<3>衣装の制作
キャラクターモデルがある程度出来上がってきたら、衣服やアクセサリなどの制作がスタート。こちらの作業は、岡田寛成氏が担当した。「実在するファッションブランドさんに衣装協力していただいているので、忠実に再現することを心がけました。とにかく時間がなかったので、スチール撮影の翌日から着手しましたね」。
ちなみに衣装については、スタイリストの石田有佑氏が、最終的に選ばれたパンツのほかにもスカートやショートパンツなども用意していたという。「どれも魅力的だったので、撮影現場でも少し悩んでしまいました。ですが、3月10日(火)に発売される雑誌の表紙ということで季節感からパンツに決めました」(森江氏)。
シャツ(上段)とパンツ(下段)のシミュレーション設定前のモデルとメッシュ表示。シミュレーションをかける際にリアルなしわを生成できるよう、あえてメッシュを斜め方向に作成している
アクセサリも丁寧にモデリングされた。「右手に装着したブレスレットについては、念のためHouidniでシミュレーションできるようにセットアップまで済ませておきました。幸いMayaによる手付けだけで対応できたので出番はありませんでしたけど(笑)」(秋元氏)。
また、靴については「スタイリストさんがサンダルを用意してくださっていたのですが、こちらも季節感を考慮してモデルさんの私物で撮影しました。というのも最終的に作業負荷の軽減するべく、足下を切った構図に決めたので」(森江氏)。
ジャケットのシミュレーション設定前のモデルとメッシュ表示。こちらも同様にメッシュを斜めに作成してある。なお袖の部分はシミュレーション設定後に付け加えている
ジャケット、パンツ、シャツ、それぞれを個別にClothシミュレーション(画像はジャケットの例)。「Aスタンスから決めポーズへとアニメーションさせたのですが、ちょうど30フレーム目でした」(森江氏)。Clothシミュレーションによって生成されたシワをベースにすべく、そのメッシュをWrapオブジェクトとしてモデリングの際に利用し、シワを追加している。「シワが入ることで一気に存在感が高まって、みんなのテンションも上がったことを覚えています」(伊藤浩之氏)
Clothシミュレーション後のモデル(上段)とメッシュ表示(下段)。メッシュをあえて斜め方向に入れるという工夫の成果が窺えるが、さらにMayaのスカルプト機能で意図しないシワの形状が整えられた