<2>特別賞、個人賞、そして主題歌賞
今回特別賞を受賞した安彦良和氏は、ビデオコメントでの紹介に。安彦氏はアニメ業界からキャリアを積んでいったものの、いったん退いて再度の復帰になった経緯に触れ、「そういう風変わりな人間が、こういう賞を頂いていいのだろうかと非常に悩みました」と明かした。昨年度まで神戸芸術工科大学で教授を務めていた縁もあり、「できればみなさんの前に出て、直接賞を頂こうと思っていたのですが時間の都合がつかず、残念ながらこういうかたちでお会いすることになりました」と謝辞を述べた。
ビデオコメントの中では「今携わっている『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』という作品は、もしかするとかなり長丁場になるんじゃないかという予感がしています。僕の作家寿命からすると長いのか短いのかわかりませんが、予想外にもアニメーションとの関わりをこれからも持っていくような気がしております」と、気になる情報も聞かれた。
ビデオコメントで出演した安彦良和氏
次の登壇者は個人賞を受賞した水島精二氏。「僕は自分であまり作家性がある監督だとは思っていないので、個人で賞をいただく日がくるなんて思ってもみなかったのでとても嬉しいです」と謙遜した。最近の監督作品において、昨年の『楽園追放 -Expelled From Paradise-』のアニメCGや今年の『うーさーのその日暮らし 夢幻編』第12話のデジタル作画など、技術的な面も受賞理由に含まれている。
さらに水島氏は「ただアニメーションは本当に様々なスタッフが関わっていて、作品はみんなの力の集大成なので、共に色んな作品をつくってくれたスタッフと受賞したんじゃないかなと思っています。とは言え個人にいただいた賞なので、これを励みに今後もみなさんに愛していただける作品をつくっていけたらなと思います」と意気込みを語った。その一方で、「この賞をいただいたときに喜んでくれた櫻井(孝昌氏)が、不慮の事故で亡くなってしまって、この場で一緒に喜べなかったのが非常に残念です」と述べ、哀悼の意を表した。
コンテンツメディアプロデューサーの櫻井孝昌氏は、授賞式直前の12月4日(金)に急逝。アニメーション神戸でも第16回より審査委員を務め、業界への貢献ははかり知れないものがあっただけに惜しまれている。
個人賞で登壇の水島精二氏
最後は主題歌賞(ラジオ関西賞)の『ジョジョ その血の記憶 ~end of THE WORLD~』。歌唱するJO☆STARSのTOMMY氏、Coda氏、JIN氏、作曲の田中公平氏も壇上に上がった。4者を代表してTOMMYは「本当に光栄で嬉しく、足元がちょっと震えるくらいです。みなさんに選んでいただいたということが本当に今、ひしひしと感じられてとっても嬉しく思ってます!」と感極まった様子。
「本当に(田中)公平先生、そして藤林(聖子)先生の素晴らしい楽曲を僕たちが歌うことができて、本当に嬉しいです!!」と咆哮した。
左から田中公平氏、 Coda氏、TOMMY氏、JIN氏
この主題歌賞(ラジオ関西賞)については他の賞とはちがい、リスナーの最多得票が賞に反映される。毎回受賞曲のライブも会場を沸かせてきた。
JO☆STARSの「ジョジョ その血の記憶 ~end of THE WORLD~」で会場は最高潮に
JO☆STARS~TOMMY,Coda,JIN~『ジョジョ その血の記憶~end of THE WORLD~』MV試聴