>   >  劇場アニメーション長編『009 RE:CYBORG』 神山健治監督&サンジゲン中核スタッフインタビュー
劇場アニメーション長編『009 RE:CYBORG』 神山健治監督&サンジゲン中核スタッフインタビュー

劇場アニメーション長編『009 RE:CYBORG』 神山健治監督&サンジゲン中核スタッフインタビュー

セルルックの 3DCG 制作

『009RE』PV 制作では、初めての試みが実は少ない......という本作の 3DCG。セルシェーダはもちろん、その他にも 3DCG ならではのヌルヌルとした動きをなくすため、通常、1 秒 24 コマのところ、平均8~12コマに落とした(2コマ、3コマ落ち)リミテッドアニメーションを多用するなど、これまでサンジゲンが培ってきた技術が、本作でもフル活用されている。
「ツールとしては、キャラクターアニメーションは Autodes 3ds Max の Character Studio を使ってるので、Biped の手足の伸縮に対応できるリグをオリジナルで開発しています。PV にある、005(ジェロニモ・ジュニア)の服が破れるカットで使っていますね。PV では地味な使い方でしたが、本編では多用するカットも出てくると思います」(鈴木氏)。
この後さらに、アニメーターによるレタッチ作業が行われ、最終的にセル調のルックが作られていく。
「例えば PV の中でレタッチしたのは、003のゴーグルが持ち上がる場面。女性キャラの表情が綺麗に見えるよう、このカット用にアニメーターが表情をレタッチしています。他にも、005の頭のサイズを変えたり、筋肉を強調したり......アニメーターがカットに合わせ、モデルを調整していくのが、僕らの持ち味ですね(鈴木氏)。


『009 RE:CYBORG』PV アニメーション制作工程

STEP 1:絵コンテの確認
絵コンテの絵を参考にしながら、レイアウトの参考にする

STEP 2:レイアウト
絵コンテを参考に、3ds Max 上でオブジェクトを配置

009メイキング

STEP 3:アニマティクス
芝居を付けてレイアウトを確認。必要に応じて、レイアウトを修正する

 

STEP 4:カラーアニマティクス前半
カットの作り込みの第一段階。アニマティクスをレンダリングし、光源、影、アニメーションのタイミングをチェック。エフェクトもこの工程で作成する

 

STEP 5:カラーアニマティクス後半
3D作業の最終段階。変形作業(レタッチ)、表情付け、芝居・エフェクト・質感・背景美術などの最終確認

009メイキング

 

STEP 6:3D コンポジット
素材データの仮組み、立体視の確認、発光などエフフェクトや 3D で処理したい各種効果付け。それに加えて、モデルのめり込みやライン等の不具合修正を行う

STEP 7:2D コンポジット
最後にAfter Effectsによる本番撮影を行い完成


完成カット。作画の魅力を兼ね備えた日本のクリエイターならではのフルCGアニメーションへと仕上げられた

『009 RE:CYBORG』に込められた想いとは?

さて、ここまで神山監督、松浦氏、鈴木氏にお話を聞いて、3人に共通して感じたことがある。それは『009 RE:CYBORG』という作品を通して、"挑戦"しているのだということ。舞台を一新し、設定を新しくしたストーリーはもちろんだが、その映像においても、旧いモノをぶち壊し、新しい表現を追求していこうという、彼らの姿勢が窺えた。
というのも、現代のアニメ視聴者や作り手の中には、"作画こそアニメ"という作画至上主義のような考えが、少なからずあるように思う。そんな中で、比較的早い時期から 3DCG という"新しい絵筆"を積極的に使ってきた神山監督、そしてサンジゲンがタッグを組み、新しい扉をこじ開けてやろう......という意気込みを感じるのだ。
現在、公式サイトなどで発表されている本作のキャッチコピーは「終わらせなければ、始まらない」。
公開までまだ少し時間があるが、このコピーの通り、あらゆる意味で"新しいアニメーション"が、私達の前に登場するのを、期待して待ちたい。

TEXT_山田桃子
PHOTO_弘田 充

『009 RE:CYBORG』(ゼロゼロナイン リ・サイボーグ

『009 RE:CYBORG』(ゼロゼロナイン リ・サイボーグ)

西暦2012年 秋 全国公開予定
原作:石の森章太郎
脚本・監督:神山健治
キャラクターデザイン:麻生我等
アニメーションディレクター:鈴木大介(サンジゲン)
制作プロデューサー:松浦裕暁(サンジゲン)
プロデューサー:石井朋彦
共同制作:Production I.G / サンジゲン
配給:Production I.G / ティ・ジョイ

© 2012『009 RE:CYBORG』製作委員会
http://009.ph9.jp/

【JOB】バナーWinterバージョン

スタッフ募集中!

サンジゲンでは現在、3DCGアニメーターをはじめ各種スタッフを募集中です。詳しくは求人コーナー【JOB】をご覧ください!
 
株式会社サンジゲン求人情報

Profileプロフィール

Kenji Kamiyama

Kenji Kamiyama

神山健治(かみやま けんじ)
1966年(昭和41年)3月20日生まれ。埼玉県出身。
代表作『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』シリーズ、『精霊の守り人』、『東のエデン』他

『009 RE:CYBORG』(ゼロゼロナイン リ・サイボーグ)

『009 RE:CYBORG』(ゼロゼロナイン リ・サイボーグ)

西暦2012年 秋 全国公開予定
原作:石の森章太郎
脚本・監督:神山健治
キャラクターデザイン:麻生我等
アニメーションディレクター:鈴木大介(サンジゲン)
制作プロデューサー:松浦裕暁(サンジゲン)
プロデューサー:石井朋彦
共同制作:Production I.G / サンジゲン
配給:Production I.G / ティ・ジョイ

© 2012『009 RE:CYBORG』製作委員会
http://009.ph9.jp/

スペシャルインタビュー