>   >  "赫子"、"クインケ"から喰種の戦闘まで。映画『東京喰種 トーキョーグール』ビジュアルマントウキョーの緻密なVFXワーク

"赫子"、"クインケ"から喰種の戦闘まで。映画『東京喰種 トーキョーグール』ビジュアルマントウキョーの緻密なVFXワーク

POINT 010 Rc細胞のパーティクル

リアリテイを追求する観点から、本作ではファンタジックな印象を与えるCG的な煙・発光物といったエフェクトは控えられている。しかしカネキとトーカの赫子が発現した際は、VFX的な演出として周囲にRc細胞が散布された。「Rc細胞のエフェクトは様々な状況のシーンに入ることが想定されたため、NUKEXの3Dパーティクルを用いて複数のパターンのベース素材を作成しましたが、NUKEXを所持していない協力会社さんにはそのままシーンを渡すことができませんでした。そこで距離・速度によって被写界深度やモーションブラーを手軽に付けられるようにDepthパス・Motionパスを格納し、カメラから見て手前・前・中間・奥の4レイヤーに分けて、Rc細胞の連番素材(4K)として配布しました」(桑原氏)。Mayaなどの3DツールではなくNUKE内での対応としたことで、修正時に発生する再レンダリングやツールの行き来といった手間が軽減されている。「複雑な表現を追求するには別のソフトを使用するなどの選択肢もありますが、ポストエフェクトを含めNUKE内で同時に調整・確認でき、ルックデヴも並行して進めることができました」(柳谷氏)


NUKEでのRc細胞追加ノードツリー。奥行き方向に4階層重ねたものをひとつの単位として使用している


トーカと真戸戦の実写プレート


  • 同アニメーション


  • 同完成画

別のカットのパーティクルがない状態【画像左】とある状態【画像右】

別のカットのパーティクルがない状態【画像左】とある状態【画像右】

余談だが、真戸とトーカ戦のロケ地となった水無川は本来水が流れていない川だが、偶然にも撮影直前に雨が降ったため、撮影時は水が流れていたという。そこでスタッフ総出で上流に簡易ダムを作って水をせき止め、ロケ場所には盛土してアクションシーンを撮影する舞台を築いて撮影に挑んだとのこと。当初は水のない舞台であったが、結果として水が画面に映り込むことで画に艶が出ている

POINT 011 亜門のクインケ

亜門のクインケが回転した状態はCGで表現された


CGコンセプト

当初からCG化を予定していたカットの実写プレートとCG素材に置き換えた状態だ。その仕上がりが関係者試写会で好評を博し、実写で収録していた10カットほどある平常時のクインケも全てCG化されることになったという。マスク切りや質感を詰める作業は4月半ばまで行われ、ギリギリまで画づくりが極められた

追加でCG化されたカットの基の素材と完成画

POINT 012 赫眼の表現

赫眼の表現は、眼にこだわりたいという萩原監督の意向を踏まえて様々な試行錯誤が行われた


【画像上左】は実写プレートで【画像上右】は瞳を赤くした初期の赫眼バージョン。どこを見ているかわからないというフィードバックを得て、瞳孔を追加することになったが、形状を細長くするなど様々な案があったという。そして【画像下】が完成した赫眼だ



  • 月刊CGWORLD + digital video vol.229(2017年9月号)
    第1特集:映画『東京喰種 トーキョーグール』
    第2特集:キャラデザからCGまで

    定価:1,512円(税込)
    判型:A4ワイド
    総ページ数:128
    発売日:2017年8月10日
    ASIN:B07451M2QW

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