Blender Foundationは7月24日(木)、Blender Developers Blogの記事「Beyond Mouse & Keyboard」で、タブレット版Blenderの開発が進行中であることを公表した。Blenderの全機能をタブレットなどのiPadをはじめとするマルチタッチデバイスで利用できるようにすることを目指し、初期の開発では基本的なオブジェクト操作とスカルプトに焦点を当てるとしている。

本プロジェクトでは、マウスやキーボードがない環境で、タッチとペンによる入力に対応するため、既存の入力方法を拡張してデバイスに応じた新しいUI/UXを開発する。現在検討されているのは、フローティング領域を設ける案で、これによってワークスペースを確保しつつも主要ツールへ迅速にアクセスできるという。また、修飾キー( Ctrl/Cmd/Shift/Altなど)やよく使う機能に素早くアクセスできるホイールメニューも提案されている。

また、ツール設定のヘッダーは削除してツールの固有設定をフローティングパネルに表示したり、サイドバーのタブをアイコン表示したりといった、画面スペースを節約するデザインが検討されている。

また、モバイルデバイスの処理能力バッテリー駆動の考慮、モバイル特有のファイルシステムへの対応(iCloudやAndroidの内部ストレージなど)も盛り込まれる予定だ。


タブレット版Blenderは、カナダのバンクーバー・コンベンション・センターで2025年8月10日(日)から14日(木)まで開催される「SIGGRAPH 2025」のBlenderブースで、iPad Proで動作する技術デモとして公開される予定。

▲SIGGRAPH 2025公式Webサイト

またその後、Blender本社で開催されるデザインとワークフローを見直すワークショップを経て、2025年9月17日(水)から19日(金)まで、オランダ・アムステルダムのFelix Meritisで開催される「Blender Conference 2025」では、ライブデモが公開される可能性があるという。

▲Blender Conference 2025公式Webサイト

■Beyond Mouse & Keyboard(Blender Developers Blog、英語)
https://code.blender.org/2025/07/beyond-mouse-keyboard/

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