【BenQ】正しい色を再現し、様々な色の規格も1台で確認できる。5Kモニタ「PD2730S」はあらゆるクリエイターにオススメ!

ゲームほど、プレイヤーによって楽しむ環境が千差万別なコンテンツはないかもしれない。そのためゲーム開発者はLCDや有機ELなど、複数のモニタでの見え方を確認しながら画づくりを行なっている。
そこで今回は、BenQのデザイナー向け5Kモニタ新製品「PD2730S」を、美しいビジュアルにこだわりをもつゲーム開発会社、スタジオライツのクリエイターたちに試してもらった。工場出荷時に1台ずつキャリブレーションを行うなど、正確な色再現と全12種類のカラーモードを兼ね備えたPD2730Sの実力はいかに?
BenQ初の5K、デザイナー向け27型モニタ「PD2730S」
今年4月に発売した「PD2730S」は、BenQ初となる5K UHD解像度のデザイナー向け27型モニタである。
5K UHD(5,120×2,880)と、4K UHD(3,840×2,160)よりも表示領域が約77%拡大しつつ、2000:1の高コントラスト比で、VESA Display HDR 400認証も取得している。

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BenQが独自に設けた色にこだわるプロフェッショナル向けのディスプレイ技術・製品「AQCOLOR」シリーズであり、Display P3/DCI-P3カバー率98%、sRGB/Rec.709カバー率100%と、広色域に対応しているのに加え、10ビットカラーによる約10億7,000万色の表示も可能。非情に滑らかな階調表現と色再現を実現している。
そんなPD2730Sを、今回は『FINAL FANTASY XV』などのAAAタイトル開発の経験を有するクリエイターたちが設立した新進気鋭のゲームデベロッパー、スタジオライツに試してもらった。
第一印象で「明るくて、正しい色」だと感じた
CGWORLD(以下、CGW):今日はよろしくお願いします。まずは自己紹介からお願いします。
七瀬清司氏(以下、七瀬):スタジオライツ代表の七瀬です。前職はスクウェア・エニックス(SQEX)で、主に描画系のテクニカルアートを担当していました。
SQEXには17年在籍しましたが、自分の知見をゲーム業界で広く活用させていきたいという思いから起業しました。
現在はAAAタイトルやハイエンドのモバイルゲームの開発に携わらせていただいています。そしてさらに『モノノケの国』という自社開発タイトルにも取り組んでいます。

大島優輝氏(以下、大島):スタジオライツの大島です。設立当初から在籍していて、ライティングスーパーバイザーやライティングアーティストとして、スタジオライツが受託しているゲーム開発などに携わっています。
ゲームだけでなく、Unreal Engineを使ったリアルタイムグラフィックスを用いた体験型コンテンツ制作なども担当しています。

CGW:今回、BenQ初の5Kモニタ「PD2730S」を試用していただきました。どんな風に使われましたか?
大島:主には僕が実際の業務に使わせてもらいました。普段からライティング周りを中心に担当しているので、モニタには「色の正しさ」を求めています。アートディレクターとルックに関するやり取りをすることも多いので。
PD2730Sは「明るくて、色が正確そうだな」というのが第一印象でした。
実は今、『VEIL』というインディゲーム開発も進めています。『VEIL』は、ヴェールのような怪物が支配する学校を舞台にした脱出ゲームですが、ライトの操作が鍵となります。
そのため光や陰影の表現にもこだわって開発しているのですが、PD2730Sは明部も暗部も狭いレンジでもしっかりと階調が表現されていて感心しました。
監督・プロデュース:オオシマユウキ
音楽:キンミライガッキ 現代支部
モデリング:スタジオライツ
<スペシャルサンクス>
怪物モデリング:2525○
一部効果音:こだまプロダクション
応援してくれた皆様
CGW:BenQのモニタは、スクリーンの映り込みと反射を低減する「ナノマットコートパネル」を採用しています。その効果を実感されましたか?
大島:確かに、画面への反射が気になりませんでした。
普段使っているモニタもノングレア(非光沢)ですが、時間帯によっては反射が気になったり、色の見え方が変わってしまう印象を受けることがあるのですが、PD2730Sではそうしたストレスが緩和されていると思いました。

「ナノマットコートパネル」解説ページ
全12種類のカラーモード、左右で同時に異なるモードを表示できる「DualView」も搭載
七瀬:僕は普段、モニタを6枚使っています。
CGW:2とか3はわりと良く見聞きしますが、6枚はすごい!
七瀬:6枚使いはあまりいないかもしれませんね(笑)。だけど、ゲーム開発はマルチモニタ派が多いと思いますよ。
リファレンス資料や仕様書を見ながらUnreal EngineやMayaで作業をすることも多いし、ゲームはユーザーのプレイ環境が極論を言えば無数にあります。
だから、ゲーム開発ではカラーマネジメントモニタを基準として画づくりを行いつつ、様々な規格のモニタやテレビでの見え方も確認しながらつくっていくところが多いと思います。
そんなわけで、僕の場合はVESAマウントのモニターアームを使って6台のモニタで作業を行なっています。
CGW:PD2730Sは、BenQ初の5K UHD解像度のモニタになるのですが、5K解像度についてはいかがでしたか?
七瀬:すごく良いですね。僕にとってモニタの解像度や台数は、作業机の広さと同じです。5Kの解像度があれば、1枚のモニタに表示できるものが多くなるのでとても快適です。
ただ、『VEIL』の開発に使っているUnreal EngineはメニューやパラメータなどUIがすごく多いツールなので、欲を言えば30インチ以上の大きさだったらもっと良かったですね。
大島:僕も普段は31.5型のキャリブレーション対応モニタを2枚と、Substance 3D Painterなどの質感調整作業用に13インチの液晶ペンタブレットを使うというマルチモニタ派です。
PD2730Sは、色の正確さが魅力だと思ったので今回は、普段使っているモニタの横に設置して最終画の確認用途に使わせていただきました。
今回は時間がなくて試せませんでしたが、PD2730SはVESAマウントに対応しているので次の機会があるならモニターアームを付けて作業用モニタとして使い込んでみたいです。

CGW:色々な規格のモニタで見え方をチェックするとのことですが、PD2730Sは全12種類のカラーモードを搭載しています。
七瀬:その点も魅力に思いました。インディゲーム開発チームでも活躍するはず。
通常のゲーム開発はsRGBで行いますが、インディゲームの場合、ポスターやパンフレットなどの販促物も自分たちで制作するので、PD2730Sの「DualView」機能を使って左側は元のsRGB、右側はデザインモードにしてCMYKの見え方をチェックするといったことができると便利そうです。

専用アプリやワイヤレスコントローラで、表示設定を気軽に変えられるのも魅力
CGW:PD2730Sには、「ホットキーパックG3」というワイヤレスコントローラも同梱されています。試されましたか?
大島:少し試してみただけですが、カラーモードや明るさなどを手元で切り替えられるのが良いですね。
自然光の下で作業をしているので「暗くなってきたから、Macのナイトシフト的なカスタム設定に切り替えよう」などと、そのときの状況に合った表示へと気軽に変更できると思います。

大島:あとは、画づくりだけでなくマニュアルなどのドキュメント作成のタスクも多いので、そうした作業用のカスタム設定をつくっておくと便利そう。
アプリケーションごとにショートカットキーを割り当てられるので(※3つのソフトまで割り当て可能)、ぜひUnreal Engineにも対応してください(笑)。

大島:ホットキーパックからもアクセスできる「Display Pilot 2」も便利そうですね。
CGW:「Display Pilot 2」を使えば、OSD設定にアクセスぜずに画面上でカラーモードの設定や切り替えが行えますよ。PDシリーズ向けには、様々なレイアウトの画面分割を利用できる「デスクトップパーティション」や、あらかじめ設定しておいたカラーモードへ瞬時に切り替えられるクイック設定などが用意されています。


CGW:最後に「PD2730S」の全体的な感想をお聞かせください。
大島:お世辞抜きでメインモニタとして使いたいです。
僕みたいなライティング周りの作業だけでなく、モデリングやテクスチャリングなど、色をあつかうクリエイティブワーク全般にオススメのモニタだと思います。
七瀬:実は、かなり前にBenQのモニタを使っていた時期がありました。ですが、そのときはPDシリーズのようなクリエイティブワーク向けの製品はなかったので他社製品に移行してしまいましたが、今回PD2730Sを試すことができて、プロフェッショナルのデジタルコンテンツ制作にも適したモニタだと思いました。
プロダクションをマネジメントする立場としても、正しい色で表示できてコストパフォーマンスにも優れているPDシリーズは魅力的です。

デザイナー向け27型5Kモニタ「PD2730S」

- サイズ/パネル/バックライト
27インチワイド/IPS/LED
- 筐体色
ホワイト
- 解像度
5K(5,120x 2,880)
- 表示色
約10億7,000万色
- アスペクト比
16:9
- コントラスト比
2,000:1
- 応答速度
5ms
- リフレッシュレート(垂直走査周波数)
60Hz
- 本体サイズ
約W614〜577.58×H427.58×D242.07 (mm)
お問い合わせ
ベンキュージャパン株式会社
テクニカルサポートセンター
TEL:0570-015-533
※月曜から金曜 9:30~17:00(土日祝日・ベンキュージャパン指定日を除く)
e-mail:support@benq.jp
INTERVIEW & TEXT_NUMAKURA Arihito
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota