>   >  "赫子"、"クインケ"から喰種の戦闘まで。映画『東京喰種 トーキョーグール』ビジュアルマントウキョーの緻密なVFXワーク

"赫子"、"クインケ"から喰種の戦闘まで。映画『東京喰種 トーキョーグール』ビジュアルマントウキョーの緻密なVFXワーク

POINT 006 リグ

リギングはTOYBOXが担当し、ビジュアルマントウキョーが取りまとめ、アニメーション担当者の負担を軽減するために、オブジェクトやコントローラが追加された。作業では役者の赫子マーカーをMayaでマッチムーブし、ロケータを配置してそこにリグをコンストレインして使用する。またコンストレイン後に位置・回転をオフセットできる予備のコントローラも1~2個追加された


カネキ・リゼの赫子のリグ。大量の可動式鱗が付属しているため非常に重い。アニメーション開始後もTOYBOXへ何度も修正を依頼し、そのたびにビジュアルマントウキョー側でも作業が発生したが、開いてコントローラを追加するだけでも時間のロスが大きいため、その作業をスクリプトにまとめ、Backburner経由でサーバに処理させることで効率化が図られた



  • トーカの赫子はTOYBOXによるリグ



  • ポジション調整



  • 赫子の向きを示すオブジェク



  • スケールコントローラ

トーカの赫子はTOYBOXによるリグ【画像上左】から、ポジション調整【画像上右】、赫子の向きを示すオブジェクト【画像下左】などが加えられている。複雑に枝分かれした構造が特徴的だ。サイズが変わる演出があるのだが、スケールをかけすぎると形状が破綻してしまうため限界値の目安となるスケールコントローラ【画像下右】も追加されている

真戸のクインケが閉じた状態【画像左】と開いた状態【画像右】。硬質な殻が裂けてフォルムが変わるという表現をするため、全体に細かなコントローラが多数置かれた

POINT 007 赫子の表現


アニメーションに関しては、TOYBOXによるアニメーションテストが行われた。アクションテスト撮影の素材に重ねるかたちで方向性が確認されたもので、"観たことのない映像"という方針の下、日本とはバックグラウンドの異なる海外のアーティストによる表現が期待されたという。赫子を覆うおびただしい数の鱗が、感情の昂りに呼応して脈動するように逆立つという演技は好評を博し、劇中の演出として採り入れらている

POINT 008 デジタルダブル~3Dモデルの作成~

ラビットの面を被ったトーカと真戸のアクションシーンは、DDを活用して人間の身体能力を超えた喰種の高速移動が表現された。「スキャンモデルのデータを受け取ったときは、ものすごいポリゴン数に愕然としましたが、モデルのサイズ感は実際の役者をスキャンしたため正確でしたね」(大熊氏)。3Dモデルは暗いシーンかつ、キャラクターの高速移動を表現するためのモデルであることを念頭に、使い勝手を考えて現実的な範囲までポリゴン数を削減している。実際に使用してみて、スカートがはためく等の細かい表現にはまだ不向きで、明るいシーンでは問題が残りそうだが、役者のサイズにピッタリ合わせたモデリングをすることを考えると有効だったという。ただ、スキャンしたままのモデルデータになってしまうため、ポリゴン数が多く形状修正は不向きなこと、そして可動域を考慮してTポーズやAポーズでスキャンしておくと良いことがわかったそうだ


3Dスキャンの様子


役者をスキャンした際に自動で生成されるテクスチャデータの一部。デジタルダブルを用いることで、ゼロからテクスチャ作成をする手間を省くことができた

生成されたトーカの3Dモデル。なお、リグはスキャンデータに合わせて用意されている

スキャンコーディネート:ACW_DEEP
スキャンスタジオ:ピクチャーエレメント

POINT 009 デジタルダブル~シーン制作~

3Dモデルの足の裏はメッシュがなく、テクスチャのつなぎ目が不自然な箇所も存在していたため、その箇所が見えないようにアングルやアニメーションを工夫する必要があった。それでも隠しきれない場合はモーションブラー等で馴染ませるなど、コンポジットで調整している。そのほか、関節の曲がり方などのエラーの解消も行われた。トーカが真戸のクインケに追いかけられるシーンは全てDDで描写され、モーションキャプチャデータが用いられている。実写素材とDDとのつなぎ目となる数フレームはどうしてもズレが生じるため、手付けでアニメーションを付けて補完し、それでも違和感がある場合はコンポジットでタイミングが調整された。「萩原監督にも、DDを用いる利点と欠点を認識してもらい、チェック時には"細かなエラーはいったん置いておいて"、全体の動きやタイミング等の演出方法を優先して固め てもらいました」(桑原氏)

アニメーションの作業画面


完成画の連番

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POINT 010 Rc細胞のパーティクル

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