階めざして上っていくアクションゲーム。「プレイ中に思わず声を出してしまう、わいわいと楽しめるマルチプレイゲーム」をコンセプトに、5名のチームで開発された。オーディエンス賞は参加した学生の投票によって顕彰される賞で、制作チームは「みんな楽しんで遊んでくれて、つくったかいがあった」とコメント。ゲームエンジンを使わずにDirectXとVisualStudioで開発した技術力や、各々のキャラクターが個性的で、対戦ゲームとしてのバランスも練られている点なども評価された。


大田情報商科専門学校 WhiteFrame(代表者)

ツェナネットワークス賞『明晰夢』
国際電子ビジネス専門学校 OTN(オトン)

暗闇の中を探索して鍵を探し出し、ゴールから脱出するホラーゲーム。Unityベースで開発されており、制作チーム自ら「ホラーゲームが好きで、みんなに驚いてもらいたくてつくった」と動機を解説。多くのホラーゲームが「暗闇をライトで照らしながら探索するゲーム」になっているとして、周囲をボンヤリと照らすだけに留め、恐怖感を演出したと説明された。他に仮面を被るとエネミーの姿が浮かび上がる、3Dサウンドでエネミーが近づくと音が大きくなる、などの要素も盛り込んでいる。意欲性や雰囲気づくりが評価されて、企業賞の受賞となった。


国際電子ビジネス専門学校 OTN(代表者)

スマイルブーム賞『BlitzChicken』
新潟コンピュータ専門学校 齋藤未来

「小さな存在が巨大な敵に立ち向かう」ことをコンセプトに、鶏たちが住む庭に攻めてきたドラゴンを撃退していくアクションゲーム。鶏を操作して群れを引き連れ、他の鶏を蹴り飛ばしてドラゴンに当て、攻撃していく。Unityによる個人制作ゲームで、スマイルブーム小林氏は顕彰にあたり「内容は不謹慎だが単純におもしろかった。より深みが出るように熟考してほしい」とコメント。制作者の齋藤君は「バカゲーをつくったつもりだったが、受賞してしまって、どうしたのかなと......。でも、評価されてうれしかった」と喜びを見せていた。


新潟コンピュータ専門学校 齋藤未来君

スマイルブーム賞『らくがけ!おうち-de-まじかるぺんしる』
静岡電子カレッジ チーム電太郎(4名)

ネコの縫いぐるみを操作し、色鉛筆で落書きをしながら障害物をクリアし、ステージを進んでいくパズルアクション。「まだ謎解きをあまりやったことがない子どもに対して、ゲームのおもしろさを伝える」ことをコンセプトに、落書きの楽しさをゲームに盛り込むことが目標とされた。開発はUnityベースで、4人のチームでつくられている。スマイルブーム小林氏は「全体的にほのぼのとしていて、キャラクターもかわいらしい。荒さは見られるが、内容を詰めていけばプレイヤーに好印象を与えるゲームになる」と評価。企業賞の受賞となった。


静岡電子情報カレッジ チーム電太郎(代表者)

熱中日和賞『SuckOnWorld』
早稲田文理専門学校 村上和樹氏

UFOを操作してステージ上に配置されている建物や木などを吸い込み、吐き出して戦う対戦型アクションシューティング。時間内にターゲットをできるだけ壊してハイスコアをねらうソロモードと、画面分割で最大4人まで対戦できるマルチモードがある。熱中日和の花井氏は「一見すると馬鹿ゲーのように見えるが、バランスがしっかりとれている点を評価した」とコメント。その上で、本作がUnityベースの個人制作である点から「チームで制作すると、よりリッチなグラフィックのゲームがつくれるので、挑戦してみて欲しい」とエールを送っていた。


早稲田文理専門学校 村上和樹氏

クリプトン・フューチャー・メディア賞『COMBOT』
国際理工情報デザイン専門学校 出羽大輝氏

自機を操作して敵ロボットを撃退する、見下ろし方のアリーナシューティング。メカ好きな男性にAIとのバトルを通して、ロボット同士の真剣勝負を楽しんでもらうことをコンセプトとしている。武器が7種類あり、威力と連射速度が異なったり、マニュアルシフトのようなスピードゲージを採用し、うまく慣性移動を活用するとオーバーヒートを避けながら高速移動が続けられたりと、マニアックな要素がいくつも取り入れられている。個人作品で、DXライブラリとVisualStudioで開発されている点もポイント。クリプトン熊谷氏から、荒削りでありながらも、技術力と世界観が評価され、受賞となった。


国際理工情報デザイン専門学校 出羽大輝君

最後にJEDAI代表理事の佐野氏は「今回受賞した作品には、それなりの理由がある。就職活動では、そうした作品をつくった学生と同じ土俵で競うことになる。惜しくも受賞できなかったチームは、ぜひ今回の結果をもち帰って、糧にして欲しい」とエールを送った。また、イベント終了後に「ゲームエンジン上で実装されるゲームが多い中、最優秀賞に輝いた『CHAIN OF GROUND』はVisual Studio 2015とOpenGLで開発されていた。ここ数年増加したVRゲームも今年は落ち着き、ゲーム本来のおもしろさを追求した作品が多かった」と総括。一般社団法人に衣替えしたこともあり、より一層クリエイター教育に力を入れていきたいと抱負を語っていた。


佐野浩章氏(JEDAI代表理事 ツェナネットワークス)

なお、GCS2018の全参加作品は公式サイトに掲示されている。


受賞者一覧

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