>   >  『プラネット・ウィズ』新興プロダクションの萌が挑んだ、全12話 913カットのCG制作/No.2 CGカット制作編
『プラネット・ウィズ』新興プロダクションの萌が挑んだ、全12話 913カットのCG制作/No.2 CGカット制作編

『プラネット・ウィズ』新興プロダクションの萌が挑んだ、全12話 913カットのCG制作/No.2 CGカット制作編

全長8kmという設定の「巨大な龍」のスケール感をきちんと見せる

龍は第1話では1カットしか登場しないため、モデリング着手が後回しになったこともあり、セットアップも含めて平岡氏自らが担当した。「後半では物語に大きく関わってくるので、自分でしっかりつくろうという思いもありました」(平岡氏)。

▲龍の設定画


▲最初にZBrushでデジタルマケットをつくり、Mayaにインポートしてセットアップしている。テクスチャ制作にはMudboxを使用。【上】はZBrush、【下】はMudboxの作業画面


▲【左】カラーのテクスチャ/【右】イルミネーションマスク。ほかに、スペキュラ、スプレッドマスク、ラインマスクを使用。テクスチャサイズは8K


▲完成した龍のCGモデル


▲龍のリグ


▲第7話で先生ロボが龍の真横を飛行するカットのカメラを設定中の画面。画角は約28度、焦点距離は80mmの中望遠レンズの設定になっている。ドーピングモードの先生ロボは約8m、龍は8kmという設定のため、先生ロボにフォーカスすると龍は体表の一部しか映らない



  • 【A】

  • 【B】


  • 【C】

  • 【D】


  • 【E】

  • 【F】


  • 【G】

  • 【H】

▲【A】〜【H】前述の完成カット。龍の全身をじっくり映す長尺カットになっている。「このカットはネーム段階から『巨大な龍』のスケール感を見せるという方針が示されていたので、絵コンテ完成後の打ち合わせの際にCGでどこまで表現できるかを監督や演出さんから相談されました。アニメで巨大なものを表現する場合には、大きな止め絵をスライドさせる処理が昔から多用されています。また、あえてセル調にせず、グラデーションを使って質感やスケール感を表現するといった処理も併用したりします。今回はモデリング段階から龍のスケール感をきちんと見せるつもりで準備していたので、逃げずにじっくり見せるカットをつくりました」(平岡氏)


取材の最後に今後の抱負を尋ねたところ、平岡氏はつぎのように語ってくれた。「本作では限られた時間内で最大限の結果を出すことを目指しましたが、今後はより多くの時間をクオリティアップに使えるよう、作業量の管理やパイプラインの拡充に力を入れています。萌は設立当初から『アニメCGをつくる』という強い意志を掲げているので、今後もこの分野のトップを目指し、会社を育てていきたいです」(平岡氏)。

2019年に入ってからも、萌は『Fate/stay night Heaven's Feel Ⅱ.lost butterfly』(CG/撮影パート)や『ワンパンマン season2』(CGディレクション・CG制作全般)など、多彩なアニメCG案件を手がけている。引き続き、同社の活躍に注目していきたい。

© 水上悟志・BNA・JC/Planet With Project

info.

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仕様:アニメーションキャラクターデザイン・岩倉和憲 描き下ろしBOXイラスト、インナーイラスト
特典:原作・水上悟志 新作描き下ろしネーム漫画(24P)/ドラマCD/各種映像特典/スペシャルブック1(52P)/オーディオコメンタリーほか

© 水上悟志・BNA・JC/Planet With Project



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