『009 RE:CYBORG』への意気込み
本作の映像作りに関して、現場の指揮を執っているのが、サンジゲン取締役の鈴木大介氏。鈴木氏は、元々、神山監督と原作『009』の大ファンだったということで、本作にかける意気込みは相当なものなだとか。
「初めて絵に描いたキャラクターが 009 の主人公だったりと、石ノ森作品には相当な思い入れがあります。おまけに、大ファンの神山さんが監督なんて......これは、どんなに無理してもやるしかないなと(笑)」。
実際の映像作りでは、神山監督の前に、全てのカットをチェックするというサンジゲン側の画づくりの責任者である鈴木氏。その役割は、作画における演出のポジションに近いと言う。
「監督はよく、"フル 3D はレイアウトが破綻しなくて良い"ということをおっしゃってました。それに作画と違って、キャラが崩れないという点も評価してもらっています」。
作画の場合は、キャラクターの演技に至る前に、作画のリテイクで時間切れになってしまう場合があると言うが、3DCG 作品なら"崩れ"がないため、いきなり演技の制作に入れる。その点も、3DCG アニメならではの利点かもしれない。
さらにこの上、仕上がったモデルが、より魅力的に見えるよう、アニメーターが手付けでレタッチを加える......といった CG 原画マンとしてのサンジゲンの持ち味がプラスされていくわけだ。
フランソワーズのキャラクターモデル制作過程
さて、ここからは003こと、ゼロゼロナンバーサイボーグの紅一点フランソワーズ・アルヌールのキャラクター制作を通して、本プロジェクトが目指す"日本ならではの3DCGアニメーション表現"について具体的にみていこう。
初期Ver. 1
キャラクターデザイン画を元にモデリングされた初期のモデル。これを叩き台に、モデリングを進めていく
初期Ver. 2
原作のテイストを盛り込み、可憐な雰囲気を加味したバージョン
「PEPSI NEX」CM版
2011年5月から8月にかけて全国のワーナー・マイカル系劇場にて上映された PEPSI NEX の劇場用立体視 CM が制作された際のモデル。「初期Ver. 2」の髪の毛にディティールが追加されたことが判る
『009 RE:CYBORG』PV 版
本プロジェクトの制作にあたり、さらにブラッシュアップしたもの。「PEPSI NEX」CM 版とは異なり、凛とした美しさを追求したものとなった。もちろん、これで完成ではなくさらなるクオリティアップを図っていくそうだ